296.今年のゴールデンウィークは10連休!?
第296話
5月になり、遂に念願のゴールデンウィーク初日を迎えた。
「ほらっ!玲奈お姉ちゃん、早く準備をしないと時間はどんどん過ぎちゃうんだよ~!急いで~!」
「もう、陽菜ったら...そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。集合時間までは十分に時間がありますからね。」
初日となる今日は前にも言ったように4年生組のグループメンバー達と一緒に遊びに行く予定だ。
ゴールデンウィークという大型連休に私や同級生の皆と遊びに行ける事もあってか、陽菜は特に今日を楽しみにしていたようでウキウキしている。
「せっかく、今年のゴールデンウィークは10連休になってるのにな~!どうせなら、皆で10泊の海外旅行とかに行きたかったな~!」
「まぁまぁ、いくら10連休といっても予定は人それぞれなんですから。仕方がありませんよ...」
そう...今年のゴールデンウィークはまさかまさかの10連休なのだ。
もちろん、これには理由がある。実はとある慶事によって今年から5月のはじめに新たな祝日が出来たのだ。
そして、その新たに出来た祝日並びに振り替え休日などを含めた結果、こうなったらしい。
えっ?説明がちょっと適当すぎやしないかって?あいにく、私は公爵令嬢といえどまだ10歳の子供でもあるのでそこは許して欲しい。
「さっきも言ったように集合時間まで十分に時間はありますが、念のために早めに行っておきますか?それともギリギリまで家でゆっくりしておきます?」
「それなら早めに行っておこうよ~!皆も私達を気遣って早めに来ているかもしれないし!」
「...それもそうですね。では、準備ができたら出発しましょうか。」
「は~い!」
こうして、私と陽菜は時間に余裕がある内に集合場所へと向かったのだった...
・・・・・
「クラウンモールへ到着~っと!」
「...ここに来るのは久しぶりですね。」
私と陽菜は集合場所となっているクラウンモールという大型商業施設の入口に到着した。ちなみに描写こそないが、私や陽菜はこれまでにも何度かクラウンモールに訪れて買い物をしたり遊んだりもしている。
「う~ん、早く着きすぎたかな?」
「まだ誰もいないようですね...」
意外にも私達が一番乗りのようだった。これならもう少し遅く出てても良かったかもしれない。
仕方がないのでそのまま入口の前で陽菜と他愛のない雑談を続ける事、10分...ようやく他のメンバー達が続々と到着し始めた。
「玲奈お姉様に陽菜!お待たせしました!」
「玲奈様に陽菜ちゃん、お待たせしてすみません...」
「玲奈お姉...いや、玲奈先輩に陽菜ちゃん!お待たせ~!」
「あっ、莱們ちゃんに萌留ちゃんに美冬ちゃんだ~!待ってたよ!」
莱們ちゃん、萌留ちゃん、美冬ちゃんの三人を陽菜は嬉しそうな表情で出迎えた。
これで残るは滓閔だけなんだけど...
「それにしても、滓閔ちゃん遅いですね...」
集合時間ギリギリになっても到着する様子を見せない滓閔に対して私は思わず口からそんな言葉が出てしまった。
「そうですね。滓閔ちゃん、前日の電話ではかなり張り切っていたんですけど...」
「おや、そうだったんですか?」
美冬ちゃん曰く、前日の滓閔は『絶対に一番乗りになりますから!』と張り切っていたらしい。それなのにこの体たらく...
...いや、待てよ?
「私達、クラウンモールに集合って話でしたよね?」
「そうですけど...」
「多分ですけど...滓閔ちゃんはクラウンモールの中で待機してるのではないでしょうか?入口で集合とは言ってなかったですし...」
「う~ん、普通なら集合場所は入口だとそれなりに想像できるでしょうが...まぁ、滓閔なら有り得ますね...」
クラウンモールみたいなとても広い大型商業施設で待ち合わせをするなら普通は入口で待機しておくべきだと誰もが思うはず。
...が、それは普通ならの話。発想が独特な不思議ちゃんの滓閔には通用しない理論だ。
「とりあえず、クラウンモール内を一通り探してみま...」
「玲奈様~!」
「おわっ!」
突然、私の胸元に抱きついてきたのは他ならぬ滓閔だった。
「皆さん、遅いですよ~!滓閔が店内でどれだけハエを潰すのを我慢するかのごとく待ち続けたと思っているのですか~?」
(((((やっぱりかぁ...)))))
この瞬間、滓閔以外の全員の心が一致したのは間違いない。滓閔は滓閔なのだと...
「まぁ、今回ばかりは私や陽菜の集合場所の伝え方にも問題があったという事で...細かい事は気にせずに楽しみましょうか。」
「「「「「お~!!!!!」」」」」
そう...今年のゴールデンウィークはまだ始まったばかりなのだから...
流石に10連休全てを書くとなると時間がかかり過ぎなので一部はダイジェストにしないと...




