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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
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28.運動会での事件


第28話



「玲奈ちゃん、いよいよ運動会ですね‼」


「はい!この日を待ってました。」


今日は待ちに待った運動会の当日だ。これまでの練習の成果を思う存分発揮して2組の優勝に貢献しなければならない。


「玲奈様!頑張りましょうね‼」


「奏ちゃん、無理はしないでくださいね。」


「てへっ!大丈夫です!玲奈様‼」


そんな感じで清芽ちゃんと奏ちゃんとじゃれあっているうちに運動会の幕が上がったのだった。





・・・・・


(はぁ、やっと休憩だ...)


気づけばあっという間に前半の部が終わっていた。私がでた種目のうち、玉入れは惜しくも3位に終わってしまった。まぁ、団体競技なのでまともに練習する時間が少なかったのでこれは仕方ないだろう。


その代わり、ムカデ競走は絶好調だった。トップバッターの私達、1年生チームは練習の成果もあって1番先頭になることに成功し、リードを広げたまま2年生チームに繋げる事ができたのだ。そのまま、2組の上級生達が逆転を許さずリードを保ち続けぶっちぎりの1位をもぎ取ったのだ。1位と分かった瞬間、私は嬉しさのあまり思わず隣にいた清芽ちゃんに抱きついてしまったのは秘密だ。


あと私には関係ない事だが二人三脚では3組の真里愛ちゃん、沙友里ちゃんコンビが大健闘していた。あの後、私達が練習に付き合ってあげた事もあってか、最初に見た頃とは比べものにならないほど上達していた。結果自体は3組は4位に終わったがそれでもいい。頑張って上達する事ができたからだ。二人三脚が終わった後、私は二人を讃えたのだが沙友里ちゃんが嬉しそうにしていたのに対して真里愛ちゃんはどこか落ち込んでいる様子だった。恐らく負けたのがよっぽど悔しかったのかな?あとで慰めておこう。



全体成績は今の所、1組が1位、3組が2位、2組が3位、5組が4位、4組が5位という結果になっている。だがまだ逆転も充分有り得る。私は諦めていない。


「玲奈ちゃん‼私達と食べよう!」


「玲奈、よかったらぜひ...」


「もちろん、みんなで食べよう!」


昼食の時間になり、私と清芽ちゃん、奏ちゃん、蛇茨ちゃん、姫由良ちゃんの5人で昼食を食べる事になった。いや、正確には真里愛ちゃんと沙友里ちゃんも合流する予定なので実質は7人組だ。


「真里愛と沙友里遅いわね~。せっかく場所をとっておいたのに。」


「まぁ、ご家族との顔合わせもあるから仕方ありませんよ。」


「いいな~、貴族のお嬢様達は家族が来てくれるなんて...私と蛇茨ちゃんは寮暮らしで親も忙しいし...」


「まぁまぁ、姫由良ちゃん、そう気を落とさないで...」


「うそうそ、気にしてないよー‼」


「良かった...では昼食の時間も限られてますのであの二人には悪いですが先にいただきましょうか。」


「そうですね。」


「はい!」


「OK!」


「承知。」


というわけで私達は一足先に昼食を頂く事にした。


「玲奈ちゃん‼私のお弁当のおかずあげる‼」


「ちょっ...姫由良ずるいわよ。玲奈様私のも!」


「まぁまぁ、二人とも...」


私達が楽しそうに話しながら昼食を食べていた時、



「玲奈様‼その水筒から手を離してください‼」


「えっ⁉」


声がした方を振り返ると息をハァハァしながら駆け寄ってくる真里愛ちゃんがいた。てか、真里愛ちゃんが言った言葉はどういう意味だろう?実際にこの時、私は水筒の水を飲もうとする直前だったのだが。


「それはどういう事ですか?真里愛ちゃん‼」


「その水筒の中の飲み物に異物が混入されているんです‼」


『『えっ⁉』』


(いったい誰が...)


いやいや!状況が飲み込めないぞ...私の水筒に異物が⁉慌てて水筒の中を覗くと中から明らかに水とは違う異臭がしたのだ。


「何と!玲奈様になんて事を‼」


「いったい誰が?」


「見つけたら死ぬことよりも苦しい目に...」


「許せないよね!」


皆の方を見ると案の定、物凄く怒っていた。そりゃ、大切な友達が害されそうになったから当然だが。しかし、犯人を見つけるために重要な事がある。それは...


「皆さん、許せないという気持ちは有り難いのですが運動会が無事終わるまでこの事は私達の秘密です。」


「何ですか⁉」


「そうです!犯人が逃げちゃうかもしれません‼」


私の言葉にやはり皆は反対していた。でも...


「大事にして皆が楽しみにしてた運動会を私のせいで中止にしたくないし警察に頼るんじゃなくて私独自でこの件を解決したいの!分かってほしい!」


私がこう言うと、


「はい...」


「悔しいですが...」


「玲奈様を守れなかった自分が情けない!」


しぶしぶながら同意してくれた。


私がなぜ大事にしたくなかったのかというと2つ理由がある。


1つ目は貴族のお嬢様、ましてや公爵令嬢の私が毒を盛られたと学園に知られれば恐らく運動会は中断されるだろう。運動会を心待ちにしていた子たちの事も考えればあまりに残酷だからだ。


そして2つ目は犯人にボロを出させるためだ。今回の件は誰がやったという証拠は一切ない。私にした事が大事にならなければ犯人は調子にのって他の人にも似たような真似をするだろう。そこで証拠を掴む事ができれば確実に犯人を断罪できるからだ。


(犯人は学園の人間とは限らないんだよね...)


私への個人的な恨みなのか?上位貴族を狙った犯行か?それとも...


(犯人は恐らく私がムカデ競走で応援席から離れた時に犯行を行ったのは確定...玉入れが終わって戻った時は特に水筒に異常はなかったし。となると......は無理だな。)



私は必死で頭を捻らせて容疑者を絞っていくのだった。







...このとき、私は知らなかった。






これが私にとっての長い長い戦いの始まりになることを...




犯人はいったい誰だ⁉

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