2.両親と使用人の姫香
更新しようとしたらたった1話でブックマーク、高評価されてました!本当にありがとうございます!
第2話
...と、その時だった。
私の部屋の外の方からドタバタと誰かが階段をかけ上がってくるかのような足音がしたかと思うと...
「おぉっ!玲奈!目を覚ましたんだな!大丈夫か!?」
「あっ...」
玲奈の父である岩倉常政が部屋に入ってベットで寝ている私に駆け寄ってきた。そして、私が意識を取り戻したのをみてひと安心しているようだった。
「良かった...本当に良かったよ。お前は私達の大切な娘だ。もしお前に何かあったらと心配で私の寿命が縮んでしまったんだよ。」
二人のその様子から見て私の事をよっぽど心配してくれていたのだろう。
「あっ、その...お父様、ご心配させて申し訳ありませんでした。」
「ん?急にどうしたんだい?いつものようにパパと呼んでくれてもいいんだぞ?」
(なっ...玲奈お嬢様って、昔はパパママ呼びだったの⁉)
ゲームでも明かされていなかった初見の情報に私が内心焦っていると、
「意識を取り戻したのね‼本当に良かったわ!」
という声と共に玲奈の母である岩倉早奈英が入ってきた。
「なぁ、早奈英!聞いてくれ。玲奈が急に私の事をお父様と呼んできたんだ!今までずっと社交界デビューに備えてお父様、お母様と呼びなさいと言ってきたのに甘えん坊で聞く耳を持たなかった玲奈がだぞ!私は正直もう諦めかけてたというのに!」
「まぁ、という事は私の事ももうママとは呼んでくれないの?」
父の言葉を聞いた母が驚いた様子で私に問いかける。
ゲームでははっきりと描かれていなかったがどうやらゲームの玲奈お嬢様はこの二人に相当甘やかされて育てられたのだろう。
ならば、あそこまで悪い性格になっても仕方がない。一部のルートでは玲奈お嬢様を勘当して自分達だけ生き残ろうと悪あがきをしたあげく散々な末路をたどる事になる。そうなる前に何とか親子関係を改善しなければならない。
「あの...えっと、お父様にお母様。私は今まで周りに甘えてばかりで自分では何もできませんでした。このままでは私のせいで岩倉家は貴族としての品格を落としてしまうでしょう。ですので、今後は普段の行いを改めようと思っています。」
私がそれらしい事を言うと、
「そうか玲奈‼私はもう諦めてお前を一生甘やかし続けようとまで考えていたんだ!お前が変わってくれて本当に嬉しいぞ。」
「玲奈ちゃんの決断を尊重するわ!でも、何事も抱えこんじゃダメよ。困った事があったら私やパパに相談するのよ。」
父も母も大喜びだ。このままいけば少なくとも家から捨てられる事はないだろう。私が確信を持ったその時だった。
「あの...お嬢様。私も何か力になれる事はありますか⁉」
どこから私の話を聞いていたのか姫香が声をかけてきた。そうだ、姫香との関係も改善しなければ。
「ありがとう姫香。家族同然の貴女に今までぞんざいな扱いをしてごめんなさい。これからは貴女と私は一心同体よ。これから生まれ変わった私を支えてくれませんか?」
「一心同体...」
姫香が顔を真っ赤にして顔を背ける。ボソッと何か呟いていたが聞き取れなかった。私は何か不味い事でも言ってしまったのだろうか?
「あの...姫香?」
「いいえ、お気になさらず。私は今まで通りお嬢様に仕えるのが仕事なので。」
姫香はきっぱりそういうと部屋から出ていってしまった。
「え?ちょっ...」
「よし、それでは私たちも戻るとしよう。玲奈、体調が完全に治るまでは安静にしているんだぞ。」
「玲奈ちゃん、ゆっくり休んでなさい。」
そう言って、父と母も部屋を出ていった。
(やばい...姫香にますます嫌われちゃったのかな?このままじゃまずい...)
まずいね...両親とはともかく、姫香とは今後もうまくやっていけるだろうか?