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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
68/316

66.下級生達の日常 その①

今後の展開で陽菜を含む下級生キャラの影が薄くならないように(下級生キャラが今後大幅に増えるのも見越して)不定期で下級生達の日常編を描いていこうと思います!


今回の時系列は陽菜達の学園生活初日目(第60話~第61話)です。


第66話



「はあぁぁ...」


「莱們ちゃん、大丈夫?具合悪いの?」


「あっ...いや‼ただの寝不足だから安心して‼」


1年生の教室で三条莱們はため息をついていた。最初は尊敬する玲奈お姉様と同じ学園に入れるのが待ち遠しくてたまらないという気持ちが大きかったが、入学直後にその気持ちは一転した。


学園生活初日目、自分の机の引き出しの中にとある手紙が入っているのを見つけてしまったのだ。中を確認したところ驚愕した。それは三条家宛の脅迫状で逆らえば大切な親友である陽菜の素性をバラすと書いてあったのだ。


これを脅迫状を見た莱們は怖くて仕方なかった。玲奈お姉様に憧れて人前では毅然としたしっかり者を演じている彼女だが、まだ6歳なのだから...


結局、莱們はその日、昼休みになるまでの事が頭に入らなかったのだった。








「莱們ちゃん‼私の新しい友達も加えて一緒に遊ぼ!」


「えぇ...」


自分の身に迫る危機を全く知らずに笑顔で自分を遊びに誘う陽菜が何だかとてもかわいそうに見えてきた。


昼休みになり、莱們は双子の弟で将来は三条家次期当主となる三条耀心に脅迫状の事で相談してみたが良い対処法は思いつかず、とりあえず決まった事は陽菜には脅迫状の事は絶対に言わないという事だけだった。自分のせいで莱們や耀心が苦境に立たされる事を知ったら陽菜は傷つくだろう。ましてや陽菜は清水萌留という新しいお友達ができ、学園生活を楽しんでいる。そんな状況に水を刺すような事はしたくない。


「莱們ちゃん、久しぶり~‼萌ちゃんだよー‼」


「...久しぶりね、萌留。」


ちなみに莱們と萌留は学園入学以前に開催されたパーティーで知り合ってから公爵家と地下家という垣根を越えた友人関係になっている。地下家出身の萌留が気安く公爵令嬢の莱們に話しかけるのもそのためだ。


また、萌留は陽菜の本当の素性こそ聞かされてないが陽菜の人柄や性格を莱們から事前に聞いていた事もあり、臆する事なく陽菜に話しかけ、早々に仲良くなる事ができたのだ。


「あっ‼玲奈お姉ちゃん!」


「......⁉」


陽菜が指差す方を見ると、尊敬する玲奈お姉様が教室の扉の前で立っていたのだ。それを見た陽菜は玲奈お姉様の元へ駆け寄っていき、萌留も後を追っていた。


(きっと、私達の事が心配で...さすが私の尊敬するお姉様です‼)


もしかしたら玲奈お姉様なら脅迫状の件、何とかしてくれるかもしれない。正直、岩倉家にメリットはないから私達を助けてくれるとは限らないだろう。でも....それでも‼玲奈お姉様は決して私を見捨てない!


だからこそ莱們は脅迫状の件を玲奈お姉様に相談してみる事にしたのだった...





・・・・・


(玲奈お姉様...お優しい‼本当に...本当にありがとうございます!)


莱們から脅迫状の事を聞いた玲奈お姉様は即座に協力すると言ってくれた。しかも『守ってあげる』とまで...


その言葉を聞いた時、莱們は感極まって玲奈お姉様に抱き着き号泣してしまった。そんな莱們を玲奈お姉様は優しく抱き返し、落ち着くまで頭を撫でてくれた。


「えへへ~‼」


その時の事を思い出すといまだに興奮が収まらない。莱們は一人浮かれながら、先に戻った玲奈お姉様を追って教室に戻ろうとしていた...


...のだが


「ない!な~い‼どこにもな~い‼ママからもらった私の大切なポーチが~‼」


(ん?)


誰かの悲痛な叫び声が聞こえたので声がした方に向かってみると一人の女の子が必死になって何かを探している様子だった。


「貴女ポーチなくしたの?私も手伝うわ‼」


それを見た莱們は迷わず声をかけた。尊敬する玲奈お姉様もこの場面を見れば同じことをするだろう。


「えっ⁉...って‼貴女は確か公爵家の三条莱們様‼いいんですか?私の為に貴重な昼休みを削って‼」


莱們も確かに昼休みが削られるのは嫌だった。でも...


「私には尊敬しているお姉様がいる...そのお姉様はかつてない歴代最高のご令嬢なんだから‼たぶん今の貴女を見れば迷わず助けてたわね‼別にそのお姉様の真似をしたい訳じゃないけど...少しでもそのお姉様に認められるに値する人間になりたいのよ‼」


それ以上に困っている人間を見捨てる事はできなかった。


「三条様~‼まるで狐の子供の自立ストーリー的な話ですね~‼かすみん感動なのです~‼」


「はぁ⁉」


「織姫と~‼彦星の再会に匹敵するユーモラス!」


「いや、何言ってんの?」


さっきとは口調が別人のように変わり、言ってる事がめちゃくちゃでよく分からないがこの子は莱們の言葉に感動しているようだった。


「一応、貴女の名前を教えてくれるかしら?」


「...えっ⁉あっ‼名前ですか‼私はかすみんこと有明滓閔です!ただの一般人ですがよろしくお願いしますね、三条様。」


(...あれ?いきなり口調が最初に戻ったわね?)


莱們は滓閔の僅かな異変に気づきながらもその後、昼休みギリギリまで彼女のポーチ探しを手伝ったのだった。



下級生組の日常はまだまだ続く...




今回は莱們視点でしたが次回以降は他の下級生視点もあるかもです笑

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