272.バレンタインは友チョコで!
第272話
「玲奈、おはよう!」
「蛇茨ちゃん、おはようございます。今日は蛇茨ちゃんが一番乗りとは...」
あの日の一件の後、蛇茨ちゃんはグループメンバー達ときちんと仲直りすることに成功したよ!
これで私達のグループは完全に復活!蛇茨ちゃんも完全に元通りに...いや、違う!実は完全に元通りにとはいかなかったのだ。
「こら~!お嬢様言葉になってるよ?私と二人っきりの時は素で喋る約束だったよね?」
「あっ!そうでし...そうだったね。ごめん、蛇茨。」
「うん!それで良し!もう忘れちゃダメだよ?」
「ははは...あれから1ヶ月も経ったのにまだ慣れないや...」
このように以前よりも蛇茨ちゃんの私に対するスキンシップが激しくなった事だろうか?
う~ん、今の蛇茨ちゃんはまるで、ツンデレのツンの部分が取れた感じかな?これはこれで可愛らしいかは良いんだけどね!
「それでさぁ、玲奈の前世での本名はまだ思い出せない?」
「うん、そうなんだよね...」
前世での暮らしや思い出などはハッキリと覚えているはずなのにどうして前世の本名だけが思い出せないのかな?
「そろそろ、二人っきりの時は玲奈の事を前世での名前で呼んであげてもいいかなって!今の名前もそうだけど、そっちの名前だって名付けてくれた人がいるなら誰かが呼んであげないとかわいそうだもんね。」
「うん、ありがとう!私も頑張って思い出してみるね!」
「あっ!急かしちゃったみたいでごめんね!私は気長に待つからそう急ぐ必要もないからね!」
そんな感じで蛇茨ちゃんと二人っきりで会話をしているところに清芽ちゃんと奏ちゃんが到着した。
「玲奈ちゃん、ごきげんよう!」
「玲奈様!おはようございます!」
「清芽ちゃん、奏ちゃん、おはよ...ゴホン!おはようございます。」
おっと、危ないね...今度はうっかり、蛇茨ちゃんと二人っきりの時の素の口調で話しちゃうところだったよ...
「ん?あれっ?玲奈様...何か言いかけていませんでしたか?」
「あっ...いえいえ、お気になさらず。」
変なところで妙に鋭い奏ちゃんにはヒヤヒヤさせられるものだよ...なんて、考えている内に他のグループのメンバー達も続々と到着し、やがて校門前にはグループメンバー全員が集まった。
「そういえば、もうすぐバレンタインですよね!」
「そうだったね!バレンタインって楽しみ~!」
そして、話題は近日に迫っていたバレンタインというイベントになった。描写こそなかったが、今まで私達は友情の証としてチョコを渡し合っていたのだ。
...とはいえ、そもそも私達のグループは料理自体が苦手な子が多いためか、市販のチョコを渡すのだが...
「ところで...この中で男子にあげたいって思っている方っています?」
「とんでもないです!私達には玲奈ちゃんがいればいいんですから!」
「男子共に渡すくらいなら私が食べちゃいますよ...」
「やっぱり、今年もそうでしたか...」
どうやら、今年も異性にあげるという選択肢は皆の頭の中にはなかったらしい...




