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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
28/315

26.空気令嬢=苦労令嬢

更新が遅くなって大変申し訳ありません‼


第26話



運動会の種目の練習を始めて3日目、といっても綱引きと玉入れは3人ではとても練習とは言えないから主にムカデ競走だけを練習している状態だ。


「では、そろそろ休憩しましょうか。」


「そうですね。」


「はい!玲奈様‼」


一通り練習を終えた私達が休憩にはいろうとしたその時、


「もっと息を合わせないと‼こんなんじゃビリ確定だよ‼」


「そんな事言われてもですねぇ...」


2つの声が運動場に響いた。私が声をした方をみると恐らく私達と同じく運動会の種目の練習をしてたのであろう令嬢2人の姿があった。足を紐で縛っている事から恐らく二人三脚の練習だろう。


(面倒事は嫌だけどかといってほっとくわけにもねぇ...)


このままでは喧嘩になりそうな雰囲気だったため私達は止めに入る事にした。


「まぁまぁ、お二人とも落ち着いて下さい。」


「これが落ち着いてって...あっ‼岩倉様じゃないですか‼」


「貴女は確か富小路真里愛ちゃん?」


令嬢の内の1人は私の見知った顔だった。この間会った空気令嬢こと富小路真里愛ちゃんだ。


「いっ、岩倉様⁉大変失礼しました!」


「貴女は...」


もう1人の令嬢とはこの時点では面識がないが私はこの子の事も知っている。なぜならもちろん、


「初めまして!中園沙友里なかぞのさゆりと申します!」


中園沙友里と名乗ったこの子もまた、玲奈お嬢様のたくさんの取り巻きの一人なのだから...



「お二人は仲が良いんですか?」


気になっていた事を聞いてみた。


「はい!幼馴染みです。」


「はい。まぁ、雛恵よりかは無害ですけどね。」


(そうだったんだ。)


ゲームでは取り巻きの中で特に影が薄かった真里愛ちゃんの交友関係など明かされるはずがない。沙友里ちゃんとの関係も単なる取り巻き同士としか思えなかった。


だがよく考えたら有り得る話だ。沙友里ちゃんの実家の中園家は藤原北家閑院流四辻支流の羽林家で富小路家と同じく子爵の爵位を授かっている。同じ子爵家同士なら接点があってもおかしくないはずだ。


ゲームでの沙友里ちゃんはおしとやかで第2の清芽ちゃんタイプの女の子だったけど、清芽ちゃんと違って運動能力や学力は低かった。真里愛ちゃんが苦労するのも納得だ。


「では、まず真里愛ちゃんが沙友里ちゃんのペースに合わせて練習してみてはいかがでしょうか?」


こういう場合の練習法は早い方が遅い方に合わせた方がちょうどいい。


「でも...それじゃ負けてしまいます...」


「私の足が遅いので...」


真里愛ちゃんと沙友里ちゃんは勝敗にこだわってるみたいだ。年相応の考えだがそんなでは一向に上手くならないだろう。


「勝敗にこだわる必要はありませんよ。二人で息を合わせて最後まで頑張れれば成功なのですから。」


『『玲奈様...』』


私がそういうと真里愛ちゃんと沙友里ちゃん...そしてなぜか清芽ちゃんと奏ちゃんまで目を輝かせて私を見つめていた。


(ん?私、普通の事言っただけなんだけどな...)


不思議に思っていると、


「玲奈様~‼尊いです‼エモいです‼激エモです‼どうかわたくし、富小路真里愛とお友達になって下さい!」


「やっぱ転...いや、玲奈様のような方に仕えるのが夢でした!どうか私もお願いします‼」


「ちょっと‼あんたたちねぇ‼何を勝手に玲奈様に抱きついてるのよ!」


「私も玲奈ちゃんを堪能します!」


4人がそれぞれの言葉を口にして私に抱きついてきた。


「ちょっと‼皆さん落ち着いて下さい!」


(でも...悪くはないかも?)


私達はそれからしばらく団子状態で抱き合っていたのだった。



下校後...


「玲奈お嬢様、屋敷に到着しました。」


「分かったわ。」


姫香にそう言われて私は車を降りた。姫香の方を見てみるとなんだか少し怒っているような顔をしていた。車の中で今日の学園での事を話してからというものずっとこうだ。


(何が気に入らなかったんだろう?もしかしてヤキモチ?まさかね...)


姫香がそんな感情を持つ筈がない。彼女は完璧な使用人なのだ。


「姫香怒ってます?」


「いいえ、怒ってません。」


「怒ってるでしょ。」


「怒ってません!」


いくら言ってもこれだ。結局、この日は姫香の機嫌が治る事はなかったのだった。





・・・・・


「はぁ~‼やっぱ美しくて優しくていいよね‼玲奈様って!」


「うん、真里愛ちゃんとは大違いですね。」


「貴女のせいでしょ‼貴女や雛恵のせいで苦労令嬢くろうれいじょうなんて異名がつくかもしれないじゃん‼」


「ハハハ‼」


その日の夜、真里愛と沙友里は携帯電話で今日の事を語り合っていた。


「それでさ!運動会もうすぐだね!」


「そうですね。」


しばらく話していると運動会の話題が始まった。


「それに関してですが真里愛ちゃん、聞いてほしいことがあります。」


「えっ...なに?」


急に真面目な雰囲気になった事に驚きを隠せない真里愛に沙友里は話し始めた。


「運動会当日は...........................分かりましたか?」


「ちょっと...それってどういう事⁉って沙友里?沙友里⁉もしもし⁉」


それを最後に沙友里からの電話は切れてしまった。



(どういう事よ...沙友里...)



真里愛は電話の内容で頭がいっぱいでその夜、なかなか眠れなかったのだった。




次回は家でのお話。

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