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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
277/318

274.食べてみたかった(無謀)


第274話



優里ちゃんのチョコを盗んだ犯人と以前から身の回りで起こっているたくさんの異変の犯人が実は同一人物による者ではないか?と私が確信したのは犯人と疑っている少女の顔色を見てからだった。



(...ねぇ、何であなたがあんな事を?私達は友達だったよね...)



当たり前だが私はミラピュアでの彼女についてはよく知っている。だから、ちゃんとその子の事は常に気にかけていたつもりだし、少なくとも普段は皆とも上手くやれていた。まさか、その子にも修正力が働いて原作通りに逆戻りしようとしているのだろうか?



「玲奈お嬢様、家に到着しましたよ。」



「姫香、ありがとうございます...」



とりあえず、その子の件に関しては後回しだ。やらなければならないことがある...



実は私にとってのバレンタインはまだ終わりではないのだ。



「それで、既に下級生の皆さんは全員揃っているのですか?」



「いえ、今は陽菜お嬢様と三条莱們様だけですね。」



「なるほど、あの二人は準備が早いといいますか...」



そう...バレンタインでチョコを交換しあうのは何も同級生のグループメンバーとだけではない。これから、ちゃんと下級生のグループメンバ達ーともチョコを互いに交換していく予定なのだ。



「それぐらい、お二人は玲奈お嬢様とのチョコ交換を楽しみにされているのでしょう。」



「なるほど、それは悪い事をしてしまいましたね。少しばかり待たせてしまいましたし...」



姫香と会話しながら私が家の扉を開けた時だった。



「ただい...」



「玲奈お姉ちゃん!待ってたよ!」



「玲奈お姉様!お待ちしていました!」



家の中で待っていたらしい陽菜と莱們ちゃんが私に抱き着いてきた。



「さぁ!早くチョコを交換しよ!」



「分かってます。ですが、ここは玄関ですよ?ここは一度部屋に入りませんか?」



早く早くとチョコ交換を急かす二人を宥めると私は二人とともに自分の部屋に入った。



「じゃあ、改めてチョコを交換しよ!」



「分かりました。」



「はいっ!私からね!受け取って!」



そう言って陽菜が渡してきたのは綺麗にラッピングされたチョコだった。



「陽菜、ありがとうございます。では、私からはこちらを...」



「わ~い!玲奈お姉ちゃんからのチョコだ~!」



数日前から陽菜が醒喩さんに協力してもらって私へのチョコ作りに励んでいる姿をこっそり見守っていた私からすればこのチョコをもらえた事はとてもうれしい。



「次は私ですね!玲奈お姉様!お受け取りください!」



「ありがとうございます。莱們ちゃんも私のチョコを受け取ってください。それと、こちらの市販のチョコは耀心くんにあげてくださいね。」



「私のみならす、わざわざ耀心の分まで用意していただきありがとうございます!」



莱們ちゃんはそう言いながら感激した様子で私からチョコは受け取った。それにしても、友チョコを交換しただけなのにリアクションがオーバーすぎやしないかい?



ピンポーン!



「あっ、萌留達が来たみたいです!」



「姫香、出迎えをお願いします。」



「かしこまりました。」



そして、20秒後...



「玲奈お姉ちゃん!お待たせ!」



「玲奈お姉様、待たせてしまって申し訳ございません...」



部屋の扉が開いて萌留ちゃんと美冬ちゃんが入ってきた。ここは来た理由は言うまでもないだろう。



「では、お二人ともチョコを交換しましょう。」



「「は~い!!」」



そうして、萌留ちゃんと美冬ちゃんとチョコを交換し終えた直後に私は滓閔だけが来ていない事に気づいた。



「そういえば、滓閔ちゃんの姿が見えないようなのですが...」



「「「「あっ...」」」」



私が滓閔について言及した途端に萌留ちゃんと美冬ちゃんが気まずそうな表情になった。



「それがですね、滓閔ちゃんなのですが私と萌留ちゃんと三人でチョコを作ってたんです。ですが...」



「砂糖と塩を間違えたり、隠し味に変な物入れようとしたりで何とかチョコはできあがったんだけどね~!さすがに玲奈お姉ちゃんがあれを食べたらお腹壊しちゃう!ってなってお留守番かな?」



うわぁ...滓閔、何か哀れだね...確かにミラピュアでも料理苦手だったからそんな予感はしてたけど...



「いえいえ、心がこもっているなら味なんて別に気にしませんよ?むしろ、食べてみたいくら...」



「「絶対に食べちゃダメ!」です!」



試しに思ってもない事を言ってみただけでこれだ。美冬ちゃんはともかく、普段は笑顔を絶やさない萌留ちゃんまで真剣な眼差しで訴えかけてくるとは...



滓閔よ。君はいったい、どんなチョコを作ったというのかな?



(う~ん、せっかくだから食べてみたかったかもね...)



そんな無謀な思いを数年後に後悔する事になろうとはこの時の私は知らなかった...




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