水波火花刀探検記 外伝~落ちた弾丸~
水波火花刀探検記 外伝~落ちた弾丸~
※この作品は外伝です。本編を知らない方はscratchというサイトで「水波火花刀探検記」をご覧ください。
第一章 奇妙なモノクルの男
1556年 メリア帝国内。とある森でバシュッ!という風を切る音と同時に金色の弾丸が木にあたった。
「まだ...遅い...」
それだけ言うと、彼は家路についた。
名前はギーヴ・メーカー。現在22歳。周りからは「モノクル」と呼ばれている。理由は簡単。彼の右目にはモノクルのようなものをつけているからだ。周りに言われると彼は言う。
「これは、これで見た者のことを知ることができるのだぞ!」と。
家に帰ったギーヴは机に向かって手に持っていた拳銃をいじりだす。銃を分解したりもう一度直したり、改良を加え、もう一度やり直したり。これが彼のルーティーンだ。四六時中机と向き合っている。たまに外出するとしたら、買い物かもしくは拳銃の試験のみだ。
とある日、また森に拳銃の試験に行くと、
「ん?誰かいるのか?」
ギーヴの先に誰かの人影が見える。すると人影はこちらに人がいるのに気付いたからか、森の奥へと走っていく。ギーヴはそれをおう。しばらく森を進むと、開けた場所に出た。
「おーい!どこに行った!聞こえたら返事してくれー!」
ギーヴの声はこだまする。
「はあ。見間違えか。こんな森の奥まで来なけりゃよかった....」
すると次の瞬間...!
「おい。貴様」
ギーヴが振り返るとそこには、返り血が服についた男が立っていた。
「見たのだな?俺の姿を。」
「なんのことだ?俺はこの森で人影を見たから来ただけだ。」
「その人影のことだ。」
ギーヴは思った。
(彼は、俺に敵意を持っている。返り血もついている、。もしやこいつは人を...。)
ギーヴは目についているモノクルのようなものを起動させた。
「部族力...闇?この時代には闇部族はあったのか!」
すると男は言う。
「なにを一人でほざいている?その奇妙な眼鏡をみて言ってるのか?」
「奇妙なとはなんだ!」
男は少し黙り込んで
「....よし。いいだろう。」
「何がだ?」
「貴様のその眼鏡をよこせ。金目がありそうだからな。」
「だめだと言ったら?」
男は牙を見せてにやりと笑う。
「殺す...」
(だめだ。こいつ、初めから俺を殺そうとしている!)ギーヴは思った。
「どっちだ?譲るか?譲らないか?」
ギーヴは大切なものを渡すか、自分の命を渡すかという壁にぶつかった。
(渡さないと答えれば、殺されて結局はこの機械は盗まれる....)
男は眉間にしわを寄せ
「答えなしか...ならば、」
ギーヴはすぐに考えるのをやめ、拳銃を手に取った。
「貴様を殺し、その機械を奪うまでだアァッ!」
男はものすごい速さで襲い掛かってくる。
「まずい!」
ギーヴは目をつぶった。
次の瞬間、バシュッという音が森に響き渡った。
ギーヴが目を開けると、自分の人差し指は、引き金を引いていた。男は倒れていた。
この時、ギーヴは初めて人殺しをしたのだった。正当防衛で人を殺したのだ。
ギーヴの額には汗が次々と垂れてくる。ギーヴはすぐさま、その場をあとにした。
第二章 拷問
走って家に帰ったギーヴは拳銃を机に置き、一人で考え始めた。
「この拳銃はものすごい威力だ。簡単に人を殺めることができるほどの威力だ。これはいい試験にもなったが、これは恐ろしい兵器だということも判明した。」
ギーヴは独り言をもごもごといいつづけた。
それから二日後。ギーヴは拳銃を持ち、あの森へ行った。
「!!死体が....ない!」
ギーヴは慌てた。
(ついに俺の人殺しがばれたのか。それとも、あいつはまだ生きていて、命からがら逃げきったのか...)
するとギーヴは後ろに気配があったのに気がついた。
(ま、まずい。誰かが後ろにいる..!)
