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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
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40.わだかまりを解消させたい!


第40話



とある場所にて...


「あのっ‼兼藤さん、大坪さん...」


「貴女は確かあの時の...」


「奥田なんとかの取り巻きの一人...」


緊張した様子で二人に話しかける優里ちゃん。それにきょとんとした表情をしている姫由良ちゃん。そんな姫由良ちゃんを庇うかのように彼女の前に立って優里ちゃんを睨み付ける蛇茨ちゃん。そして隠れて様子を伺う私と沙友里ちゃん。この場の空気は最悪だといえるだろう...



なぜこうなったのかというと時は遡る...





「優里ちゃん、ごきげんよう。」


「あっ‼玲奈ちゃん、ごきげんよう。」


水族館での一件からしばらくして私と優里ちゃんの仲はぐっと深まっている。優里ちゃんなんて私の事を『玲奈ちゃん』と呼んでくれるようになったくらいだ。だが、あくまで私と優里ちゃん二人の関係が深まっただけで優里ちゃんは私達のグループに入っているわけではない。


一度、私達のグループに入らないかと優里ちゃんに提案したのだが断られてしまった。


優里ちゃん曰く、『玲奈ちゃんの命を狙ったも同然の自分が玲奈ちゃんのグループに入ったりすれば他の方が反発するに違いありません。』とのことらしい。


実際、グループの皆は私の水筒に異物を混入した奥田美留世やその取り巻き達が今でも許せないと思っている。私としては友情が再確認できてとてもありがたいのだが...


「玲奈ちゃん、どうしたのですか?それとその子は誰ですか?」


「あっ、沙友里ちゃん...」


なんて思っていると偶然通りかかったのか、沙友里ちゃんが現れた。


「実はですね...............」


「なるほど、それで悩んでいたんですね。」


私は思いきって沙友里ちゃんに優里ちゃんの事を話してみることにした。


「そこの優里ちゃんは仕方なく奥田美留世の取り巻きをやらされていただけで運動会の一件にも直接的には関与してないんですよね?なら私は不問でいいと思います。」


「沙友里ちゃん...」


「ただ、他のメンバーは...特に姫由良ちゃんや蛇茨ちゃんは納得しないかもしれません...」


「そうですよね...」


意外にも沙友里ちゃんは優里ちゃんを責める事はなく、むしろ同情してくれた。沙友里ちゃんにとって憎むべきは奥田美留世一人なのかもしれない。ただ、私や沙友里ちゃんは良いとして他のメンバーは納得してくれるだろうか?


「とりあえず、他のメンバーには優里ちゃんが奥田美留世の取り巻きだという事は内緒にするというのはいかがでしょうか?」


「それは無理ですね。あの場にいなかった真里愛ちゃん以外は優里ちゃんの顔を覚えていますから。」


「そうなるといよいよ難しいですね...」


私が他に案がないか考えていると、


「あの...私からいいですか?」


「あっ、はい‼優里ちゃんどうぞ‼」


今まで黙っていた...いや、黙るしかなかった優里ちゃん本人が挙手して私達の話に入ってきた。


「玲奈ちゃんの気持ちはとてもありがたいです...ですがやはり私が玲奈ちゃんのグループに入るのは難しいと思います。私は玲奈ちゃんと友達になれただけでも充分です。」


「優里ちゃん...」


優里ちゃんは取り償った笑顔で私にそう言う。その笑顔は奥田美留世の取り巻きをやらされていたあの頃のものだった。


恐らく優里ちゃんは私が自分のために無理をしていると勘違いしている。そんな事はないというのに...それに私には分かる。優里ちゃん、何で...


「嘘をつくの?」


「えっ⁉玲奈ちゃん?」


(あっ...)


思わず言葉に出してしまったみたいだ。だがもう後には引けない。


「本当に後悔しませんか?私達のグループに入れなくて...姫由良ちゃんや蛇茨ちゃんと仲直りできなくて...」


「.........」


私がそう言うと優里ちゃんから笑顔が消えた。そして、優里ちゃんはそのままうずくまってしまった。


「私に気をつかう必要なんてないし、もうこれ以上自分の事を卑下しなくていいの。自分の本当の気持ちに正直になりなさい、河合優里。」


「......!!」


「今日の放課後、ここに姫由良ちゃんと蛇茨ちゃんを呼び出します。まずは最初のわだかまりを消すことから始めて下さい。」


「玲奈ちゃん...」


「無理にとは言いません。どうするかは優里ちゃん次第だから............では、私は失礼しますね。行きましょう、沙友里ちゃん。」


「あっ‼玲奈ちゃん‼待って下さい!」


そう言った私は沙友里ちゃんを連れてこの場を去ったのだった。






・・・・・


(どうしよう...私、優里ちゃんに嫌われちゃうのかな...)


あの場ではヒートアップして優里ちゃんにいろいろ言ってしまったが、冷静になってみると少し言い過ぎたかもしれない。ちょっと不安になってきた...これも悪役令嬢補正というやつなのだろうか?


「玲奈ちゃん‼かっこ良かったです!まるでどこかの国の賢い王女様みたいでした!」


「いや、そんな...」


もしかして沙友里ちゃんには私が王女様みたいに威張り散らす醜女に見えてしまったのだろうか?まずい...早く誤解を解かなければ破滅に繋がるかもしれない...



私はそう不安になりながらも姫由良ちゃんと蛇茨ちゃんに放課後、さっき私達がいた場所に来るようにと連絡をいれるのだった。




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