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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
31/291

29.私達にできる事は...

今回は取り巻き達の視点です!


第29話



「奏‼落ち着いて下さい!私も気持ちは分かりますので...」


「でっ...でも‼私...玲奈様を守れなかった...」


「それは奏だけの責任ではありませんよ‼私達全員の責任です...」


「清芽...」



三聖室に二つの悲痛な声が響く。声の主は、菊亭清芽と大炊御門奏だ。


二人は自分達の非力さに嘆いていた。幸いにも今回の事件で玲奈の命に別状はなかったが、自分達がもっと早く玲奈の水筒に異物が混入されていた事に気づいて行動を起こしていれば...悔やんでも悔やみきれない。そんな感情に浸っていると、


「可愛い可愛い1年のお姫様達よ、どうしたのかい?僕が相談にのってあげよう!」


((げっ...めんどくさいのが来た...))


一人の上級生がニヤニヤしながら馴れ馴れしく声をかけてきた。彼の名前は尚喃磨しょうなんまといい、玲奈達より3歳年上の4年生だ。尚氏はかつて沖縄に存在した琉球王国りゅうきゅうおうこくの王族の血を引いており、沖縄が日本に編入された際に侯爵の爵位を授けられた家だ。


それだけならそこら辺の令息と変わりないが、問題は喃磨が大の女好きという点だ。その噂は有名で清芽と奏も当然知っている。これまでたくさんの令嬢を口説いており令嬢達も少々迷惑しているんだとか。一応、女が絡まなければ普通にまともなやつなのだが。


「それで、何があったのかい?」


「あっ...いいえ、尚様の力を借りるほどではありません!」


「私達はこれで失礼しますね。」


喃磨に声をかけられて気づいたが三聖室では人目につく。もっと人が少ない場所で話した方がよさそうだ。


「おいおい、ちょっと待ってくれ...」


「喃磨、その辺にしておきな。」


「ちょっと、玉里様~‼」


尚も清芽と奏に話しかけようとする喃磨を三聖徳会会長の玉里鳳凰が引き止めてくれている隙に清芽と奏は三聖室をあとにするのだった。





・・・・・


それからしばらくして...



「さて、ここならゆっくり話せますね。」


「えぇ。」


「そうね。」


「はい...」


「......」


とある場所で密会をしている数人の少女達がいた。



メンバーは、


菊亭清芽


大炊御門奏


大坪蛇茨


富小路真里愛


中園沙友里。


この5人だ。



全員の準備が整ったのを確認した清芽がさっそく口を開いた。


「まず、突き止めないといけないのはこの事件の犯人です!誰か心当たりがある方はいませんか?」


清芽の言葉に全員が考え始めた。岩倉玲奈という崇拝すべき人間に毒を盛ったのはいったい誰なのかを...


「清芽、私からいい?」


しばらくして挙手したのは蛇茨だった。


「では、大坪さんどうぞ。」


清芽に指名された蛇茨は話し始めた。


「私が怪しいと思うのは前に私と姫由良に絡んでいたあの...誰だっけ?奥平美千代?」


「あっ‼奥田美留世ですか?」


「えぇ、そうそう!奥田美留世だよ‼あの時さ私達を庇うために玲奈が割って入ったじゃん、そのせいで平民の前で恥を掻かされたと逆恨みして...」


「ちょっといいですか?私と真里愛はその場にいなかったからよく分からないのですが...でも、それだったら玲奈ちゃんより蛇茨ちゃんや姫由良ちゃんを標的にするんじゃないんですか?」


「まぁ、確かに...」


沙友里の言った事は最もだ。実家取り潰しのリスクを犯してまでわざわざ自分より上位の貴族に毒を盛るなど普通は有り得ないだろう。


そんな根性があの奥田美留世にあるとは到底思えない。それならばバレたとしても被害が最小限で済む姫由良や蛇茨に仕掛けた方が断然いい。


「ねぇ、清芽‼私も話していい?私はあの発明令嬢が怪しいと思うの。何考えてるか分からないし、玲奈様にあんな事をしたっておかしくないわ!」


「奏さん、それはないと思います。雛恵は確かに発想は独特ですが玲奈様を尊敬してますし、そもそも発明を悪い事に使うような子じゃありません!なのでそんな事するとは思えません!」


真里愛は必死で岡崎雛恵の事を庇っていた。普段は彼女の事でいろいろ手を焼いているがそれでも一応、友達である事に変わりないのだ。その友達を犯人扱いされるなどとんでもない話だ。


「他に犯人候補はいませんか?」


「そうね...」


「うーん」


「どうだろう?」


「では他に...」






その後も数時間にも渡って少女達の話し合いは続いたのだが、結局、これといった進展はないままその日の密会は解散となったのだった。







...そして少女達はある1人の者に大切な事を聞き忘れた事に気づいていなかった。




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