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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
43/315

41.訪問先は?

お詫び


5月5日の投稿の際、全く同じ内容の話を2つ投稿してしまい申し訳ございませんでした。


第41話



とある休日...



「では行ってきますね。」


「玲奈お嬢様、一人で大丈夫なのですか?」


「姫香もあの人の家がすぐ近所だって知ってるでしょ‼」


「はい...」


「すぐ戻りますから‼」


私がある人物の元へ向かっていた。その人物とは奥田美留世の妹の陽菜ちゃんを引き取っている老人の事だ。その老人とは何度かあった事があるので大丈夫だが陽菜ちゃんとは完全なる初対面なのだ。


(ちょっと緊張するな...)


老人の家に着くのはあっという間だった。それぐらい岩倉邸に近い距離にある。


「今日会う約束の岩倉玲奈です。」


玄関のドアを叩きながらそう言うとドアが開いて一人の老人が姿を現した。


「おぉ、玲奈ちゃんか、会うのは何年ぶりだろうか。元気にしていたかい?」


「お久しぶりです。お爺...いいえ、松殿嘉孝まつどのよしたけ様。」


このお爺さんの名前は松殿嘉孝。父曰く、私の祖父母とは明成学園時代の友人だったそうだ。さらに嘉孝さんは平民らしいけど特に今は亡き祖母とは貴族と平民という身分差を越えた仲だったらしく、一時期は恋人同士ではないか?などという噂も流れて騒動に発展した事もあるらしい。


まぁ、最終的に祖母は祖父と結ばれたが家が近所という事もあってかその後も3人の交友関係は続いており父と嘉孝さんの息子さんも明成学園時代は友人同士だったとか。


「昔みたいにお爺ちゃんと呼んでくれてもいいんだよ。」


「流石にもうそう言うわけにはいきませんよ。」


「ハハハッ‼大きくなったのぅ。」


そんなわけで父の娘の私も祖父に連れられて何度か嘉孝さんの家に遊びにいった事がある。嘉孝さんはそんな私をまるで自分の孫のように可愛がってくれた。なんでも嘉孝さんの息子さんは独り立ちしてから実家に来る事が減って、せっかく出来た本当の孫にも指で数える程しかあってないらしい。嘉孝さんが私を可愛がるわけだし、当時の私の方も嘉孝さんをお爺ちゃんと呼ぶほど慕っていた。


そんな付き合いが続いていたある日、事件が起きた。


嘉孝さんの奥さんが行方不明になってしまったのだ。嘉孝さんの奥さんは何年か前に認知症を患っていて嘉孝さんが一人で介護していた。私の祖父から施設に入れるよう勧められたが嘉孝さんは頑なに首を縦に振らなかった。数十年を共にした奥さんを施設などに預けたくないという気持ちはよくわかる。それでも祖父の度重なる説得に負け、いよいよ介護施設の入所日が決まっていた矢先の事件だった。すっかり落ち込んだ嘉孝さんを祖父は励まし続け、時には岩倉家の力を使ってまで捜索に協力していた。


だが、事件は終わらない。嘉孝さんの奥さんが行方不明になって数か月後、今度は私の祖母が病気で亡くなってしまった。この事は祖父はもちろん、嘉孝さんの心にもショックを与えるには充分すぎるものだった。そんなわけでお互いに妻を失った祖父と嘉孝さんはそのストレスのせいか会うたびに口喧嘩をする事が多くなり、ついにはある日を境に祖父は私を嘉孝さんの家に連れていかなくなった。二人の関係は冷えきってしまったのだ。


「まぁ、入りなさい。ここじゃ寒いだろう。」


「あっ...ありがとうございます!」


私に対する態度は昔のままだった事に内心、胸を撫で下ろして私は嘉孝さんの家にお邪魔するのだった。






・・・・・


「あっ‼玲奈お姉様‼ごきげんよう!」


「えっ⁉莱們ちゃん?」


家に上がって嘉孝さんの部屋に入るとそこには何故か莱們ちゃんの姿があった。莱們ちゃんと嘉孝さんは面識がないはずなのに...


「どうしてここにいるのですか?」


「今日、久しぶりに玲奈お姉様に会いに行こうとしたら姫香から今日は松殿さんの家に行く予定だと教えてもらったんです!せっかくなので松殿さんの家にお邪魔させてもらいました‼」


(なるほどね...)


確かに莱們ちゃんは近いうちにまた私と会いたいとは言ってたけど...嘉孝さんは良かったのかな?


「玲奈ちゃん、儂の事は気にしなくて大丈夫じゃ。孫が増えたみたいでむしろ大歓迎だからな。」


嘉孝さんが私が言いたい事を察したようでそう言っていた。


「じゃあ、松殿さんをお爺様と呼んでもいいですか?」


「全然構わんよ、莱們ちゃん。」


「ありがとうございます!」


「......」


莱們ちゃんもすっかり嘉孝さんになついているようだ。その光景を間近で見せられた私は二つの意味で嫉妬してしまった。


1つは祖父のように慕っていた嘉孝さんを莱們ちゃんにとられたみたいな感情。もう1つが反対に妹分の莱們ちゃんを嘉孝さんにとられたみたいな感情だ。


ひとまずそんな感情を抑えて本題に入らなければ。


「それで今日ここにお邪魔させてもらった理由はですね...」


「分かっておる...あの子の事かね?」


「はい...」


「呼んでくるから少し待っていておくれ。」


「分かりました。」


そう言うと嘉孝さんは部屋を出ていった。






・・・・・


「玲奈お姉様、あの子って誰ですか?」


「話をすれば長くなるのですが...」


「教えて下さい!」


残された私は莱們ちゃんに陽菜ちゃんの事を話し始めた。ぜひ、莱們ちゃんにも陽菜ちゃんと仲良くなってほしいものだ。


数十秒後...


「陽菜ちゃんを連れて来たぞ。」


「嘉孝さん、ありがとうございます。」


嘉孝さんが一人の女の子を連れて部屋に戻ってきた。


(この子が陽菜ちゃん?)



その女の子は私と莱們ちゃんの事をどこか怯えたような目で見つめていた。




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