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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
263/316

260.陽菜と憩美 『心』


第260話



陽菜に二人っきりで話をしたいと言われた憩美は内心では動揺していた。



(陽菜さんはやっぱり私の事が気に入らないのかな...)



初対面時の自らの失言のせいで陽菜からの印象は最悪なものに違いないからだ。



そんな事を思っている内に別室に着いた。それと同時に陽菜からこう問いかけられる。



「ねぇ、私があなたの事を嫌っているのは分かってるよね?」



「はい...私があの時、陽菜さんにとても失礼な発言をしてしまったせいですね...」



案の定だが、自分にとっては自業自得の話だと憩美は割り切っていた。あの時の発言で知らない内に陽菜を傷つけてしまったのならば理由がどうであれ、悪いのは自分であるからだ。



「うん、おまけに去年のグループディスカッション発表会の前には同級生の子達を使ってあんな事をさせるくらいだからね...」



「えっ?グループディスカッション発表会の時...何の話でしょうか?」



「いやいや、とぼけなくてもいいから。あの日、あなたから私の話を聞いたって子達から因縁をつけられて...終いには暴力まで振るわれそうになったんだけど!?それでもシラを切り通すつもりかな?」



「嘘...そんな事があったんですか!?」



陽菜からの発言に憩美は驚きを隠せなかった。確かにクラスメート達に自分や玲奈や陽菜との関係性について相談したのは事実ではあるが、それを聞いたクラスメートの一部が陽菜に直談判しにいったり...さらには実力行使に出ていた事は憩美は全く知らされていなかったのだから...



「違います!私はそんな指示は出していませんよ!それはクラスメートの皆が私の意図をちょっと誤解しちゃっただけなんです!信じてください!」



「やれやれ...この期に及んでクラスメート達に責任転嫁ってわけか...あなたも所詮は他人を平気で切り捨てる人間だったんだね...」



「ちょっと待ってください!本当なんです!」



憩美は必死にその旨を伝えるのだが、憩美を嫌う陽菜からして見れば彼女が自らの責任を逃れたいがために必死になって言い訳をしているようにしか見えなかったのだ。



「まぁ...今はそういう事にしておいてあげるよ。はっきり言って全く信用ならないけど...」



「そんな...」



「それよりもだけどあなたから見て今日のクリスマスパーティーは楽しかった?」



「えっ?あっ、はい...」



急に話が変わったかと思ったら、今日のクリスマスパーティーの感想を聞いてきたではないか...憩美は陽菜の思惑が理解できていなかった。



「今回のクリスマスパーティーで下級生を誘うってなった時にあなたまで誘うのは正直に言うと納得がいかなかった。それでもだよ...下級生同士で仲良くなってほしいという玲奈お姉ちゃんや莱們ちゃんの思いを私の勝手な都合で無駄にしたくなかったからあなたを誘ったの...分かる?」



「陽菜さん...」



自らの私情を挟まないで玲奈グループの2年生...特に嫌っている憩美も招いて楽しいクリスマスパーティーにしていこうと考えていた辺り、陽菜はそこらのプライドの高い令息や令嬢よりかは遥かに寛容と言えるのかもしれない。



まあ...そもそもだが陽菜の本当の素性もあってか、憩美に対しても心の底から非情に徹する事はできないのだ。



かといって、心の底から仲良くなれるという選択肢も存在しないのだが...



「じゃあ、私はもう行くから...それと、楽しいクリスマスパーティーの雰囲気をぶち壊したくないから皆の前では普段の通りにあなたと接するけど...あなたと私が分かり合える事は絶対にないという事は忘れないでね。」



「.........」



憩美はそんな陽菜の背中を黙って見届けるしかなかったが...



(陽菜さん、私の事を嫌っているのにそれでも私の事を今回のクリスマスパーティーに招待してくれたんだよね...どうにかして仲良くなりたいな...いや!絶対に仲良くなってみせる!)



憩美の中で新たな決意も生まれるのだった。




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