7.取り巻き同士は犬猿の仲なの!?
第7話
「えっ?さっ...清芽ちゃん?その...どうして...」
「玲奈ちゃん?もう一度聞きますね。こんな人目につく場で...いったい、何をなさろうとしているのでしょうかね?」
(いやいや!ちょっと待って...清芽ちゃん、怖すぎでしょ!)
もしかして、清芽ちゃんは奏ちゃんの事が嫌いなのかな?いや、やっぱり私の事が嫌いなのだろうか?
「あら~、貴女は確か菊亭清芽よね?噂は聞いてるわよ。琵琶の天才令嬢だってね。」
「奇遇ですね。私も貴女の事は知ってますよ。笛だけが取り柄の個性豊かな令嬢様だとか。そのような方が私のお友達に何をしようとしているのですか?」
(ん?)
今、清芽ちゃんが私の事をお友達と言ったような...あれっ?私の事を嫌ってるわけじゃないのかな?
「はぁ?バカにしてんの⁉っていうか私のお友達って何よ‼玲奈お姉...いや玲奈様は私の物なのに‼」
「はい?玲奈様は誰の物でもありませんよ。そんな事も分からないのですか?申し訳ありません、玲奈様。同じ六候家の令嬢として私からお詫びいたします。」
「いや...その...」
思い返せば同じ取り巻き同士でありながらこの二人はゲームでも仲が悪かった。ゲームの玲奈お嬢様はこの二人の仲の悪さに内心うんざりしており、何とかして仲を取り持とうとしたが上手くいかずに終わった。ゲームの玲奈お嬢様は頭が悪いのだから無理に決まっている。
だが、今の私は違う。原作知識もあるし、あれから勉強や武道、華道、茶道と色んな事に取り組んできた。自分でいうのもなんだが最強令嬢だと思っている。そんな私なら上手く二人の仲を取り持てるだろう。
「私は清芽ちゃんとも奏ちゃんともこれからずっと一緒に過ごしたいのです。私は貴女達が私の支えになってくれると信じています。なので、お二人は誰にも渡したくありません。そんな貴女達が私の前で喧嘩だなんて私は少し悲しいのです...お二人にも仲良くなって頂きたいのですが...」
「...」
「...」
私がそう言うと清芽ちゃんと奏ちゃんはお互いの顔をみて数秒間黙りこんだが二人揃って満面の笑みを浮かべると、
「なんと‼玲奈様がそこまで私達の事を想ってくれていたなんて!この大炊御門奏はとてもうれしいです!これからもよろしくお願いします!清芽‼貴女ともこれからは友達よ!よろしく頼むわよ!」
「ちょっと!私が先に言おうとした事を...玲奈様、それと...奏さんもこれからよろしくお願いいたします。」
う~ん?何とかこの二人は仲良くなれたのかな?まぁ、見ている限りだとゲームの二人よりは遥かにマシだ。
「あと私の事は様付けしなくても結構ですよ。玲奈って呼んでいただきたいのです。あと敬語もいりませんよ。私の事は友達だと思って気軽に接して欲しいんです。」
私はゲームの玲奈お嬢様とは違い、この二人との信頼関係を確実なものにしたいのだ。特に清芽ちゃんとはね...
「いえ...そんな無礼な事、奏さんじゃあるまいし私にはできませんよ。」
「ちょっと清芽‼私も流石にそこまで無礼じゃないわよ‼」
「まぁまぁ二人とも落ち着いて下さい...」
せっかく仲良くなったと思いきやまた喧嘩になりそうだったので私は慌てて間に入るのだった。
・・・・・
5分後...
話し合いの結果、清芽ちゃんは私の事をちゃん付けで呼んでくれる事になった。清芽ちゃん曰く、まずは信頼関係を深めるところから始めたいとの事だ。
一方、奏ちゃんは様付けのままだ。奏ちゃん曰く、私の敬いすぎて私は様付け以外で呼ぶのはあり得ないんだそう...
奏ちゃんはともかく、ルートによっては敵対する事になる清芽ちゃんとは信頼関係が結ばれて本当に良かった。
「あっ‼少しお手洗いに行ってきますね。」
「はい!」
「どうぞ‼」
会場に着いてから今までの事で緊張していて、お手洗いに行くのをすっかり忘れていた。このままでは漏らしてしまうかもしれない。私は姫香を伴って慌てて、お手洗いに向かうのであった。
・・・・・
お手洗いを済ませた後...
「玲奈お嬢様、機嫌が良さそうですね?」
「分かる?」
「はい。」
姫香に言われた通り私は上機嫌だった。だが私は知らなかった。この数分後まさかの事態が発生する事を...
そして...
「分かってるじゃないの清芽!そうよ‼玲奈様の可愛さを知っている者同士だもん、貴女とは仲良くなれそうね。でも玲奈様を先に堕とすのは私よ‼」
「何を言ってるのですか?最初は私ですよ!」
「ああっ‼好き!好き!そして私達以外には絶対に渡したくない‼」
「玲奈様~!尊い...」
別の場所にてこのような会話が繰り広げられていたという事も...