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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
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91.遊園地を満喫!その③


第91話



一方、その頃...


「うわあぁぁ~ん‼蛇茨ちゃあぁぁ~ん‼怖かったよぉ~‼」


「はぁ...だから止めときなとあれほど...」


蛇茨は泣きながら抱きついてきた姫由良を慰めながらもやれやれとした表情を浮かべていた。


(姫由良にお化け屋敷なんて絶対無理なんだから...)


たくさんあるアトラクションの中で姫由良が選んだのはよりにもよってクリスタルホラータウンというこの遊園地で一番怖いとされるアトラクションだったのだ。蛇茨自身は止めておくように何度も忠告したのだが姫由良は、


『私だって勇気があるって事を玲奈ちゃんに自慢したいの‼』


という一点張りだったのだ。



...で、その結果が案の定、恐怖に怯え続ける羽目になり、しまいには係員に助けられて途中でリタイアというわけだ。


「やっぱり姫由良にはメリーゴーランドみたいな可愛い系が似合ってるわ。」


「あー‼蛇茨ちゃんが私を馬鹿にしてる~‼」


「私は事実しか言ってない。」


「優里ちゃん助けて~‼」


「まぁまぁ、お二人とも...」


このままだと口論がヒートアップしそうな雰囲気だったので訳あって二人と一緒に行動していた優里が姫由良と蛇茨の仲裁に入った。


「はぁ...優里ったら、あのさ!私達が本気で喧嘩をするわけないでしょ?」


「それは分かってますけど...それよりお二人は他の人からの視線が気にならないんですか?」


「「えっ⁉」」


蛇茨も姫由良も全く気づいていなかったが、玲奈から借りた護衛達を引き連れて遊園地ではしゃぐその姿は良いところのお嬢様そのものだった。また、二人はこの日の為にと普段は絶対に着なさそうな服をわざわざ親に買って貰っていたし、さらに優里から見て姫由良も蛇茨も明成学園にて玲奈達、上級貴族と一緒に過ごすうちに自然と玲奈達と同等の礼儀作法や佇まい、そして雰囲気までもを身につけていた。


さらにいまや、姫由良は同じ一般出身の子達から自分達の期待の星とか目標とか言われてるし、蛇茨に至っては性格が丸くなってあれほど嫌っていた貴族の事を悪く言うことも少なくなり、貴族と一般学生がどうすれば自分と玲奈達のように分かりあえるか考えてるくらいだ。そして、本人達も知らず知らずのうちにそれが当たり前の日常になっていた。


そんな事もあってからか、さっきから他の人達の視線が三人に集中していたのだ。


「別に私は気にしないかな。」


「私も...玲奈ちゃん達と一緒にいる事が多くてもう目立つ事には慣れちゃったし‼」


「そうなんですね...」


普通の一般学生なら玲奈達に話しかけるだけでも恐れ多い事だろう。優里はこの二人...特に自分達がいじめていた際は気弱だった姫由良が一体いつからここまで怖いもの知らずになったのかと唖然としていた。


「蛇茨さん、一緒に行動する事を許してくれてありがとうございました。」


「優里ちゃんったら固いよ~‼蛇茨ちゃんは優里ちゃんが大好きなんだから当たり前だって~‼」


「はっ...はぁ⁉なっ!何言ってるのよ⁉私は優里が一人ぼっちだと玲奈に余計な負担がかかると思ってだね...」


「そういう事にしておくね!」


「ちょっと‼姫由良!本当になんだから!」



蛇茨をからかう姫由良と優里の事で思いっきりツンデレを発動させる蛇茨、そんな二人の様子を見て優里もただ苦笑いするしかなかった。






・・・・・


「玲奈様、昼食はどうしましょうか?」


「そうですね~...」


私と姫香はいくつかのアトラクションを楽しんだ後、昼食の事について考えていた。


(この遊園地って食事できる場所が多いからな~。)


この遊園地には普通のファミリーレストランやハンバーガーなどのファストフード店はもちろん、巨大なインドゾウの形の建物のカレー店や店員が全員ウサギのコスプレをしたお餅屋さん、さらに変わったものには、おにぎりや魚料理だけの専門店まである。そして、5ヵ所程ある休憩所にも飲食できる場所があちこちに存在している。こうなると本当に選択肢で迷ってしまうのだ。


私達が昼食に迷っていると、


「お兄ちゃあぁ~ん‼どこー?」


「ん?」


私よりも2歳程年下の女の子が近くを通りかかった。姿が見えない兄を探している様子から恐らく迷子だろう。ゲームの玲奈お嬢様なら自身の遊ぶ時間が減るとか言って放置していただろうが私にはその女の子を見捨てるという選択肢はなかった。現に姫香も『あの子を助けてあげましょう‼』と言いたそうな目で私を見てきた。


「ねぇ、あなた迷子なの?」


「うん、そうです...お姉ちゃん達は誰ですか?」


そういや、まだ名乗ってなかったね...


「私は岩倉玲奈といいます。」


「えっ⁉あなたが岩倉玲奈さん⁉」


私が名乗ると女の子は非常に狼狽した様子だった。口振りからして私の事を知ってるのだろうが、私は彼女と面識はないはずだ。


「私を知ってるのですか?」


「はい!お兄ちゃんから聞いてるので‼」


お兄ちゃんか...私の事を知ってるということはそれなりの上位貴族の人間だろうか?でもそれだとこの子が護衛も連れずに一人、迷子になってる事の説明がつかないのだが...


「それで...あなたのお名前を聞いても?」


「あっ‼はじめまして!島津憩美しまづいこみです!」


「島津憩美さんですか...」


ん?その名前前世でも聞いた事があるような気がする。という事はこの子はミラピュアの登場人物か?...う~ん、だけど思い出せない。


「では玲奈様、この子のご家族を捜しに行きましょう。」


「まぁ、そうですね...」



まぁ...そのうち思い出すかもしれないし、今は憩美ちゃんをご家族のもとに無事に送り届ける事を優先するか...




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