92.思い出した‼
投稿が遅れてすみません!ここまで遅れた理由について詳しくは活動報告の方を見て頂ければ幸いです...
これからも体調に気をつけつつ投稿頻度を増やせるよう頑張ります。
第92話
そんなわけで憩美ちゃんのご家族を捜す事になった私達...
「ご家族が行きそうな場所に心当たりは?」
「わからないです...ここに来るの初めてなので...」
「これは長い道のりになりそうですね...」
こんな人混みの中で憩美ちゃんのご家族を捜しだすのは容易ではない。ただ、やみくもに捜し続けるだけではダメだ。
「あっ‼玲奈お嬢様、提案があるのですが...」
「姫香どうしましたか?」
そんな事を考えてると姫香が何やら閃いたような顔をして私に話しかけてきた。憩美ちゃんのご家族を簡単に見つけられるナイスな方法を思いついたのだろうか?
「一旦、あの観覧車に乗りませんか⁉」
「いや、姫香ったら...ん?」
一瞬、姫香が憩美ちゃんのご家族を捜すのに疲れたから観覧車で私とワイワイしたいと言ってるみたいでため息が出そうになった私だがすぐにその真意を悟った。
(高い場所から捜せばいいって事ね‼)
高所のアトラクションなら他にも結構ある。だが、ほとんどがジェットコースターといった絶叫系だ。これでは地上にいる大勢の中から憩美ちゃんのご家族を捜しだすなど無理に決まっている。その点、観覧車なら問題ない。
「姫香、あなたの考えはよく分かりました...」
「えっ⁉では⁉」
「このまま歩き続けても大勢の人混みの中から憩美ちゃんのご家族を捜しだすのは難しい...ならば上をとると...姫香らしいナイスな判断です!早速観覧車に向かいましょう‼憩美ちゃんもそれでいいですか?」
「はい!」
「いや、あの...玲奈お嬢様?」
こうして私達3人は観覧車へと向かったのだった。
(疲れちゃったから少し息抜きして観覧車で玲奈様とイチャイチャしたかったのになぁ...全く玲奈様はお人好しなんだから‼...まぁ、それでこそ私の主に相応しいんですけどね...)
その際になぜか姫香が少し残念そうな顔をしてたとか...
・・・・・
「高いですね~‼」
「ですね。万が一、ここから落ちたりでもすれば大ケガじゃ済まないですよね...」
「ちょっ‼姫香!縁起でもない事言わないで下さい!」
ちょっと怖い事を言う姫香を嗜めながら私達は憩美ちゃんのご家族を探していた。
「それで憩美ちゃんのお兄様は何で私の事を知っているのでしょうか?」
観覧車のゴンドラの中で私は最初から気になっていた事を憩美ちゃんに聞いていた。そもそも憩美ちゃんの兄がなぜ私の事を知っているのだろう?
(まぁ、学園では確かに有名人ですけど...)
一応、憩美ちゃんの兄が私と同じ明成学園の生徒なら私の事を知っていてもおかしくはないはずだ。さらに...
数分程前、
「憩美ちゃん、喉は乾いてませんか?」
「私は大丈夫ですけど...玲奈さんこそ大丈夫ですか?エラダイナコのコーヒー買った方が良いんじゃ...」
「......」
エラダイナコとは私がミラピュアの世界に来て一番好きになった飲料を作る会社の名前だ。私はその中でも特にミルクコーヒーを好んで飲んでいるのだが、そもそもエラダイナコのドリンクは普通の人なら年に2、3本しか飲めないほどの超高級品なのだ。私はそんな高級なコーヒーを三聖室でよく飲んでいる。
ここまで聞けば分かるだろう。私がエラダイナコの飲料が好きな事を知っているのは三聖徳会のメンバー以外はあり得ないはずだ。
つまり、憩美ちゃんのお兄さんは...
「それはですね...って‼あっ‼お兄ちゃんいました!あそこに‼」
「どこです⁉」
「ほら‼観覧車乗り場の出口にいるあの人です!」
憩美ちゃんが指さす先を見た私は彼女の兄の顔を確認した。そして、今一度だけ憩美ちゃんに確認を取る。
「ほっ、本当にあの人?人違いとかじゃなくて⁉」
「はい!ろうおうお兄ちゃんに間違いないです!」
ろうおうお兄ちゃん...いや、その言葉がなくとも彼女の兄の顔を見た時点で私は全てを思い出した。
(島津憩美ってゲームに出てきたまさかのあのキャラ⁉)
私は震えがとまらなかった。なぜならゲームの玲奈お嬢様の破滅に手をかした男ならびにその義妹が目の前にいるのだから...
「よりにもよって憩美ちゃんの兄が三聖徳会前会長の玉里鳳凰様だったなんて...」
そんな私の不安を煽るかのように私達の乗るゴンドラは無情にも地上へと少しずつ近づいていくのだった...




