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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
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93.ブラコンorハッカー令嬢


第93話



「やぁ、岩倉玲奈ちゃん、久しぶりだね。憩美を助けてくれて感謝してるよ。」


「あっ...はい、玉里様。」


観覧車を降りた私はその足で鳳凰の元へと向かい、憩美ちゃんを送り届けていた。義兄と再会できて喜んでいる憩美ちゃんは私の事を色々と鳳凰に話していた。鳳凰は鳳凰で『まさかこのタイミングで僕の義妹が玲奈ちゃんと出会うとはね...何か縁があるのかもね。』なんて話していた。


だが、私は正直それどころではない。



島津憩美しまづいこみ


ミラピュア本編での彼女は頭脳明晰でパソコンが大好きな公爵令嬢...なのだがそんな彼女にはミラピュアをプレイしていたファン達から2つのあだ名をつけられた。


1つ目は『ブラコン令嬢』というものだ。彼女は血は繋がらないながらも義兄である鳳凰を心から慕っており、不純な動機で彼に近寄る女にはなにかとえげつないイタズラを仕掛けており彼の周りに女が近寄らないようにしていた。早い話、鳳凰からの愛情を自らが独占したかったのだ。まあ、そのせいで自身がモテないという事実に全く気づかない鳳凰のシスコンにも呆れたものなのだが...


実際、ヒロインとの出会いも鳳凰を介してのものであり、ヒロインに協力するのも彼に頼まれて仕方なくという有様、さらにはヒロインと鳳凰を引き離す為に玲奈お嬢様をはじめとする悪役令嬢サイドの人間に密かにヒロインの情報を漏らすという裏切りとも呼べる行為にも及んでおり、当初はお世辞にもヒロインと仲が良いとは言い切れない関係だった...





...と、ここまでがヒロインが高等部2年の時の話。ヒロインが高等部3年、憩美ちゃんが高等部1年となり二人が同じ学部になった辺りから二人の関係性は大きく変化する事になる。この頃、とあるイベントが発生しヒロインは憩美ちゃんが誰にも言ってない秘密を偶然にも知ってしまう。それは憩美ちゃんのもう1つのあだ名、『ハッカー令嬢』が関係していた。


憩美ちゃんは家族にも内緒で密かにハッカーをやっていた。元々パソコンは好きだったが、ある日、偶然にもネットで知り合った友人が逮捕を直前に控えたブラックハッカーだった。自分の身に迫っている危険を悟ったハッカーは最後の足掻きなのか、自分が持つ技術の全てを当時まだ初等部高学年の憩美ちゃんに教え込んだのだ。


憩美ちゃんはその技術を早速活用した。地下家の同級生がそれなりのいいところの令嬢にいじめられているのをこっそり撮影し、その動画と一緒に加害者の令嬢の情報を全て載せた後、被害者の地下家の子は絶対に特定できないようにしてからネットにて拡散した。


その結果、加害者の令嬢は周囲から冷たい目で見られるようになり、ついには心身を病んで退学を余儀なくされた。


これが週刊誌とかだったら事前に会社に賄賂を渡して記事が出ないように揉み消すといった手段もあっただろうが、ネットからの流出はどうしようもない。消されたとしてもその頃には不特定多数の人間に広まっているはずなのだから。実際、加害者の家はこの動画の存在を知ると即座に家の権力を使って削除させたが反省してないどころか、むしろ娘の悪行を隠蔽してるなどと言われて完全に火に油を注ぐ羽目になったのだ。


憩美ちゃん曰く、それに味をしめてハッカーの技術を使って兄に近づく女達を事実無根の悪行を添えてネットで晒し、彼女達を兄から引き離していった。公爵令嬢として家の権力を利用するよりもこの方法の方が気分がすっきりしたらしい。


だが、無実を悪行を晒された女達も黙ってはいなかった。彼女達は結託し、隙を見て憩美ちゃんを拉致し乱暴を働く事で復讐を果たそうとしたのだ。その時、たまたま一緒にいたヒロインも拉致される事になり、その際にヒロインは憩美ちゃんの秘密を知るのだが、それでも身を徹してまで憩美ちゃんを庇ったため女達の怒りを買い、入院が必要なほどの大ケガを負わされる羽目になった。


そんなヒロインに憩美ちゃんも思うところがあったのか、ヒロインの見舞いを欠かさなかった。そして退院後には相変わらず口は悪いながらも性格は多少丸くなり、ハッカーの技術を生かしてヒロインを積極的に支援するようになった。


さらに終盤では自分をまるで妹のように接してくれるヒロインに好意を抱くようになり、ヒロインの恋が叶わなかったら私が彼女を養いたいとまで言い出すのだ。


このため、以前にはとある隠し条件を満たすとヒロインと憩美が結ばれる百合ルートが解禁されるというデマが広まるまでに至った。一方のヒロインは憩美ちゃんを年下の友達としか見ておらず、最後まで彼女の気持ちに気づくことはなかったのだが...



そんなわけで今、私の目の前にいる憩美ちゃんは可愛い顔して実は超危険人物なのである。


「玲奈さん‼本当にありがとうございました!」


「えぇ...良かったですね。では私達はこれで...」


私はこれ以上この二人とは関わりたくなかったので、さっさとこの場を去ろうとしたのだが...


「玲奈ちゃん、ちょっといいかい?」


「まだ何か?」


鳳凰に呼び止められてしまった。一体何の用だろうと私が耳を傾けると彼の口から飛び出した言葉は衝撃的なものだった。


「憩美が立派な令嬢になれるよう玲奈ちゃんが教育してくれないかな?」


「はい?」



鳳凰は一体何を言ってるんだ?





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