50.冬といえば雪です!
更新が遅れてすみません‼バイトが忙しいのです...
第50話
「雪が積もったよ‼醒喩さん‼玲奈お姉ちゃん早く‼」
「もう、陽菜ったら...」
年が明けて冬休みも残り僅かになった頃、私達の住む町全体に記録的な大雪が降りそそいだ。私も朝目覚めて外をみると辺り一面が真っ白になっていて一晩でここまで白くなるのかと驚きを隠せなかった。
一方、陽菜は大喜びだった。本人曰く、昔から雪遊びをするのが大好きだったらしい。
「玲奈お嬢様、わざわざすみません...」
「いいんですよ、私も雪遊びしたいと思ってましたから。」
前世の私は体が弱く、最低限の外出しかできなかった。もちろん、この寒い中雪遊びなんてできるわけもない。よく雪遊びをする同年代の子供達を自宅や病室の窓から眺めて羨ましがったくらいだ。
「玲奈お姉ちゃん‼雪合戦しよー‼」
「いいですよ。ですが遊びとはいえ、勝負ですからね‼全力で勝たせてもらいます!ほらっ‼姫香と醒喩も加わりなさい‼」
『『ですが...』』
「ですがじゃない‼」
『『はい...』』
てなわけで、私と姫香チームVS陽菜と醒喩チームという形で雪合戦対決をする事になったのだった...
・・・・・
「はぁ...そろそろ休憩にしましょうよ。」
「そうですね...」
「えー‼まだ雪合戦したいよ‼」
「陽菜、無理しちゃいけませんよ。」
「はい...」
雪合戦を始めて数時間後、流石に疲れてしまった私は休憩を提案した。特に醒喩なんかは息が荒くて辛そうだ。このまま無理をさせたら疲労で倒れてしまいそうなくらいだった。
それに比べて陽菜なんかはあんなに運動したのにまだまだ元気いっぱいで雪合戦を続けたい様子だ。醒喩にも是非とも陽菜のスタミナを見習ってほしい。
「玲奈お姉ちゃん‼次は雪だるまを作ろうよ‼」
「そうですね。」
休憩を終えた私と陽菜は今度は雪だるまを作り始めるのだった...
・・・・・
「平田さん、お嬢様達ってほんとに凄いですね...」
「確かに貴女の言う通りね。貴女も見習いなさい。」
「はい...」
雪だるまを作るのに夢中になってる玲奈と陽菜を近くで見守りながら使用人二人は会話をしていた。
「森寺はほんとに陽菜お嬢様と仲良しなのね。」
「えぇ、少し手を焼いていますがそれでも可愛い妹分みたいなものなので...ていうか、そういう平田さんこそ玲奈お嬢様と相性抜群じゃないですか‼」
「それはここ1~2年ぐらいの話よ。」
「えっ⁉どういう事ですか?」
「だって...」
姫香は醒喩に昔の玲奈のこと話しながら自身も思い返してみる。昔の玲奈はプライドが高くわがままな小娘のような感じで姫香も内心ではかなり嫌っていた。
だが、ある日を境に玲奈はまるで人が変わったかのように自分に優しくなり、それまで面倒くさがっていた勉強や作法にも打ち込むようになった。そんな玲奈にいつの間にか姫香も心からの忠誠を誓うようになっていったのだ。もう今の玲奈に昔のわがままな小娘といった面影はどこにもない。
「そうだったんですね‼何が玲奈お嬢様をここまで変えたんでしょうか?」
「それは...」
そんな事は私が知りたいくらいだ。あんなにわがままだった小娘が令嬢の模範といえるほどの女の子に変わったのだから。
(いつか私の中で答えを見つけたいな...)
自分は今の玲奈にならどこまでもついていくつもりだ。たとえ玲奈の周りが敵だらけになっても自分だけは絶対に裏切らない。
姫香はそう心に誓いながら雪だるま作りに夢中になってる自らの生涯の主を見守るのだった。




