263.キーホルダー
第263話
長かったような短かったような冬休みも終わりを迎え、今日から新学期だ。
「玲奈ちゃん、おはようございます!」
「玲奈様!ごきげんようです!」
「清芽ちゃんに奏ちゃん、クリスマスパーティー以来ですね。」
校門にて先に登校してわざわざ私を待っていてくれていたらしい清芽ちゃんと奏ちゃんと挨拶を交わした。
「それにしても、真里愛と沙友里が羨ましいですね~!」
「う~ん、確かにそうですね。」
余談だが、真里愛ちゃんと沙友里ちゃん...つまり、富小路家と中園家は年が明けてから二家族合同で海外旅行に行っているらしく、帰国日は3日後。よって、私達と違って今日の今頃は未だに冬休みを満喫しているようだ。
「とはいえ、家同士で親睦を深めるという事は決して悪い話ではありませんからね。富小路家と中園家は昔から親しい間柄なのは確かですし。」
「まぁ、それもそうですね!」
この調子で玲奈グループのメンバーの家同士も仲良くなれたらな~!と私は思っている。
「おや?そういえば、奏ちゃんは私がクリスマスパーティーで皆にあげたキーホルダーを通学カバンにつけてくれたのですね。」
「いえいえ!当然じゃないですか!玲奈様が自らお作りになられたキーホルダーですよ?私にとっては一生の家宝も同然なんですから!」
玲奈グループの皆と仲良くなれてから4年。せっかくなので私はその記念にとクリスマスパーティーで手作りのキーホルダーをプレゼントととして皆に配ったのだ。玲奈グループの絆は不滅だという証として...
もちろん、蛇茨ちゃんにも機会があれば渡すつもりでいるので安心してほしい。
「ん?あら~、清芽は玲奈様のキーホルダーを身につけてないのね~?玲奈様に対する忠誠心が足りないんじゃないのかしら?」
「なっ...何を言っているのですか!?私は単に自分の部屋で大切に保管しているだけです!玲奈ちゃんのキーホルダーに傷一つでもついたら一大事ですからね?」
「いやいや、二人とも...たかが私の手作りのキーホルダーなんですよ?別にそこまでは...」
う~ん、申し訳ないんだけど...私の手作りのキーホルダーにそこまでの価値なんてないと思うんだけどね~。
「全く、奏は私の事を何...あっ!ところで玲奈ちゃん?もし、良ければなのですが今度...」
落ち着きを取り戻した清芽ちゃんが私に何やら言いかけた時だった。
「玲奈ちゃん!大変だよ~!!」
「...ん?姫由良ちゃん?」
姫由良ちゃんが酷く慌てている様子で私に駆け寄ってきた。おまけに傍らには優里ちゃんの姿もあり、優里ちゃんも姫由良ちゃんと同様に酷く慌てている様子だった。何かあったのだろうか?
「姫由良ちゃん?それに優里ちゃんまで...いったい、どうしたのですか?」
「はぁはぁ...大変なの...」
私がそう聞くと姫由良ちゃんが酷く怯えたような表情で息を切らしながら、私の耳元で口を開いてくれた。
その様子からしてどうやら、あまり周囲には知られてはいけない事らしい...
「その...蛇茨ちゃんが...蛇姫とかいう人に拐われてしまったみたいなの...」
「えっ...えっ!?」
姫由良ちゃんが話したその内容があまりにも衝撃的すぎて私は驚きを隠せなかった。




