289.美憂の気持ちと違和感
またしても修正前のやつを投稿していた事に今さら気づきました。誠に申し訳ございません!
第289話
「ねぇ、殺されちゃったって...どうして!?どうして美憂が殺されなくちゃいけなかったの!?」
気づけば私は大きな声で叫んでしまっていた。元より病気で余命宣告されていた私はともかく、何の罪もない美憂が死ななければならない理由なんてないはずだ。仮に百歩譲ってもあの時に死ぬべきなのは私だけで良かったじゃん...
『...いやぁ、それがさぁ~?何か【君に恨みはないがどうか悪く思わないでほしい、全てはあの方の計画のためだ】みたいに言われてそのままピストルで撃たれちゃったんだよね...ちなみにその前世を思い出したのは3年前かな?それまでは全く別の女の子としてそれなりに人生を送っていたんだけど...』
美憂が言うあの方とはいったい、誰の事なんだか...
いや!とりあえず、それに関しては一旦置いておくとして...つまり、美憂は私と似たような感じで、以前まではミラピュアのキャラクターとして転生していたけど何かしらのきっかけでその事を思い出した...みたいな感じなのかな?
「...という事は美憂も私と似たような感じでミラピュアの世界のキャラクターに転生しちゃったって事だよね?いったい、誰に転生したの?」
『う~ん、本当ならこの場で教えてあげてもいいんだけど...やっぱりダメ!そうだ!推理ゲームをしようよ!私が誰に転生したのかを×××××お姉ちゃんが当ててみてよ!期間は今年中ね?』
「はぁっ?急にそんな事を言われても...」
美憂の提案はいきなりの難易度MAXのゲームもいいところだ。ミラピュアの世界には主要キャラはもちろん、本編ではほとんど出番が皆無だったモブキャラまでいる。この中から美憂が転生したキャラを捜し出すなんて非常に困難だろう。
『あっ!流石に今のままだと難易度MAXだし、ヒントを教えてあげるね!×××××お姉ちゃんと会話した事がある年下の子だよっ!』
「年下...そして、私と会話した事がある...」
まぁ、これなら候補はかなり絞れてくるけどさぁ...それにしてもだよ?どうして美憂は直接正体を言わずに私に当てさせようなんて真似をしてくるのかな?
『何で私がこんな事をするのか...なんて思ってそうな顔をしてるね。×××××お姉ちゃん?』
「......!」
どうやら、私の思考は美憂には完全に見透かされていたようだった。
『...それはね?私達の絆がこの世界でも本物なのかどうかテストしてみたいからだよ。』
「テストって...そんなの...私は今でも美憂の事が大好きだし、大切に思っているよ!」
『だったら、私が誰に転生しているのか...それを見分ける事ぐらいできるよね?』
まぁ、美憂が不安になるのも少しは分かっちゃうかもね...だって私がこの世界に来てから既に数年が流れ、その間に私は新しい家族や友人に恵まれていた。もしかすると『もう自分の事はどうでも良くなっちゃったのかな...』なんて美憂が思ってしまっても不思議ではない。
もちろん、当の私はそんなつもりは一切ないんだけどね...
「分かった!美憂が誰に転生したのかを当てればいいんだね?美憂の言うように今年中には当ててみせるから!お姉ちゃんを信じて!」
「うん!×××××お姉ちゃんならそう言ってくれると信じてたよ!あっ、私ね?今日の朝、風具合が悪くて寝込んじゃった時は運が悪いと思っていたけど夢幻世界の中で×××××お姉ちゃんと出会えて、こうやって昔みたいに話せる事ができたし...むしろ、得しちゃった気分かも♪」
「えっ?嘘...美憂も体調不良で寝込んじゃって...?」
私達姉妹が二人揃って同じタイミングで体調不良で寝込んじゃったなんて...そして、そのまま夢幻世界で再会まで?
果たしてこれは偶然なのか?単に姉妹の長年の絆が生み出した奇跡...といってもいいのだろうか?
「あっ、ところで美憂にもう一つ質問なんだけど...私の前世の名前って覚えてる?」
「えっ?いやいや!自分の姉の名前を忘れるわけないじゃん!?×××××でしょ?」
「そうだったね。ごめんね、変な事を聞いちゃって...」
やっぱりだ。私は美憂と話し始めてから気づいていたし、読者の皆様も気づいていただろうけど...
そう...私の前世の名前の部分だけ何だかノイズが入り交じったような音で私の耳には聞き取れないようになっている。まるで、私自身に前世の名前を思い出させたくないみたいな感じで...ちなみに美憂の方は普通に喋っているつもりのようだ。
一瞬、美憂にその事を伝えるか迷ったのだが...
『あっ、そろそろ夢の時間は終わりみたいだね。』
「...だね。」
突如として周囲から地響きのような謎の音が響きはじめ、徐々に音は大きくなっていく...お別れの時が来たようだ。
『×××××お姉ちゃん!今度こそはお互いに長生きして楽しい思い出をたくさん作ろうよ!そんな日常をずっと夢見てたんだから!』
「うん!その気持ちは私だって同じだよ!絶対に美憂を見つけて今度こそは姉らしい事をたくさんしてあげるから!」
『絶対に?約束だからね?』
「もちろん!」
その言葉と同時に夢幻世界は崩壊し、私は現実世界において意識を取り戻したのだった...
そして、目が覚めた私が時計を確認すると何とびっくり!現実世界では既に夕方になっていた。
(嘘...私、こんな時間まで寝てたんだ...)
おまけにそれまではあんなに酷かった不快感や吐き気などはすっかり収まっており、姫香や家族達から不思議に思われたのはまた別の話だ。




