表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
56/315

54.1年生はあっという間に終わる

1年生編はこれで終わりです。


第54話



冬はあっという間に終わりを告げ、暖かい春が訪れた。


「二条様、わざわざ家まで訪ねてきて何の用でしょうか?」


「その...実は玲奈に話があってな。」


春休み直前のある日、兼光が岩倉邸を訪ねてきた。私としては文通をしてやるだけでも有り難いと思ってほしいというのに...


「私に話とは...何でしょうか?」


さっさと用件を言って帰ってもらいたい。私はそう思っていた。


「実はな...一度、俺の家に来てほしいんだ。」


「はい?」


なぜ、私がわざわざ二条家を訪問しなければならないのだろう?そう疑問に思ってる間に兼光はさらに話を続けた。


「俺の両親...特に母様が玲奈を快く思っていない。そこで、一度会って親睦を深めてもらいたいんだ。」


「えっ⁉」


これは意外だ。兼光が私の事を社交界で堂々と許嫁候補と公言しているものだからてっきり兼光のご両親も私を兼光の許嫁と認めているとばかり思っていたのに...


(私としてはむしろ、兼光の母親を応援したいぐらいだよ...)


これを上手く利用すれば私は兼光の許嫁候補から抜けられるかもしれない、そして破滅の危機を回避できるではないか。そう考えれば私にとって二条家を訪れるのは決して悪い話ではなかった。


「分かりました。近いうちにこちらの都合が良い日時をご連絡いたします。」


「そうか‼玲奈!俺は楽しみにしてるからな‼」


私の返事を聞いた兼光はニコニコしながら、ご機嫌な様子で私の部屋から出ていったのだった。







・・・・・


(クソッ‼何で俺がこんな目に遭うんだよ‼)


とある密室でその男...堀上硲は目隠しをさせられたまま椅子に縛りつけられていた。堀上は表向きこそ明成学園の若き警備員だが実際はとんでもない悪人だ。


つい最近、協力者である明成学園初等部校長の副木芳文が辞任したのは予想外だったが下手をすれば自分も怪しまれてしまう。そう考えいつもと同じように表向きの仕事である明成学園の警備員の仕事を終え、帰路に着こうとした時だった。


突然、後頭部に激しい痛みを感じた。薄れ逝く意識の中で堀上が見たのはサングラスをかけた黒服の男が自分にスタンガンを撃っていた瞬間だった。


その後、しばらくして意識を取り戻し今に至るというわけだ。


(まさか...副木の奴が吐いたのか?ちっくしょ...)


堀上が何とか逃げ出そうともがいていると、


コツコツ...


(誰かが来てる...)


自分の近くで足音が聞こえた。その足音は明らかにだんだんこちらに近づいてる気配がする。


「おい‼お前は誰だ⁉なぜ俺をこんな目に!」


恐怖に多少怯えながらも堀上は声を振り絞って足音の主に問いかけた。


『理由ならば君が一番分かっていると思うが?そこまで頭が悪いのかね?』


「......‼」


足音の主から返事が返ってきた。目隠しをさせられているため相手の顔は見えないが1つだけ分かった事がある。相手の声は地声ではない、明らかに変声機を使っていることだ。


『貴方が副木芳文に賄賂を渡し、学園の機密情報を盗んでいる事ぐらい知ってるのですよ。』


「なっ...」


『貴方を操る人間がいるはすです。それを吐いていただきます。』


相手は先程とは口調が変わり、丁寧に話しかけてきた。


「そんなの言えるわけないだろ‼俺をナメるな‼」


『あらあら、早く吐けば楽になれるというのに...ならば仕方ありませんね...』


高校卒業後、行く宛もなかった自分を召し抱えてくれたあの方を裏切るわけがない、どんな拷問にも耐えて見せる!


だが、堀上の余裕は長くは続かない。


『お前さんには結婚してまもない妻がいたのぅ。実を言うと既にその女もこちらで捕らえておる。』


「はぁっ⁉」


今度は老人のような口調になり堀上を脅してきた。というか、結婚したということは誰にも話していないというのになぜこいつは知っているのか?


『キャハハッ‼ついでにさ~‼お兄ちゃんの家系図に載る人間全てを消してあげてもいいんだよね~‼』


「何いってるんだよ⁉そんな事できるわけ...」


『じゃあお兄ちゃんのお母さんの名前を当ててあげるね~‼』


さらにはあどけないぶりっ子のような口調で恐ろしい事を口にしてきた。妻を捕らえたのはきっと単なる脅しで母の名前もデタラメであってほしい。そんな堀上の僅かな望みは...


『君のお母さんは.........だね。」


「ヒッ‼」


『そして妹の名は...」


「頼む‼もうやめてくれ!」


叶うはずがなかった。


『さぁ、どうする?君の選択肢は2つだ。自分の主を吐くか、一族もろとも死ぬかだ。』


「うぅ...」


召し抱えてくれたあの方を裏切りたくないが、かといって貧しい暮らしながらも女手一つで育ててくれた母や仲の良かった妹、初恋の相手で度重なる苦難の末に結ばれた妻が自分のせいで死ぬのはもっと嫌だった。


「わっ...分かった‼言うよ!言うから家族には絶対に手を出さないでくれ‼」


『良いでしょう。ですが嘘はいけませんよ。貴方の嘘など簡単に見抜けるのですからね。』


「あぁ...」



これは明成学園に勤める一人の若き警備員が突如として姿を消す二日前の出来事だった。




予定としては二条家訪問回→日常回1話→他キャラ目線or本編未公開シーン→2年生編突入!のつもりです。


また何か質問があればぜひともコメントして下さい‼これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