表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/73

62話 しなびた王子が現れた!

 あ~! よかった!!

 間に合って本当によかった。

 ルヴァをぎゅうぎゅう抱きしめながら、ホッとする。


 ルヴァが泣き止むまで、そうしていたんだけど……この地下牢に降りてくる靴音が聞こえた。

 この気配……。


「ジルベルトだ」


 私がうへっと顔をしかめて伝えれば、ルヴァも眉間にしわが寄る。

 一体、なにをしに来たんだろう?

 

(私は姿隠してる方が、無難かな……)


 視界に入った瞬間、またすぐ「邪霊」だの「殺す」だの言われても嫌だから、消えておこう。

 でも、話はバッチリ聞くし、正体ばれた以上、ルヴァになにかあればすぐに出て行くつもりだ。


 私はルヴァに「そばにいるから」と囁いて、そっと破片の中へ入り込んだ。

 そうしている間に、ジルベルトの気配は近づいてくる。


 とうとう奴の姿が視認できたところで、私は驚いた。


(オーラがない……っていうか、まず顔が……)


 うるさいくらいキラキラめいた分厚い面の皮をお持ちの王子様。

 それが、ジルベルトだったけど……今の彼はどうだろう。

 しょんぼりと肩を落とし、しなびた野菜みたいになっていた。


 ついでに、片頬にはくっきりはっきり、真っ赤な紅葉が咲いている。

 一体、誰に叩かれたのか知らないが、サイズからして女性……剛毅な女性もいたものだ。

 

 私の存在には気付いていないジルベルトは、重そうな足どりでルヴァの方へやってくる。

 牢屋に入れられてるのはルヴァだ。

 それなのに、まるで向こうの方が罪人みたいな雰囲気を醸してくるんで、なんか調子狂う。


「……ルーカッセン」


 鉄格子の前まで来たジルベルトは、そこで足を止めてルヴァに呼びかけた。

 うわ、声まで力が無い。

 なんか悪いモノでも食べたんだろうか。


 でも、別にそんなことを気にしてあげる間柄でもないし……。


「……」


 ルヴァは無言を貫いた。

 しばしの間。

 


「ルーカッセン、私は……」


 再度の、呼びかけ。

 やっぱり、ルヴァは反応しない。

 そりゃあ、口ききたくないよね。

 付きまとわれたし、色々されたし……。


 私もコイツとは話したくない。

 なんなら、前世方式で塩まいて追い払いたいくらいだ。


「…………」

「…………」


 ルヴァがなにも言わないでいると、気まずくなったのか、ジルベルトも黙る。

 本当に、なにしに来たんだろう?


 セレスは、上から目線でなんか、ルヴァを哀れんでるようで楽しんでいたけど……コイツは?

 勝ち誇りにきたようにも見えない、しょげっぷり。


「…………すまなかった、ルーカッセン」


 突っ立ってるだけなら目障りだから、帰ってほしい。

 私が、そんな辛辣な考えを抱いたところで、ジルベルトは再度口を開いた。

――聞き違いでなければ、今、謝った……よね?


「本当に、申し訳ないことをしてしまった」


 幻聴ではない証拠に、ジルベルトは再度謝罪の言葉を口にしてルヴァに頭を下げた。  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