「お前...人を殺したな..?」
「!!」
ギーヴはびくっとした。恐怖で後ろを振り向くことができない。
「あれは俺たちの仲間だ。少し、情報を聞かせてもらおうか。」
「ま、まって...」
次の瞬間、ギーヴの視界は真っ暗になった。息ができない。ギーヴは死を覚悟した。
「ヴ、ヴヴヴ....」
ギーヴは目を覚ます。
「ここは...どこd」
「拷問中は関係ないことは言うな!」
鞭で腹をたたかれる。ギーヴは気づいた。
(拷問だと?今俺は拷問を受けているのか?確か、あの森で...)
「いいから答えろ!貴様、どうやって奴を殺した!」
もう一度鞭でたたかれる。ギーヴの周りにはギーヴが殺した男の仲間と思えるものたちが見ていた。
「おい!答えろと言っているんだ!」
ギーヴは答えようにも痛みで答えられない。
「答えなければ、このまま殺すぞ!」
ギーヴはようやく口を開くことができた。
「m、森で...う..った..」
「何で撃ったんだ!大砲か!銃か!」
「拳銃...」
「拳銃?ああ、小型の銃か。それでよく人を殺せたな。」
男は続ける。
「あの死体を見た感じじゃあ、一発しか撃ってないなあ。一発で人が殺せるとでも思ってんのか!」
また鞭でたたかれる。
「本当のことを言え!」
「待て。もうよい。」
ギーヴのもとへ一人の男が寄ってくる。それは髪は黒色、服は紫色をしたマジシャンのような人間だった。
「コイツの武器を取り上げろ。どこかに隠しているはずだ。」
そういわれると、鞭を持った男は
「おい!武器を出せ!」
とギーヴをたたいた次の瞬間!
鞭を持った男は、何かに飛ばされた。いや、消されたのかもしれない。どうやら、マジシャンのような男がやったようだ。
「誰が拷問を続けろといった?俺は武器を取り上げろといったんだ。」
男はギーヴに近づく。するとギーヴのポケットについている、袋をとった。
「ほお、これがお前の拳銃か....なかなかいい材質じゃねえか。何でできているんだ?」
「そ、それは」
ギーヴは脛を何かで斬られた。
「答えなくてよい。この拳銃はもらっておこう。こいつを独房に連れて行け。1週間たったら、奴隷として活用できるようにしておけ。」
「はっ!」
そういうと、男はギーヴの銃を持って部屋から出て行った。
第三章 救済
ギーヴはそのまま、独房へ連れていかれた。
「騒ぎを起こすんじゃねえぞ。」
ギーヴを連れてきた男が言うと、ギーヴは中に入れられた。ギーヴは鉄格子につかまり、うなだれていた。
それからどれくらいたっただろうか。1日か、2か月か。もしかしたら、3分しかたっていないかもしれない。ギーヴの横の部屋から
「おい、そこの若いの。」
ギーヴは横の部屋をのぞいた。するとそこには右目を失っているのか眼帯を付けた30代くらいの男が居座っていた。
「お前、呼んでるんだから返事くらいしてくれたっていいだろ。もしや、話せないのか?」
ギーヴは口を開いた。
「いや、話せる。」
「だったら早く返事しろよ。」
「すまない。」
「まあいいさ」
そういうと男は頭を掻き
「俺はダスト。まあ、これは本名じゃないんだがな。俺は孤児で、名前がわからなかったとき、ここのお偉いさんが見た目からダストって名前をつけたらしい。」
「いつからここにいるんだ?」
「う~ん、20年前くらいからだったかなぁ...いや、30年前か?そこら辺の記憶はなくなっていてわからねんだ。だが、長い間ここにいるのは覚えている。」
するとギーヴは質問した。
「さっき、おれを拷問してきたやつが“一週間たったら奴隷”って言っていたんだが、あんたは奴隷になってないのか?」
「実はな。俺の部屋には“隠し部屋”のようなものがあるんだよ。」
「つまりそこに隠れていたから奴隷にならずに済んでいると...。」
