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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
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81.さらば、岩倉玲奈...


第81話



「レイナ‼レイナ‼」


「フィクサー⁉どうしたんですか?」


いつもなら、陽菜の部屋で大人しくしている筈のフィクサーがこの日に限って私の部屋に飛んできてきて何やらうるさく騒いでいる。


「レイナ、オマエサッキカラダレカニミラレテルゾ!ワカランノカ?」


「えっ⁉」



そう...フィクサーのその一言が終わりの始まりだった。





・・・・・


「玲奈お嬢様の部屋が誰かに見られてるというのですか?」


「はい、そうらしいです...」


私はこの後、部屋に入ってきた姫香にもフィクサーが言った事を話してみた。


フィクサーが言うには数時間前から庭にある物置小屋付近で私の部屋を見張る何者かの人影と気配を見つけたのだという。最初は私を護衛するSPか、家で働いている庭師のどちらかだと思っていたが、数時間経っても一向に立ち去る気配がないのでこれは只事じゃないかもしれないと思い、私に知らせにいったんだとか。


「確かにそれは変ですね...そもそも旦那様はいつもは物置小屋付近にSPなんて配置してませんし...まぁ、作業のために彼処に立ち寄る者はいなくはないかもしれませんが、流石に数時間も動かないのはおかしいと思います。」


「なら、一体誰が...」


岩倉家の警備は厳しく、普通の人間が無断で侵入するのはほぼ不可能に近い。それを掻い潜って侵入してくるという事は相手は並み大抵の人間じゃないだろう。


「玲奈お嬢様!怖がらないで下さい‼この姫香が命にかえてもお守りいたします!」


「えぇ、ありがとう...姫香。」


「いいえ!玲奈お嬢様のためなら当然の事です!」


いつの間にか震えていた私を見た姫香がそっと私を抱き寄せてヨシヨシと頭を撫でていた。その光景はまるで妹を癒す姉のようだ。


「フン、ドサクサニマギレテレイナヲタイノウスルトハ...ホントニワルイオンナダ...」



その光景を見ていたフィクサーが一人...いや...一羽、そんな事を呟いていた事を玲奈はもちろん知らない。






「調べてみたのですが...岩倉家の人間の中に該当する人間はいませんでした。」


「そうですか...醒喩、ありがとうございました...」


この後、家にいるSPや使用人全てを召集して話を聞くことにしたが、今日、物置小屋付近に近づいた者は一人もいなかった。


そうなるとやはり...


「やはり、外部の人間の仕業でしょうか?」


「その可能性が高いですね...ちょっとまだいるか見てきますね!」


「ちょっ...玲奈お嬢様⁉」



私は止めようとする姫香を振り切ると物置小屋へと走り出した。






私が物置小屋付近に到着するとフィクサーが言った通り、私の部屋の方を見ている何者かの人影を発見した。


(嘘でしょ⁉まだいたなんて...)


姫香に抱き寄せられて和らいでいた恐怖が再び芽生えてきた。


(私...殺されちゃうのかな?...絶対イヤ‼死にたくないよ...この世界では長生きすると決めたのに!)


私は恐怖のあまり、逃げることもできず、その場でただ、立ち尽くす事しかできなかった。


「玲奈お嬢様‼」


「姫香...」


私を追ってきたのか、姫香が駆け寄ってきた。私は一瞬、ホッとしたがそうはいかなかった。


「............!!」


どうやら私達の声で侵入者が自分の周りに人がいることに気づいてしまったみたいだから...


「姫香ー‼来ちゃダメー‼逃げてー‼」


私自身が死ぬのはもちろんイヤだが、かといって私の為に他人の命が失われるのはもっとイヤだ。命はたった1つの大切なものだという事を前世で若くして亡くなった経験を持つ私が一番知っている。


だから...せめて姫香だけでも守ろうと私は力の限り叫んだ。


すると、その言葉を聞いた侵入者が私の方に向かって走って駆け寄ってきた。


(もうダメなんだ...)


やっぱり、玲奈お嬢様になったからには、たとえ歴史を変えても悲惨な末路を辿るという結末は変える事はできなかったみたいだ。


(せめて次の転生先では幸せになりたいな...)


私はそう思いながら、ギュっと目を瞑った。自分が死ぬ瞬間なんてみたくない。


皆、短い間だったけど...いままでありがとう。



次の瞬間、私の心臓にナイフが刺され、私の岩倉玲奈としての一生は終わりを告げた...






「玲奈様‼私、退院して遊びに来ちゃいましたー!」


「えっ⁉滓閔ちゃん⁉」


「はい!正真正銘の本物の滓閔がやってきましたよー‼」


...なーんて事はなかった。いや、確かに刺されたは刺されたが、いきなり可愛い女の子に抱き着かれたものだから私のハートにドキドキのナイフ?みたいなのがキュンと刺さった感じだ。


「ちょっと貴女!なに無断で岩倉家に侵入してるのですか⁉」


「ごめんなさい...玲奈様を驚かせたくて...これぞ、まさに油断大敵ということわざに...」


「全然意味が違います!」


姫香が滓閔を怒っているようだが、今はどうでもいい。とにかく今の気持ちは...


(最終回にならなくて良かったー‼)



この日ばかりは侵入者の正体が滓閔だった事に感謝しないとね‼




ほぼタイトル詐欺ですね笑 流石にこんなタイミングで最終回にはしません。

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