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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
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37.水族館観光


第37話



「では今から3時間の自由行動に入ります。その間に昼食も各自で済ませておいて下さいね。」


『『は~い‼』』



今日は待ちに待った水族館観光の日だ。私達がきたのはこの国でで古くからの歴史を誇る魚住うおずみ水族館だ。施設はかなり広く、果たして3時間で全て見終える事ができるか心配だ。おまけにレストランまで備えてある。


「では、玲奈ちゃん‼まずはどこに行きます⁉」


「そうですね~......」


破滅回避のために心が落ち着かない日々だけど今日ぐらいは普通の7歳の女の子として楽しませてもらうとしますか。






・・・・・


「あの魚可愛い~‼」


「ねぇねぇ‼あっちではペンギンの餌やりができるんだって‼」


「本当⁉私も餌やりしたい‼」


「カメさんってどこにいるか知りませんか?」


「あっ‼亀なら向こうの水槽に...」


「ありがとうございます!」


「向こうのプールでアシカショーが開かれるらしいぜ‼」


「早く行こう‼」


自由行動が始まると1年生はあっという間にバラバラになって見学を始めた。貴族も平民も関係なく皆が海の生き物に夢中になっているのが分かる。貴族の子達も今日ばかりは私と同じく普通の7歳の子供に戻ったみたいだ。


「昼食も済みましたし、玲奈様!次はカワウソを観にいきましょうよ~‼」


「奏ちゃん、楽しそうですね!」


「もちろんです!」


私もまた清芽ちゃんと奏ちゃんと3人でいろんな生き物達を見学して楽しんでいた時、


「あれっ?あそこにいるのは姫由良ちゃんですかね?」


「?」


清芽ちゃんが指差す方をみるとそこには水槽を必死で見つめる姫由良ちゃんの姿があった。


「いってみましょうか?」


『『はい!』』


私は姫由良ちゃんの事が気になって彼女の元へと向かった。


「姫由良ちゃん、ごきげんよう。」


「あっ‼玲奈ちゃん‼」


姫由良ちゃんは私に気づくとニコニコした笑顔を返してくれた。


「蛇茨ちゃんは一緒じゃないんですか?」


「蛇茨ちゃんはホタルイカを見にいってるよ~‼」


「そうでしたか。それで姫由良ちゃんは何を見てるんですか?」


「私はねぇ...あっ‼見て見て!あのおさかなさん可愛い~‼そういえば~さっき、アザラシも見にいったんだけど~それも可愛いくてね~‼」


(あぁ...姫由良ちゃん可愛い~‼)


私からみれば海の生き物達と戯れている姫由良ちゃんの方こそ可愛いと思ったのは秘密の話だ。


姫由良ちゃんの可愛さに見惚れていると、


「あっ‼玲奈様‼向こうで私が見たかったジンベエザメとナンヨウマンタがいるようなので少し見てきますね‼」


「えぇ...」


奏ちゃんが思い出したかのようにそう言うと反対側に向かって走っていった。


「奏ちゃんも可愛いとこあるんだね~‼」


「いや...可愛いというより天真爛漫ってやつですかね...」


「奏ちゃんらしいですね。」


『『ははは...』』


残された私と清芽ちゃんと姫由良ちゃんは会話を続けながら引き続き見学を楽しむのだった、






・・・・・


自由行動の時間も残り少なくなった頃、私はグループのメンバーと別れて単独で水族館を周っていた。


今度はいつこの水族館に行けるか分からない、そのため少しでもこの景色を目に焼きつけておきたいのだ。


(ふぅ、ではそろそろ皆の元へ...ん?あれは...)


一通り水族館を周って私が皆の元へ戻ろうとした時、イルカ観賞用のボートの前で困惑してる様子の可愛い女の子を見つけた。


(あの子まさか...)


もしかしてボートに乗りたかったがお金が足りなかったのかもしれない。水族館では入場料とは別に料金を払って利用できるイベントも存在するのだ。


(行ってみるか...)


助ける義理はないが私もイルカを水面から観察したり接触してみたいと思っていた事もあってその子に声をかける事にした。


「どうしたのです...って貴女は河合優里ちゃん?」


「あっ...お久しぶりです!岩倉さ...いや、玲奈様!」


その女の子とは私が以前、奥田美留世の件で協力して貰った河合優里ちゃんだった。


「玲奈で良いですよ。その調子じゃ玲奈ちゃんって呼んでくれるまでだいぶ時間がかかりそうですね。」


「そんな!元々玲奈様と敵対していた私にはとんでもない事です‼」


その時以来、優里ちゃんとは仲良くなって距離を縮めていったのだが優里ちゃんはいまだに私に遠慮している様子だ。今回こそは私の協力者となった事で命拾いしたがやはり元は奥田美留世の取り巻きだったという負い目があるため下手な事をすれば今度こそ自分の身が危ういとでも勘違いしてるのだろう。


私は優里ちゃんを恨んでなどいない。優里ちゃんは奥田美留世に逆らえなかっただけだ。むしろ仲良くなりたいくらいだ。


「それでここで何をしてるのですか?」


「えっと...実はですね...」


優里ちゃんの話によるとどうやら水族館にこういう有料スポットがある事を知らなかったため、入場料以外のお金を持ってきていなかったらしい。貴族達の中には水族館にそれほど詳しくない者も多いため納得がいく。


「なら、私がボートの料金を立て替えてあげましょう。」


「えっ⁉私なんかにいいんですか?」


「もちろんです!その代わり条件があります。」


「何ですか⁉」


これは優里ちゃんとの仲を深めるチャンスだ!そう思った私は口を開く。


「条件は私と一緒にボートに乗る事です。」


「えっ...ええぇぇぇっ‼」



条件を聞いた瞬間、顔を赤くして焦り始めた優里ちゃんはとっても可愛かった。




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