「おっ、勘が鋭いじゃねえか。」
しばしの沈黙の後、ダストが聞いた。
「お前さん、さっきから何か隠してるだろ。お前の後ろに。」
「へ?...あ!」
ギーヴは自分がモノクルを隠していたことを思い出し、ダストに渡した。
「これのことですか?」
「ええ!?何だこりゃ!?」
「変ですか?」
「ああ、変だよ!変すぎだよ!興味深いねぇ~...」
興味深い。その言葉を聞いた時、ギーヴの目からしずくが落ちそうになった。
「あ、ありがとうございます。」
「いやぁ~、珍しいもの見せてもらったよ。ほら。返すよ。」
ギーヴはモノクルを受け取った。
「ところであんた、なんで独房に?」
ダストはそう聞いた。
「俺は...確か、ここの誰かを...。」
「ああ、察したぜ。」
ダストは見た目とは裏腹に、かなり優しい性格だ。
「ところで、何て呼べばいいですか?」
ギーヴは尋ねた。
「ダストでいいぜ。あんたは...」
その瞬間、看守らしき人物が走ってきた。
「今からここを開ける。理由は後だ。お前らには一応、これをつけておこう。」
と、急いでいるような口調で言うと、小型の機械をつけられた。
(これは...GPS!?)
「ん?なんだこれ?玩具か?」
「いいか、絶対に離れるな。お前らついてこい。」
と看守はいうと走り出した。ギーヴは後ろを見ると、ほかの独房にいた人もGPSをつけられ、独房から出されたようだ。
「おい!はやくしろ!」
ギーヴは看守とダストにつづき走り出した。
第四章 襲撃
ギーヴは5階の中央廊下を走った。そこから下を見ると、なんと、何らかの人物たちが血しぶきを出し合いながら戦っているではないか。ギーヴは恐怖に震えた。自分もあそこに放り出されるのか。それとも、おとりにされるか。どっちにしろ、死ぬのには変わりない。
「おいお前!さっさと走れ!」
看守に言われた。
ギーヴは一目散に後を追う。すると
「おい!危ないぞ!」
ダストの声がしたため、窓から目を離すと、ギーヴは一瞬、意識が飛んだ。
「おい!おーい!」
「もういい!ついてこなかったあいつが悪いんだ。結局はあいつは奴隷という駒になるはずだったのだから、死んでもなにも変わらねえさ。さあ、早く走れ!」
(命をゴミみたいに扱いやがって....!)
ダストは怒りを抑えつつ、仕方なくギーヴをあとにした。
ギーヴは目を覚ました。
「お...い...」
ダストの声がかすかに聞こえる。しかし、ダストの姿は見あたらない。そしてギーヴの目の前にはさきほどまでなかった壁ともいえるがれきが道を断ちふさいでいる。ギーヴは察した。天井が落ちてきて道をふさいだのだと。
ギーヴはもう一度窓の下を見下ろした。するとそこには先ほどよりも人が増え、全員弓を構えている。それも、ギーヴに向かってだ。司令官らしき人物が口を大きく動かすと、全員弓を一斉に放った。ギーヴは窓から離れた。
「今、戦闘中なのか?」
ギーヴの後ろからドタドタと足音が聞こえる。おそらく、窓の下にいる奴らの仲間だろう。そう思ったギーヴは考えた。
「このがれきを...」
このがれきをのぼるしか、選択肢がない。逃げるすべはないのだ。
ギーヴは急いだ。急いでがれきにつかまった。急いでがれきに足をかけた。しかし、足音のほうが速い。
「まずい...追いつかれる..!」
足音が止まった。しかもギーヴの真後ろで。
「だ..だれ....」
すると男が話しかけてきた。
「怖がるなって。こっちに来てた軍勢は片づけたからよ。」
ギーヴは振り向いた。そこには片目が水色、もう片目が赤色をした、いわゆるオッドアイの人物が立っていた。
「俺はブラック。敵じゃねえさ。ここの闇支配団の第二軍隊長だ。」
ギーヴはがれきから降りた。
「俺は...」
「名は言わなくていい。後で聞く。」
男はギーヴの話を遮った。
