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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
幼少期編
8/291

6.取り巻きとは仲良くしたいの!


第6話



姫香にはあんな感じで言われたけど...本当に清芽ちゃんと仲良くなれるのだろうか?私はちょっとだけ心配だった。


(う~ん、また改めて清芽ちゃんと話す機会があればいいんだけどね...)



「あっ!えっと、どうも!ご機嫌ようです!岩倉玲奈様‼」


また、別のご令嬢に声をかけられた。ちなみに私はこの令嬢の方にも見覚えがある。


なぜなら...


「あっ!初めまして!大炊御門奏おおいのみかどかなでです‼是非とも、私を玲奈様のお仲間にお加え下さい!」


大炊御門奏と名乗ったこの令嬢も実はゲームの玲奈お嬢様の取り巻きの内の一人だからだ。


ゲームの奏ちゃんは頭脳派の清芽ちゃんとは正反対でとにかく頭よりも先に手がでるタイプの人間でヒロインのいじめにも積極的に加担し、時に暴力を振るう事もあった。


また、玲奈お嬢様の取り巻きであることをいいことに事あるごとに玲奈お嬢様の名前を出しては傍若無人な振る舞いをしていたため、ほとんどの貴族や平民も彼女の事は酷く嫌っていた。


ゲームの玲奈お嬢様はその事を知っても止めもせずにむしろ面白がっていた。そのため奏を裏で動かしている黒幕とみなされてしまい断罪の理由の一つとされるのだ。


最終的な奏ちゃんの末路だが...ほとんどのルートで玲奈お嬢様に捨て駒にされ物語中盤で玲奈お嬢様に先んじて破滅させられる。運良く終盤まで残るルートもあるが結局破滅させられる事に変わりない。彼女の人柄故に清芽ちゃんと異なり破滅から逃れるすべはない。玲奈お嬢様に次いで悲惨な末路となる。


唯一、褒められるところは形はどうであれ玲奈お嬢様を見捨てなかったところだ。


「こんなに可愛い子が...ね。」


「れっ...玲奈様‼いやいや私なんか全然玲奈様に及びませんよ!」


どうやら、私は心で呟いていたつもりだったが、うっかり口に出してしまったらしい。奏ちゃんはそう言うが私は充分可愛いと思う。清芽ちゃんが清楚系と例えるなら奏ちゃんは生意気系だろう。そういうタイプの女性が好きな男もいる。諦めるのはまだ早い。


「いいえ、そんな事はありませんよ。奏ちゃんだって充分可愛いです。」


「ですが...私は両親や姉からやんちゃな問題児のご令嬢様って言われて見下されている出来損ないです...そんな私のどこが良いのでしょうか?」



(なるほど...)


私は全て理解した。どうやら奏ちゃんは家族と仲が良くないらしい。恐らくゲームの奏ちゃんが傍若無人に振る舞っていたのは家族に愛されなかった寂しさとストレスをまぎらわせたかったためだろう。ゲームでは奏ちゃんの最後まで詳しい家庭事情は明かされなかったが大炊御門家自体はエンディングでその後も存続している事が判明しているため、恐らく大炊御門家は奏ちゃんを見捨てたんだなとは簡単に予測できた。


「やんちゃと言われるという事は裏を返せば行動力があるという事です。奏ちゃんはお忍びで出かけた時、泥棒を捕まえたそうではないですか。」


「なぜそれを...」



えっ?なぜ、私が知ってるのかって?それは泥棒の正体がまさかの人物だったからだよ。


「それに奏ちゃんは家業である笛が得意ではありませんか。上位の家ではそれが噂になってますよ。」


「でも...それだけなんですよね...やっぱり私は...」



まずい!このままでは奏ちゃんがゲーム通り闇堕ちしてしまう。そんなの今の私には耐えられない。


「あぁ‼もう!貴女はずっと私の側にいなさい!私には奏ちゃんの良いところがたくさん分かる!私の友達になれば自信が持てますよ!」


「本当ですか⁉玲奈様...ありがとうございます‼」


そう言うと奏ちゃんは涙目になりながらも喜んでいた。これから私がこの子を正しい道へと導かないといけない。そうしないと奏ちゃんはゲーム通りの末路を向かえてしまう。気を引き締めねばいけない。


「...玲奈様、ツンツンしててかっこいい...玲奈お姉さまって呼びたい...」


顔を真っ赤にした奏ちゃんが何か呟いていたが何なんだろう?私を怖がっているのかもしれない。


(...いや、まさかね。)


...で、それよりも、


「泣いてる顔も可愛い~!今すぐにでも抱き締めていいかな~?」


「え?いや!玲奈様、それはそのぉ~...」


「あっ...」


しまった‼また口に出してしまった。奏ちゃんは下を向いてモジモジしてる。これでは私が変態みたいではないか。早く訂正しないと。


「奏ちゃん‼今のは気にせずに「いいです...よ。」えっ⁉」


「いや、決して下心とかがあるわけじゃないんです!でも私お母様にも抱き締められた事もなくて...だからちょっと抱き締められたいな~と。」


「奏ちゃん...」


奏ちゃんは相変わらずモジモジしてるが目は真剣だ。断れる雰囲気ではない。私は覚悟を決めた。


「じゃあ、抱きつきますよ...」


(奏ちゃん、これで少しは心が癒されればいいけど...)


「はっ...はい‼」


(うっひょー‼ついに玲奈お姉さまが私に‼あわよくばあんな事やこんな事できるかも⁉イヒヒッ。)



次の瞬間、私は奏ちゃんに抱きつく...筈だった。


「あの~玲奈様~?この方といったい何をしようとしてるんでしょうか?」


「えっ?」


私が声がした方をみるとそこには笑顔だが目が全く笑ってない清芽ちゃんが立っていたのだった。




修羅場の予感⁉

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