259.3年生と2年生のメリークリスマス!
第259話
玲奈と同級生達のクリスマスパーティーの1日前...つまり、玲奈と兼光がクリスマスデートを楽しんでいる日の夜の事だった。
「「「メリークリスマス!!!」」」
三条家の屋敷にて玲奈グループの下級生達によるクリスマスパーティーが開かれていた。
ちなみにこのクリスマスパーティーの主催者は岩倉陽菜と三条莱們である。
「それにしても、莱們ちゃんの部屋...凄い飾り付けだね~!」
「えぇ、もちろんよ!私と陽菜が頑張って飾り付けしたからね!」
莱們と陽菜はこの日のクリスマスパーティーのためにと二人で協力して部屋の飾り付けを頑張っていた事を伝える。
「へぇ~!莱們ちゃんと陽菜ちゃんらしいね。大抵の家だとこういうのって使用人の人達にやってもらってるのに...」
「まぁ、他の家だとそうかもしれないけど...私は違うわ。こういうのは自分で飾り付けするから意味があると思うの。」
「そうだよね~!私もだよ!自分達で飾り付けをした方がクリスマスパーティーも絶対に楽しくなる気がしちゃうもん!」
「さすがは莱們ちゃんに陽菜ちゃんだね!尊敬しちゃうよ!」
萌留からの尊敬の視線に陽菜と莱們は満更でもなさそうな表情をして笑っていた。本当なら両親に頼んで広いパーティー会場を借りるという選択肢もあったのだが、尊敬する玲奈が自分の部屋でクリスマスパーティーを開いているのを見習って自分達も莱們の部屋でクリスマスパーティーを開く事にしたのは大正解だったようだ。
「飾り付けだったり、クリスマスの料理だったりで莱們ちゃんにここまで負担させてしまうなんて...何だか申し訳ないです。」
「美冬ったら...いちいちそんな事を気にしないの!今は思いっきりクリスマスを楽しみましょ!」
「そうですね...」
美冬はゴールデンウィークでの一件で今回のクリスマスパーティーに参加する事に多少の負い目があるようだが、そこを莱們を嗜める。
「ちなみに聞くけど、今回のクリスマスパーティーの諸費用はどれぐらいかかったの?」
「そうね...少なく見積もっても20万弱かしら?」
「ひょえ~!!あのアルプスだって1万弱なのに~?莱們ちゃんは太っい腹さんです!」
「いや、滓閔...あんたねぇ...」
これまでの長い付き合いで滓閔の奇抜で天然な言動にも普通に慣れてきたのか、3年生組は楽しそうに笑い合っていた。
最も、3年生達の後ろにいる子達はそうではない様子で...
「あっ...あのっ!本日はお招きいただき...」
「憩美ったら、そんなに畏まる必要なんてないわよ!ほらっ!他の2年の子達ももっとこっちに来て楽しみなさい!」
そう。莱們は今日のクリスマスパーティーに憩美をはじめとする2年生達も招待していたのだ。理由としては以前から同じ玲奈グループの3年生と2年生との間でもそれなりに親睦を深めてほしいという玲奈に願いを聞かされていた莱們がここぞとばかりに急遽、2年生達も招待する事にしたのだ。
「それもそうですね!三条先輩、わざわざありがとうございます!今日はお言葉に甘える形で思いっきって楽しんじゃいますね~!皆も固くならないで楽しもうよ!」
「もう...眞美は良い意味で遠慮がないんだから...」
「まぁまぁ...そりゃ、眞美さんですから...」
「うん!眞美ちゃんらしいね!」
「逆に憩美様と長寿院さんが固くなりすぎかもですね。」
三条家のご令嬢である三条莱們が相手でも怯える様子を全く見せない眞美に対して憩美と敦鳥は少し呆れながらも、それも眞美の良い所だと受け入れている。また、愛紗と智秋に至っては全肯定している。
「2年生の皆も今日は楽しんでね~!」
「このかっすーにこんなに可愛い後輩ちゃんができちゃうなんて...何だか天...」
「あっ!この先輩の言動はいちいち気にしなくていいからね~!」
「萌留ちゃん!?ちょっと待ってくださいよ~!」
萌留と滓閔は今回のクリスマスパーティーに2年生を招く事に大賛成だった様子だ。二人のボケ...いや、微笑ましい掛け合いを見て2年生達も自然と表情に笑みが.浮かんでいた。さらに黙ってはいるが、美冬も2年生達には好意的な様子を見せている。
そのため、一見するとかなり良い雰囲気のクリスマスパーティーに見えるのだが...
(くっ!島津憩美...確かに今回のクリスマスパーティーで2年生を招くのは賛成たけど...なんで、あなたまでここにいるわけ!?)
約一名...多少の例外はある模様だった。
・・・・・
玲奈グループの3年生と2年生による楽しいクリスマスパーティーの時間はあっという間に過ぎていった。
「ちょっと~!有明先輩ったら、食べ過ぎですよ~!皆の分がなくなっちゃいます~!」
「そんな事ないよ?私は普通のお腹すぎるんだけど!眞美ちゃんが食べなさすぎなんでしょ~?」
「あちゃ~...ピザ5切れにフライドチキン4つも食べた人に言われちゃおしまいですね~!」
美味しそうにピザやチキンを食べ尽くしていく滓閔に眞美がツッコミを入れたり...
「なるほど...それが三条様と玲奈お姉様の運命の出会いだったと...」
「えぇ、そうなのよ~!敦鳥は話が分かる子ね。だって、あの時の衝撃は未だにわすれられないんだから~!」
「それに比べてあの時の私はあまり褒められるような子ではありませんでしたね...」
「そんな前の事を気にしなくていいわよ!過去に縛られるくらいなら今を楽しむのが一番なんだから!」
莱們と敦鳥がお互いの玲奈との初対面時の話で意気投合したり...
「わ~い!このハンカチ可愛い!」
「私の選んだハンカチなんですから大切にしてくださいね!清水先輩!」
「愛紗ちゃんに智秋ちゃん~!私の事は清水先輩じゃなくて、萌ちゃんって呼んでほしいな~!」
「分かりました!では、萌ちゃん先輩って呼びますね~!ついでに私の事はちーちゃんでも構いませんよ?」
「では、私は愛ちゃんで!」
「ちーちゃんに愛ちゃんだね!了解~!あっ!そうだ!せっかくだし、美冬ちゃんも自分の事をみーちゃん先輩とでも呼んでもらいなよ?」
「いやいや!私は...」
「「よろしくお願いしますね!!みーちゃん先輩!!」」
「ううっ...少し恥ずかしいです...」
愛紗、智秋と萌留、美冬がプレゼント交換を通じてお互いの事をあだ名で呼び合う仲になったりとクリスマスパーティーは非常に楽しいものになっていた...
「ねぇ、憩美ちゃん...二人で話したい事があるの。ちょっといいかな?」
「えっ...陽菜さん?はい、分かりました...」
そう...陽菜が笑顔を取り繕って憩美に話しかけてくるまでは...




