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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
269/316

266.蛇の入れ墨の女


第266話



それからしばらくの間、私達は蛇茨ちゃんの家で今日の宿題を終わらせたり、他愛のない雑談をするなりして適当に時間を潰していた。幸いにも蛇姫が電話で指定した場所というのがは蛇茨ちゃんの家からは距離がかなり近かったので、それなりに時間に余裕があったのだ。



「あの、清芽ちゃん?これはその...」



「はいっ!こうして、玲奈ちゃんとおしゃべりできているだけでも私は幸せです...」



清芽ちゃんはまるで蛇茨ちゃんの事など忘れてしまったかのように束の間の私との時間を満喫しているようだった。



「清芽、いい加減にしなさい。今は玲奈様もそういう気分にはなれないって事は冷静に考えれば分かるでしょ?」



「はぁ...仕方ありませんね...」



その様子を見かねた奏ちゃんに注意されて清芽ちゃんはようやく引き下がっていた。



まぁ...普段ならどうって事もないんだけど、今日は事態が事態だからね...だから、あんまり拗ねないで欲しいかな?



ちなみにもちろん、今回の一件についてはそれぞれの家の両親にも報告済みである。特にうちの両親なんかは高松家の一件もあってか、ミラピュア以上の過保護気味で酷く心配しているようだった。父に至っては蛇姫に悟られないようにSPを配置しようとまで提案してきたくらいだ。



確かに自分を守ってくれるSPがいるというのは非常に心強いのだが、この時点で取り引きが失敗と見なされて蛇茨ちゃんに危害を加えられるという可能性も決してゼロではない。よって、私にとっては父からの提案はあまり好ましくはないものだった。



(いや、まぁ...万が一にでも、これで私が死んじゃうなんて事になるのはさすがに本末転倒だもんね...)



しかし、同時にそうも考えていた私は父にはSPを一人だけ絶対にバレないように配置しておいて欲しいと強く念押しした上で了承しておいた。



「さて、そろそろですね...指定された場所に向かうとしましょうか。」



「玲奈様!一人で大丈夫なのですか?私達も同行したいです!」



「私もです!姫由良ちゃんに届いた手紙には別に人数は指定されていませんよね?」



私を心配してくれているのか、奏ちゃんと優里ちゃんがそのような提案をしてくる。



「えっ!?ダメだよ!手紙には玲奈ちゃんが来るようにって名指しで書かれているんだよ?たとえ、人数指定がされてなくったってそれ以外の人が同行するとは選択肢として間違っていると思うの!」



「ちょっと!?姫由良!あんたは玲奈様がどうなっても良いって言うの!?」



「そんなんじゃないよ...だけどね?私からしたら玲奈ちゃんと同じくらい、蛇茨ちゃんにだって無事でいてほしいもん...」



「うっ...姫由良...」



一方の姫由良ちゃんの主張にも確かに一理あるのだが、私の事を心配している奏ちゃんからすれば受け入れ難いものだった。



それでも、私同様に蛇茨ちゃんの身も心配してくれているのか、積極的な反論はできない様子だった。



「皆さんが私を心配してくれている事は十分に分かりました...ですが、私だって皆さんに危険な目には遭ってほしくありません。私は蛇茨ちゃんと一緒に必ず帰ってきますので!信じて頂けませんか?」



「玲奈様...」



「「「玲奈ちゃん...」」」



私からの言葉にもうグループメンバー達も反論する様子はなさそうだった。



「あの...岩倉様、もう少しで時間になりますが...」



そうやって話している間にも時間は過ぎていたらしく、気づけばもう15分前。運命の時間が目前に迫っているではないか。



「そろそろですね...では、改めて行ってきます!蛇茨ちゃんのお父様、グループの皆を頼みましたよ?」



「はい、もちろんです。」



そう覚悟を決めて大坪家を出た私だったが、同時に()()()()()()()()()からか、私の脳内にてこの件の真相として1つの仮説が生まれていたのだった...













・・・・・


それから数分も経たない内に私は蛇姫が電話で待ち合わせ場所として指定した建物の路地裏に到着していた。もちろん、すぐ側には私に万が一の事が起こらないようにと岩倉家専属のSPが一人控えている。



「蛇茨ちゃん...!」



私はそこで驚くべき光景を目にしてしまった。



「玲奈、来てくれたんだ...」



その路地裏にはロープで手を後ろに縛られている蛇茨ちゃんと...



「あら?ほんとに来たのね。てっきり、己の命惜しさに来ないと思っていたのだけど...」



腕に()()()()()がある紫色の髪の女...私を呼び出した蛇姫と思われる人物の姿があったのだ...




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