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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
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52.攻略対象の憂鬱

兼光に久しぶりの出番が‼


第52話



とある日の放課後...



(最近、俺って玲奈から見ればめっちゃ影薄くね⁉)


二条兼光は三聖室でくつろぎながらも内心、危機感を抱いていた。


二条家のパーティーで玲奈と運命の出会いを果たせたはいいが、それから特に二人の関係は何の進展もみられない。こちらからデートに誘っても断られるし、かといって向こうから誘われるわけでもない。ましてや向こうから声すらもかけてくれない。今やってる事といえば月に1回ほどお互いに文通をしてるぐらいだ。


(俺って頼りないのかな...)


玲奈は隠してるつもりなんだろうが、密かに岩倉家を監視させてる者からの報告で玲奈が運動会で命を狙われた事やその事件の主犯が消息を絶ったこと、主犯の妹を実の妹として迎え入れた事などは把握している。


それに関しては兼光が口を出す権利はないし出すつもりもない。確かに玲奈は自分よりもはるかに大人びた雰囲気の人間なのだが、兼光からみれば同い年の女の子に変わりはないのだ。一人で抱え込まずにたまには自分にも相談してほしい。


(いっそ、二条邸に招待して一度話を...いや、ダメだな...母様が許してはくれないだろうし...)


家へ招こうにも問題がある。パーティーのあと、父と母に玲奈を許嫁にしたいと話したのだが母である二条美嵩にじょうみかさが猛反対したのだ。


母は兼光を二条家よりも格が劣る家には嫁がせないと豪語するほどの高慢な人間だった。実際に当時の藍葉の事も毛嫌いしており藍葉が命を落とした時も哀れむどころか、むしろせいぜいしたみたいな事を言ってたぐらいだ。


そして母は同じ公爵家でも元々が摂関家で数百年の歴史を誇る二条家と違い、本来なら格が劣るにも関わらず国家に対する大功をたてたという理由だけで公爵家に成り上がった岩倉家や三条家、玉里家を見下していた。


そんな中、息子がその見下していた公爵家のひとつである岩倉家の娘を許嫁にしたいと言い出したのだ。反対するのも無理はないだろう。


「はぁ...」


「おやおや‼どうしたんだい?二条様。」


「あっ...尚先輩。」


思わず出た兼光の溜め息をどこからか聞いたのか、上級生の尚喃磨が兼光の隣にやってきた。


「尚先輩ごきげんよう。珍しいですね、貴方がここに来るなんて。」


普段、喃磨は令嬢達を口説くため放課後になると学園をあちこち歩き回っており、三聖徳会のメンバーでありながら三聖室に来る事は少なかった。


「いやぁ~、玉里様から会長引き継ぎの件でいろいろ話があるから来てほしいって言われてさ~。」


「あぁ...」


三聖徳会現会長の玉里鳳凰はあと2ヶ月ほどで初等部を卒業する。その後を継いで会長になるのが今目の前にいる尚喃磨だ。5年生を差し置く事になるが、実は今年度の5年生は不遇学年と呼ばれており三聖徳会に入る資格のある家の者が一人も存在しなかったのだ。そのため繰り上げで4年生の三聖徳会メンバーで一番上位の家の人間である喃磨が会長職を継ぐ事になった形だ。


(この人が会長で大丈夫なのか...)


「おいおい、失礼な事考えてないかい?」


心を見透かされた一瞬、兼光はギクッとしてしまった。


「これでも会長としての責務はちゃんと果たすから安心してくれて大丈夫だよ。二条様?」


「はい...」


「ところで二条様の方こそ溜め息なんかついてどうしたんだい?」


「別に対した事では...」


「さては恋愛モノかい?それならこの喃磨様に任せなよ。相談に乗ってあげるからさ~‼」


「......」


今思えば兼光には相談事ができるほどの親しい人間はいなかった。兼光の周りにいるのはいまだに二条家に取り入ろうとして取り巻きを買ってでるような奴か、二条門流で兼光に逆らえずビクビクしてるような奴ばかりだ。そんな奴らに自分の恋愛相談などできるわけがない。奴らは兼光の心を読めなさすぎる。


だが、目の前にいる喃磨は自分から相談に乗ってやると買ってでてくれた。これでも喃磨は女絡みで揉め事がなければ結構まともな人間なのだ。女の扱いに慣れてそうで三聖徳会次期会長の喃磨なら自分の恋愛相談をバカにしたりせず真摯に聞いてくれるだろう。


だから...



「お察しの通りです...実はですね...」



思いきって喃磨に相談してみる事にしたのだった。






・・・・・


数分後、


「相談に乗ってくれてありがとうございました‼」


「気にするなよ、二条様。じゃあまたな。」


兼光は喃磨に全てを話した。藍葉との出会い、藍葉との死別、新たなる出会い、近頃の玲奈との関係...これら全てをだ。


話を聞いた喃磨は決して兼光をバカにするような事はせず、優しくアドバイスをくれた。やはり喃磨はただの女好きなどではなかったようだ。


そして全てを話し終わったあと、こう言ってくれた。


『また、いつでも相談に乗ってやるよ。』と。


兼光は本当に嬉しかった。初めて相談事ができる人物との出会いを果たせたからだ。


(尚先輩...自分は貴方を少し誤解してたのかもしれません...貴方は次期会長に相応しい人間です!)



兼光の心の呟きは果たして喃磨に伝わったのだろうか?それは本人にしか分からない...




男性陣の出番って少ないですね笑

(一番出番が多いはずの兼光ですら全53話中7話しか出てなかったりします。)

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