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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
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44.慣れたかな?


第44話



陽菜が岩倉家の養女となって1ヶ月が過ぎた。


「玲奈お姉ちゃん~‼」


「もう陽菜ったら...どうしたんですか?」


「あっ!えっとね‼醒喩さめゆさんから逃げてるの~。」


「ちょっと...陽菜お嬢様~‼」


「あっ‼醒喩さんが来た~‼逃げろ~‼」


(やれやれ...この子の相手をさせられる醒喩も苦労人ね...でも可愛いから許してあげてね。)


家族仲は全く問題はなかった。むしろ、前よりも家族らしさが増しているように思える。陽菜も両親の期待に応えようと習い事を始めたり、専属の家庭教師に勉強を教わったりと岩倉家のご令嬢として相応しいと認められるよう日々頑張っている。


だが、岩倉家で働く使用人達の中には地下家出身の陽菜を岩倉家の令嬢として迎え入れる事を快く思っていない人間も多く、陽菜の専属使用人になるのを嫌がる者が続出していた。そんな中で陽菜の専属使用人を引き受けてくれたのが森寺醒喩もりでらさめゆだった。


森寺家は三条諸大夫の地下家であり、醒喩は今年で20歳になる。なぜ、醒喩が陽菜の専属使用人を引き受けてくれたのかは謎だが陽菜の味方になってくれる人間が現れたのは非常にありがたい。


「陽菜お嬢様‼もう勘弁して下さい‼私疲れちゃいました...」


「えぇ~‼まだ鬼ごっこしようよ~‼」


「陽菜、大丈夫ですか?」


「はい...ですが、陽菜お嬢様の逃げ足があまりにも早すぎてですね...」


陽菜にとって醒喩は家に数多くいる使用人の中で唯一、信用できる人という認識だろう。実際、数日前に数人の使用人がコソコソと自分の陰口を言っているのを聞いてしまった時なんかは醒喩に泣きついて来たんだとか。


話を聞いた私は父に言いつけてその使用人達を即刻、解雇処分にした。解雇された使用人がその後どうなったのかは語るまでもあるまい...


また、陽菜は醒喩の事を使用人としてでなく、年上のお姉ちゃんのようにみてる節もある。今日みたいに鬼ごっこをして遊んだりするのも日常茶飯事だ。醒喩の方も陽菜に文句を言ったりしてるが何だかんだそれを楽しんでるようで陽菜の世話を焼いていた。


「玲奈お嬢様、三条様がいらっしゃいました。」


「あっ、莱們ちゃんが⁉部屋に案内してあげて下さい。」


莱們ちゃんが家にくるという事は今後の陽菜ちゃんの件で話をしに来たに違いないだろう。実は莱們ちゃんは私が陽菜を引き取る際に今後の陽菜の事は自分にも相談させてほしいと言っていたのだ。


「玲奈お姉様‼陽菜‼ごきげんよう!」


「あっ‼莱們ちゃんだ~‼久しぶり~‼」


「ごきげんよう、莱們ちゃん。今日はどういった用件ですか?」


「陽菜の事ですよ。今後の陽菜は...」






・・・・・


私の予想通り、莱們ちゃんが話したのは陽菜の今後の事だった。陽菜は表向きは岩倉公爵家の次女という設定になっている。


今のところは私と両親や莱門ちゃんとその両親、嘉孝さん以外は陽菜ちゃんが地下家の生まれで岩倉家に養女として引き取られたという事実は知らない。というより岩倉家に次女がいるという事自体、知らない者が多い。


それでも、油断は禁物。上位の貴族達ならば何かしらの情報源でいつ知ってもおかしくはないからだ。


今はまだ社交界デビューも済ませてないので問題はないが、今後陽菜は社交界デビューだったり、明成学園入学だったりとイベント続きで忙しくなる。そんな中で陽菜はちゃんと岩倉家のご令嬢としてやっていけるのだろうか?もし、陽菜ちゃんが地下家からの養女だとバレればいじめに遭うのではないか心配だ。


「私も来年には明成学園に入学するので陽菜を守ってあげる事ぐらいは出来ますが...」


「やったー‼莱們ちゃんと一緒~‼」


「もう...陽菜ったら...」


「陽菜...可愛すぎ...」


自分の事だというのに陽菜は少しも慌てている様子はない。むしろ、莱們ちゃんと一緒に学園に通える事をニコニコしながら喜んでいてそんな陽菜が可愛すぎる~‼


ふと、莱們ちゃんの方をみると彼女も顔を少し赤くして俯いていた。


「莱們ちゃん、これからもよろしくね‼」


「あっ...当たり前でしょ!私と陽菜はその...お友達だし...」


「わーい‼私と莱們ちゃんはお友達~‼」


照れながらも、陽菜を友達だという莱們ちゃんにそれを聞いてますます笑顔を浮かべて喜んでいる陽菜。私はそんな二人がどちらも可愛すぎて仕方がなかったのだった。




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