53.莱們のセンスは?
第53話
「玲奈お姉ちゃん!この服着てみてよ‼」
「何言ってるのよ陽菜、玲奈お姉様にはこちらの方が似合うわよ。」
「まぁまぁ...二人とも落ち着いて下さい...」
とある休日、私は陽菜と莱們ちゃんを連れてショッピングに出掛けていた。
なぜ、この三人で出掛ける事になったのかというと...
まず、陽菜がたまには私と一緒にどこかに出掛けたいと言い出したのだ。そういえば、陽菜は岩倉家の家族として迎え入れたあの日以降はほとんど外出していない。社交界デビューも済ませておらず、家で遊ぶか習いごとや家業に打ち込む日々だった。無邪気な陽菜の性格上、流石にそんな生活に少し飽きてしまったに違いない。
私からしてみれば特に断る理由などなかったので陽菜の誘いに応じる事にした。
すると、たまたま家に遊びに来てて話を聞いていた莱們ちゃんも
『陽菜ばっかりズルいです!私も連れていって下さい‼』
と駄々をこね、結果この三人で出掛ける事になったという感じだ。
そしてとある洋服店を訪れて今に至る。
「玲奈お姉ちゃん‼早く着てみてよ‼」
「どれどれ?これは...」
陽菜が進めてきた服はアニメのキャラが描かれている年相応の可愛らしい服だ。だけどこういう服は私なんかよりも陽菜が着た方が可愛いと思う。私は見た目こそ幼い子供だが前世の記憶があるため、精神年齢は思春期の女子なのだ。だから...こういう服を着るのは少しだけ抵抗があったりする。
「それよりも玲奈お姉様‼私の選んだものも履いてみてくださいよ‼」
「はいはい...って‼これはなんですか⁉」
一方、莱們ちゃんが進めてきたのはショートパンツにマイクロミニスカートや、肩周りが開いた服など明らかに露出度が高いものばかりだった。どう見ても7歳の...いや、仮にも岩倉家のご令嬢である私が着ていいものじゃない、というか私は精神年齢が思春期なので余計恥ずかしい。
「玲奈お姉様にはこういう大人っぽいのがお似合いだと思いまして‼」
「いやぁ...流石にそういうのは恥ずかしいですよ。」
「えぇ~‼だったらこちらはどうですか?」
そう言って莱們ちゃんが見せたのはランジェリーがついた薄い服やハイレグだった。先程よりも明らかに露出度が増しているのだが莱們ちゃんはわざとそういうの進めているのかな?
「却下です。」
「えぇ~‼」
もしかして莱們ちゃんってファッションセンスがずれているのだろうか?いや、そうに違いない。6歳の女の子に私のエロい姿を見たいなんていう下心があるはずがないもんね...
「...せっかく、菊亭先輩や大炊御門先輩から玲奈お姉様の可愛い姿が見れるってアドバイスを頂いたのに......見たかったのにな~。」
莱們ちゃんがちょっとガッカリした様子で何やら呟いていた。きっと、自分の進めた服を着てもらえなくていじけてるのかな?そう思うと、ちょっとかわいそうなことしちゃったな~。
まぁ、それでも...流石にあれは無理だけどね‼
 




