287.シリアス突入!?5年生のはじまり...
第287話
「玲奈お嬢様、起きてください。もう登校時間になりますよ。」
「うっ...ううっ...もう朝でしたか...」
今日から新学期。本来なら私が5年生となるめでたい日の朝のはずなのだが...
「あの...玲奈お嬢様、どうなさいましたか?もしかして具合でも悪いのですか?」
「えっ?いや、ただの寝不足です...」
「でしたら構わないのですが...玲奈お嬢様の顔色がいつもよりも少し悪いように見えまして...」
姫香に心配されるのも無理もないのかもしれない。何故か今回の新学期の朝に限って私の目覚めが悪かったのだ。おまけにいつもよりも10分ほどの寝坊までしちゃったし...
そう...まるで、何かしらの不吉な予兆を思わせるような...
「あっ、そういえばですけど...陽菜はもう先に学園に向かったのですか?」
「いえいえ!陽菜お嬢様は玲奈お嬢様の事をずっと待っていますよ。どうしても二人で登校したいと言い張ってまして...」
私と陽菜はよっぽどの事がない限りは登校を共にしている。下校に関しては学年の違いで別々になるけど...
「...私のために待たせるのも悪いですし、陽菜には今日は先に登校してもらいましょうか。運転手に伝えておいてください。」
「はい、畏まりました。」
陽菜に悪い事をしちゃったな~と思いながら私がパジャマから学園の制服に着替えようとした時だった。
「ううっ...げほっ!ごほっ!」
「玲奈お嬢様!?大丈夫ですか!?玲奈お嬢様!」
「はぁはぁ...姫香...」
私の身に急に猛烈な吐き気と不快感が襲ったのだ。こんなのは今までにない体験だ...
「その...玲奈お嬢様、残念ですが今日は学園をお休みした方が良いかと...あまり無理をなされないでください。」
「...そうですね。グループの皆や陽菜には申し訳ありませんが今日は大事を取ってお休みする事にします。」
「それがいいと思います。ご主人様と奥様へも私から伝えておきますので玲奈お嬢様はゆっくりお休みください。」
そう言って姫香が出ていった後、私に再び眠気が襲ってきた。
(...もう一度寝ちゃおうかな...)
結局、学園は休む事になったから二度寝しちゃってもいいだろうという判断に私は至った。
・・・・・
私が新学期早々に欠席すると知るなり、当たり前だが家族も使用人達も私を酷く心配してくれていた。
特に陽菜は私が急な体調不良で休むと知るなり、『私も休む!』とわざわざ欠席してまで私の看病をすると言い出したので説得するのが大変だった。最終的には何とか上手く説得できたんだけど...
(それにしても、ここはどこだろ?)
そんな私は今、辺り一面がピンク色の謎の空間に一人でポツンと立っていた。あまりの非現実さからすぐにこれは私の夢の中だと錯覚した私だけど今いる場所は私が麻呂さんに呼び出されるいつもの夢幻世界とは明らかに違う事に違和感を覚えていた。
「まさか、夢幻世界は複数あるって事?じゃあ、今回私を呼び出したのは麻呂さんじゃなくて別の誰かの可能性が高い...」
『流石だね、正解。』
「えっ?」
『そう...あなたを呼び出したのはこの私。』
私のちょっとした独り言に誰かが返事を返した。突然の事に驚いた私が周囲をキョロキョロと見渡すが人の気配は全くない。
ただ、声だけが空間に響いているという謎の状況だ。
『理由は簡単。私自身が望んだ事だからね...こんな形でまた会えるなんて本当に嬉しい。』
「私を夢幻世界に呼び出すなんて...あなたはいったい、何者なんですか?それに【また会える】って...」
『あっ、そっか...こっちの世界に来て声も変わっちゃったし、これじゃ分からないよね...』
その言葉が合図だったかのように私の隣に無数の謎の光の粒が現れた。その光の粒は徐々に集まり人の形を形成していくではないか。
(いったい、何が起こってるの?光の粒が人間を作ってる?外見からして女の子っぽいけど...)
やがて、完全に人間の姿になったソレの顔を見てしまった私は絶句した。
「はっ...えっ...何で?どうなってるの?」
『ふふっ、これなら流石に分かるよね?×××××お姉ちゃん?』
私を尻目にニコニコと語りかけてくる少女の姿で私は確信した。それも無理はない...だってその少女は私がかつてよく見知っていた人物...
「答えなさい!何で美憂がこの世界にいるの!?」
そう...私の前世での最愛の妹である美憂だったのだから...
以前から名前だけは出ていた前世の妹が遂に登場!ここから物語にどう絡むのだろうか...