「いいか、ついてこい。お前の武器を探してやる。お前も応戦しろ。」
男はギーヴのことを知っているようだった。
ギーヴは男についていった。
第五章 大広間
ブラックはとても速かった。ギーヴの足では追いつけなかった。
「遅えな。おい。これつけろ。」
(GPS...?さっきもらったやつとは違う。)
「それを身に着けていろ。俺の居場所がわかる。」
というとブラックはまた走り出した。ギーヴは一目散に走った。それでもブラックには追いつかなかった。
数分走っただろうか。ギーヴはブラックの居場所へ着いた。
「ここは敵を返り討ちにすべき場所....いや、ほんの数分前まではそうだった場所だ。」
「...どういうことだ。今の状況を教えてくれ。」
「奴隷になる身だってのに、ずいぶんとでかい口たたくじゃねえか。」
「!!」
そうだ。ギーヴは奴隷になるはずだったのだ。
「まあいいさ。奴隷になったら魂なんか肉体に残っちゃいねえ。今のうちに散々わめいておけばいいさ。」
「くそ...」
「ア゛ア゛?なんか言ったか?いいからついてこい。」
ギーヴは部屋の中を見回した。どうやら4階まで続いているらしく、大砲や銃、槍、剣まである。先ほどのマジシャンのような男は、ここにギーヴの拳銃を置いたと考えられる。
「てめえ、確か拳銃持ってたらしいな。」
「え、あ、そうだが...。なぜ知っている?」
「ダークに聞いたのさ。あ、ダークってのはマジシャンみてえな奴だ。」
「そ、そうなのか...。」
「いいからてめえも手伝え。てめえの拳銃探してやってんだからよ。」
ギーヴはブラックがあさっている武器庫の隣の小部屋を探した。小部屋の壁にはいくつもの剣がかかっていて、床には火縄銃や、弓矢が転がっていた。
「拳銃は...!これだ!」
ブラックにも聞こえるように大きな声で言った。拳銃が見つかったのだ。
「おお、見つけたか。んじゃ、今度はこっちだ。ついてこい。」
「あ、待ってくれ!」
ギーヴは一目散に後を追った。しかし、ブラックを見失った。
「まずい...。そうだ。GPS...。」
ギーヴはモノクルのような機械をつけ、ブラックのGPSを探した。ブラックは城の大広間の敵と交戦中だった。
「大広間...。この拳銃で応戦しろってことか。」
ギーヴは大広間に向かった。
ギーヴが大広間に着いたとき、大広間には血の匂いが漂っていた。
「うっ....。」
ギーヴは息を止めながら、前方を見た。そこには返り血と自分の血が体中についたブラックが立っていた。
「これじゃあ第二軍隊長も落ちたもんだ...。」
「ブラック!」
ギーヴは呼んだ。ブラックは眉間にしわをよせ、ギーヴのほうを向いた。
「ちっ。おせえよ。まあ、てめえの拳銃がなくても勝てたからいいんだけどな。」
「じゃあ、戦闘は..。」
ブラックはギーヴが話しているのを遮った。
「いや、まだ続いている。次は謁見の間だ。あそこにはでっけえ扉があるが、それが破壊されたらしい。」
ギーヴは今がチャンスと思い、ブラックに尋ねた。
「ど、どういう状況か教えてくれないか?」
「あ、話してなかったな。いいだろう。簡潔に説明する。」
ギーヴは持っていた拳銃を拳銃を入れるための小さな袋に入れた。
「今、メリア帝国のやつらが襲撃しに来ている。理由はたぶん、領地奪還だろう。」
「この地は、もとはメリア帝国のだったのか...。」
「で、今回の襲撃は今まで以上に苦戦しているってわけだ。」
ギーヴはすぐ聞いた。
「なぜ苦戦を?」
「質問が多いなあ。今回は、メリア帝国の国王が変わってから初の襲撃だ。おそらく、その国王の軍事力強化の政策とかのせいじゃないか?」
「なるほど...。」
「無駄な質問は後にしろ。こうしている間にも闇の城が襲撃されているんだ。さっさと謁見の間に向かうぞ。」
