278.岩倉姉妹のアトラクション巡り
第278話
「空中コースター楽しかったね~!」
「えぇ、そうですね。」
空中コースターを終えた陽菜はウキウキした様子で私に話しかける。
(空中コースターは他と比べたらスピードがそこそこだから問題はなかったけど...)
そう...これはまだ序の口に過ぎないのだ。
「さぁ!次はエメラルドフォールにいこっ!その次は逆回転ソラ丸...あっ!そこまで終わったら次は玲奈お姉ちゃんが希望するアトラクションにいこう!私ばかりが楽しむのも悪いもん!」
「ありがとうございます。そうですね...では、そうしますか。」
いや、そうでもないか?陽菜も私に配慮してくれているみたいだし...
とりあえず、エメラルドフォールと逆回転ソラ丸が終わったら次はゆったりしたアトラクションに乗るとしよう...
・・・・・
「うわぁ~!すごく高いね~!」
(いや、高すぎでしょ...)
エメラルドフォールはその名の通りのフリーフォールだ。それも、クリスタルアイスシティーのフリーフォールの高さは100mを超えている。
ちなみに前世の世界だと多くのフリーフォールはドロップタワーと呼ばれる絶叫アトラクションに入れ換わっているが、このクリスタルアイスシティーでは例外的にフリーフォールとドロップタワーが共存していたりする。
まぁ...それはともかく、前世の世界で遊園地になど行った事がない私も、流石にこれは高すぎるという事だけは容易に理解させられた。
「どんどん上がっていくね~!」
「そうですね...この高さから急降下ですか...」
「もしかしたら、途中で私達の安全バーが外れて...そのまま放り出されたりしちゃったりして~!」
「やめてください!縁起でもない...」
陽菜とそんな事を話している間に遂に私達を乗せたライドがてっぺんに到着した。
「いよいよだね...」
「そうですね、流石に緊張してしまい...」
...と、その時だ。私が最後まで言い終わらない内にライドが物凄いスピードで急降下をはじめた。
「「きゃあぁぁぁっ!!!」」
私と陽菜の恐怖と喜びが混じった悲鳴が遊園地に響き渡ったのだった...
・・・・・
「エメラルドフォールも逆回転ソラ丸も楽しかったね!玲奈お姉ちゃん!」
「えぇ、そうですね。」
エメラルドフォールを終えた後に私達姉妹が向かったアトラクションは逆回転ソラ丸。
こちらは以前に同級生グループの皆と来た際に乗った事があったアトラクションというのもあって、そこまで恐怖は感じなかった。
「さて、次は玲奈お姉ちゃんの希望のアトラクションを...うっ...」
「ん?陽菜、どうしましたか?」
さっきまで嬉しそうに話していた陽菜が急にお腹を抱えてうずくまった。
「その...ねぇ!ちょっとお手洗いに行ってきてもいい!?」
「あっ、別に構いませんよ。私はここで待っていますので。」
どうやら、陽菜はお腹を壊してしまったらしい...そのまま護衛に連れていかれる形でトイレへと向かっていったので私はひとまずこの場で待機しておく事にした。
(さて、今の内に私が行きたいアトラクションを決めておこうかな...)
その時だった。
「まさか、このような場所でお...いや、岩倉玲奈先輩とお会いできるとは...」
見知らぬ女の子が私に声をかけてきた。私が岩倉玲奈である事を知っているという事は...この子はそれなりの貴族の家の娘だったりするのかな?
「あの...失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あっ、そうでした...お初にお目にかかります。私は亀寿ユメです。」
「えっ?」
いやぁ...まさか、こんなところで出会う事になるとはねぇ...




