閑話.とある取り巻き女子の心情
お久しぶりです!今までは別作品の方の執筆をしていたので遅くなりました!
今後に関してですが、6月以降はそちらの小説との交代で投稿していくので投稿頻度がかなり落ちるかもです。ですが、気長に待っていただければと...
ちなみにその別作品というのは『自称悪者な俺と悪のお助けマンな後輩ちゃん』というW主人公による物語です。こちらもこちらで面白いので是非とも読んでみてください!
閑話
私が仕組まれていた策謀によって岩倉玲奈という一人の女の子に出会う事になったあの日からもう何年が経っただろうか?
一言で言うのなら、彼女は公爵令嬢らしくない。もちろん、悪い意味で言っているわけではない。
むしろ、良い意味での事だ。何せ、自分とは天と地ほどの差があるであろう、一般生徒にすら他と変わらぬ優しさを向けるその器の広さに私をはじめとする多くの生徒が心酔しているのだから...
玲奈グループの...私をはじめとする同級生の7人の取り巻き女子達はそれぞれの家柄も性格もバラバラだった。だって、そもそもの玲奈グループは玲奈の思いつきで集められた女の子達のグループみたいなものだったから...それでも私は皆と過ごす時間は悪くないと思い始めていた。
ただ、グループディスカッション発表会の一件で玲奈が私と同じ取り巻きである大坪蛇茨と一時的に仲違いしてしまった時は他のメンバーが二人の和解を願っていたのに対して私は不覚にもそのまま仲違いしていて欲しいと思ってしまった。それは独占欲か...はたまた私だけが知る近き未来への懸念なのか...それともその両方が混ざっていたのか...それは自分でもよく分かっていなかった。
・・・・・
「...それで?なぜ、あんな事をされたのですか...」
「ん?何の事かな~?私には心当たりはないんだけど...」
「っ!惚けなくても結構です!なぜ、蛇茨の命を奪えなどと...どうしてっ!」
今、私と会話しているのは組織における幹部の一人、蛇姫という女だった。
「ふ~ん、気づいてたんだ...そうだよ。確かに私は大坪蛇茨の命を奪おうとしたけど...それが何か?」
「あなたはあの子の...蛇茨のお友達ではありませんか!それなのにどうしてあんな残酷な事を依頼...」
「だからだよ...」
「えっ...」
そう...蛇姫は何か勘違いをしているみたいだけど私だって大坪蛇茨の事は大切な友達と思っている。その言葉自体には決して嘘はないんだよ?
でもね...
「これからは組織が今まで以上に活動を広げていく事は当然分かっているよね?その上で岩倉玲奈はもちろん、他のグループメンバー達がこの先、組織の障害になる可能性が高いと帝様は言っていた...ましてや別の世界からの転生者と判明した岩倉玲奈とその事実を知った大坪蛇茨は特に邪魔な存在...それでも、私自らの手で葬る機会をくれたあの方に感謝すべきなんだよ?」
「なっ!なぜその事を...!?」
蛇姫は私には黙っておくつもりだったらしいが、残念な事に私には独自の情報源がいくつもある...よって、今回の一件は全て筒抜けなのだ。
まぁ、それはそうとして...
カチャ!
私は傍らにあったピストルを持つと蛇姫の頭に銃口を向けた。
「これはいったい、何の真似です?」
「そういえばだけど...あなたは私の意向に背いて二人を見逃したよね?おまけに重大な隠し事まで...殺されたいの?」
「申し訳ございません。死んでお詫びできるのであれば是非ともあなた様の手で逝かせていただければと...」
やれやれ...白々しい言葉だ。まぁ、私が蛇姫を殺せないのを分かっているからこそ出るものだからね...
「運が良かったね~!これがもしも、他の幹部だったら容赦なく殺してたかもね...ただ、あまりにも勝手な行動が過ぎると上からお叱りを受けるのは私でもあるんだから...その事は忘れないでよ?」
「はい...」
話し終わると蛇姫は部屋から出ていった。
(蛇姫さんはもう少し、しっかりしてくれないかな?普段からあの人は蛇茨の事になると甘い...)
蛇姫は蛇茨とは従姉妹同士というのはもちろん、私も知っている。それゆえに情が芽生えてしまうのも不思議ではないが...
とりあえず、蛇姫の事は置いといて...今は岩倉玲奈だ。今までならば将来的に組織にとって利になる逸材として引き抜こうとも考えていたが、玲奈が転生者だと帝様に報告してから急にあの方の方針が変わり、『岩倉玲奈を抹殺せよ』と言われるようになったのだ。
(正直、あの方が何を考えているのかは分からない...だけど、今の私には従う以外の選択肢なんて残されていない...)
それが分かっているはずなのに...心のどこかではどうしても玲奈の命を奪いたくないという思いも残されているのが不思議だ...
ねぇ、玲奈?
私...
どうすればいいのかな?
遂に初等部5年生編です。ここからシリアスな展開も多くなっていきます...