「お、おん...。」
ギーヴたちは謁見の間に向かった。
第六章 兵長
謁見の間に着いた瞬間ブラックは戦闘を開始した。ギーヴは何をしたらいいのかわからず、向かってきた敵に対し、発砲を続けていた。
「おい!もっとほかのやつも狙え!」
ブラックに言われたギーヴは銃口を四方八方に向け引き金を引きまくった。すると、ザシュッッという音とともに轟音が響いた。全員が謁見の間の大扉を見た。
大扉は破壊された。それも一人の男によって。
ブラックは目の前の敵を倒し、にやりと笑った。
「来てくれたか。兵士さんよお。」
兵士と呼ばれた男は鎧をまとい、レイピアを右手に、盾を左手に持っていた。
「今は兵士ではない。兵長だ。」
「どうでもいい知識ありがとよ。」
とブラックが言う。
「なぜ襲撃を行った?これも国王の命令か?」
「ああ。マル国王からの命令だ。」
「へぇ~。新しい国王の名前はマルっつーのね~。」
「駄弁を弄するのはここまでだ。決着をつけよう。ブラック。」
「おお。いいだろう。おい、モノクル。どけ。」
ついにブラックにまでモノクルと呼ばれた。ギーヴは腹を立てながらその場から離れた。
しばしの静寂の後、二人は同時に地面をけった。
「ダークホールパワーA!」
というとブラックの周りに大きな暗い色の球体がいくつができた。それらはすべて兵長にむかって放たれた。兵長はレイピアで受け流し、ブラックに向かって突進してくる。
「は、はやい...!」
ギーヴの目ではここまでしか見られなかった。
剣と風を切る音は聞こえるが二人の姿は見えないほどに速い。
「兵長。名前なんつーんだっけ?お?」
兵長は答えた。
「シュヴァリエ・トルートだ。忘れるな!」
シュヴァリエはレイピアでブラックを高速で突いた。が、ブラックは華麗にかわしていく。
「お前、剣の腕落ちたなあ。戦いがいがないなあ。」
「黙れ!」
レイピアをさらに高速で動かすと、シュヴァリエの腕は残像のせいで何本もあるように見えた。
レイピアは何回かブラックをかすった。ブラックがシュヴァリエに対し腕を上げた次の瞬間、
「シュヴァリエ!!!」
という声が聞こえた。声の主は、ブラックに体当たりした。
「ぐはっ!」
その隙をつき、シュヴァリエはブラックの左胸をついた。
「うぐっ....。」
心臓に刺さった..。とギーヴは思ったが、レイピアは心臓から少し離れた所をついていた。
ギーヴは、ブラックに体当たりした男をみた。
「ダスト!」
その男はダストであった。
第七章 無念
ブラックはかすれた声で
「おい..モノクル....拳銃をよこせ...。」
といった。ギーヴはその場から動かなかった。
(俺はブラックの味方ではない。メリア帝国の味方だ。)
ギーヴはそう思った。
「貸せと言っているんだ!」
ブラックは無理やりレイピアを抜き、ギーヴのもとへ駆け寄ると、拳銃を取り上げた。
「あ!」
ギーヴが叫んだ時にはもう遅い。
銃口はシュヴァリエを向き、煙が出た。
シュヴァリエは
ダストにかばわれた。が、
銃弾が貫通し、左胸を貫いた。
「がはっ!」
ダストとシュヴァリエはその場に倒れた。そして、何も言わなかった。
「あり...がとな。モノクル。てめえの拳銃の....おかげで二人と...も仕留められたぜ...。さてと、確殺入れて...おくか。」
ギーヴには何もできない。ギーヴは目の前が固まった。
ブラックはダークがギーヴの脛に打ったものと同じもので二人の首を斬った。
そのあとのことはギーヴは覚えていない。
ただ覚えていることといえば、何もできなかった。ということだ。
ギーヴは今回の件で奴隷にはされなかった。
その後はブラックに尽くした。
水波刀を持ったものに出会うまでは。
水波火花刀探検記外伝 ~落ちた弾丸~ 完