275.チョコ攻め...
第275話
私とのチョコ交換をし終えた後、莱們ちゃん、萌留ちゃん、美冬ちゃんの三人はそれぞれの家へと帰っていった。
ちなみに滓閔に関してだが、さすがに一人だけチョコを渡さないというのはかわいそうだったので萌留ちゃんに滓閔用として予めとっておいたチョコを渡して、後日に本人にあげるように伝えておいた。
(ふぅ...とりあえず、3年生組は終了っと。あとは...)
もちろんだが、私のバレンタインはまだまだ続いている。
ピンポーン!
再びチャイムの音が鳴り響いた。
「姫香、再び出迎えをお願いします。」
「かしこまりました。」
そうして姫香が部屋を出て、玄関へ向かっていった後、私は次に誰が来たのかを頭の中で予想していた。
(まぁ、順番的に次は2年生組かな?)
そして、私のその予想はというと...
「玲奈さん!お待たせしてしまって申し訳ございません!」
「玲奈お姉様!私はこの日を待っていました!」
「「「岩倉先輩!早くチョコを交換しましょう!」」」
どうやら、見事に当たっていたようだ。
「憩美ちゃん、眞美ちゃん、敦鳥ちゃん、愛沙ちゃん、智秋ちゃん、待っていましたよ。」
憩美ちゃんに眞美ちゃんに敦鳥ちゃんに愛沙ちゃんに智秋ちゃんと...2年生組が私の部屋に集結していた。
以前に遊びに行った際は眞美ちゃんが家の都合で来られなかった事もあって、何気に学園以外で2年生組全員が私の元に集まるのは初めてだったりする。
「では、時間も迫っていますし...チョコの交換に移りましょう。」
「「「「「は~い!!!!!」」」」」
3年生組の時と違って2年生組とは何のトラブルもなく、チョコを交換する事ができた。
大方、2年生組はしっかり者タイプが多かったというのも要因だろうか。
「玲奈さん、今日はありがとうございました!」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。」
帰っていく2年生組の姿を見送りながら私は次にやってくるであろう、あの子の事を考えていた。
(さて、あの子はどんなチョコを持ってくるんだろうね...)
ピンポーン!
そして、本日三回目となるチャイムの音が鳴り響いた。
「姫香、何度も申し訳ありませんが出迎えをお願いしますね。」
「はい...個人的にはあの子の対応は嫌なのですが...」
姫香がこっそりと文句を言っているが愚痴りたくなる気持ちも分かるので今回は聞かなかった事にしておこう。
なにせ、相手が相手だもんね...
「玲奈様~!この今城美織がやって来ましたよ~!」
そう...1年生で私の事を過剰に崇拝してくれている今城美織ちゃんだ。
「早くチョコを交換しましょう!まずは玲奈様からお願いします!」
「えぇ、分かっていますよ。」
おや?美織ちゃんは他の子達と違って先に私のチョコをねだるタイプか...
「では、受け取ってください。」
「わ~い!ありがとうございます!」
何はともあれ、美織ちゃんは私からチョコを貰えた事に大満足のようで喜びに満ちた表情をしていた。
「さて、次は私からですね...姫香さん、お願いしま~す!」
「えっ?」
なぜか、姫香を呼ぶ美織ちゃん。
...ん?待てよ?そういえば、姫香はまだ部屋に戻ってきていない!もっと早く気づくべきだったのかもしれない。
「よいしょっと!はぁ、お待たせしました...」
そして、姫香が私の部屋に戻ってきた。大きな袋を抱えて...
「えっと、これは?」
「決まってるじゃないですか!私から玲奈様へ捧げるバレンタインチョコですよ!」
「こんなに!?」
袋の中には百を超えるであろう、大量チョコでびっしりだった。
「さすがに私には手作りは無理だったので市販のチョコをたくさん用意しました~!」
いやいや!市販だったとしてもだ。いくら何でも多すぎやしないかい?美織ちゃんは私に鼻血が出るまでチョコを食べろというの!?
「これで、私の玲奈様に対する忠誠心はお分かり頂けましたか?」
「はい。同時に直前に敦鳥ちゃんが『今城美織のチョコにご注意ください!』と言ってた意味も分かりましたね。」
「相変わらず、長寿院先輩は私に対する当たりが強いんですよね~!」
流石の私もこのチョコの山には唖然とするしかなかったとさ。




