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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
247/316

244.意外...いや!当たり前かも?な組み合わせ


第244話



「ほら、涙を拭いておけ。」



「ぐすっ...兼光様、すみません...」



兼光が選んだというのもあったのか...私は正直、この映画を舐めていた。少なくとも、前半はそうだった...ここで泣かせようという制作側の魂胆が丸見えでつまらないと内心では思っていたのだ。



しかし、映画が後半に差し掛かった頃から状況は一変する...何と主人公と幼馴染みの二人が誰もが予想していなかっただろう展開に突入したのだ。



すると映画が進むに連れ、近くの座席に座っていた人達の間ですすり泣く音が聞こえてきて、同時にもらい泣きしてしまう形でこの私からも涙が溢れてしまったというわけだ。私もそのぐらい、この映画に感動してしまったのだ。



(特にラストのあれは反則だよ...あれは女の子なら誰だってないちゃうよ!)



私は感動のあまりに今も目から涙が止まらず、兼光から貸してもらったハンカチで何とか涙を拭っていた。



「なぁ、どうだった?この俺が選んだだけあって感動しただろ...いや、その様子だと聞くまでもなさそうだな。」



「はいっ...この映画を選んでくれた兼光様には思っていたよりも、見る目があるのだと認識させられました...」



「ん?それは褒めてるでいいんだよな...まぁ、別にいいか!玲奈が満足してくれたのが何よりだからな!」



何はともあれ、私はこの映画を観れて本当に良かったと思っている。



そして、次はどこに行きたいかの話になった時だった...



「あっ!ちょっとトイレに行ってくるから、玲奈はそこで待っててくれないか?」



「はい、構いませんよ。緊張並びにジュースの飲みすぎが原因ですか?」



「そうかもな...じゃあ、行ってくるぜ!」



兼光が用を足したいと言い出したので、私はこの場で彼を待つ事にした。



(また観たいな...)



もしも、機会があるのなら...私がもう一度あの映画を観ようと心に決めた時だった。



「あれっ?岩倉様?岩倉玲奈様ですよね!」



「はぁ...あんた何言ってるの?こんなところにあのお嬢様がいるわけ...って、本当にいるし...」



私達同様にクリスマスデートでここに来たのだろうか、男女二人組が私に話しかけてきた。ちなみに私はこの二人の事はよく知っている。



「ごきげんよう、鎌瀬妥膺くんに西木崎倶子さん。」



私が3年生時と4年生時の...2年の間、クラスメートである鎌瀬くんと西木崎さんだった。



「あっ...えっと、ごきげんよう?」



「はぁ...どうも...」



鎌瀬くんは少しビビってるような様子で...一方の西木崎さんはちょっと面倒くさそうな様子で私に対して挨拶を交わす。相手が私じゃなくて他の貴族の家の人間だったなら、不快に思っていただろうね...



まぁ...鎌瀬くんは前世の世界によくいたB級男子、西木崎さんは一人でいる事を好んでクラスから孤立している女子...おまけに二人とも一般生徒だと考えると仕方がないのかもしれないが...



「おい!こらっ...失礼だろ!?岩倉様、すみません!こいつはこういうタイプでして...」



「いえいえ、私は別に気にしてませんので安心してください。」



西木崎さんの態度を目にした鎌瀬くんが慌てて私に謝罪してきた。他の貴族の人間やミラピュアの玲奈お嬢様ならまだしも、私はこの程度の事で激昂してしまうほど器は小さくないので安心してほしい。



むしろ、本来ならする必要もないのにわざわざ西木崎さんの代わりに謝罪してくれた鎌瀬くんに好印象を抱いたくらいなのだ。



「それで、お二人はなぜ一緒にいられるのですか?」



「はぁ?別にどうだっていいでしょ...悪い?」



「そうではありませんよ?単に他人とは馴れ合わない西木崎さんが鎌瀬くんと一緒にクリスマスを過ごされているのが珍しいと思ったのです。」



「それは...」



私の問いかけに西木崎さんは黙り込んだ。どうやら、意地でも鎌瀬くんとクリスマスを共に過ごす理由を言いたくないらしい。



「俺が代わりに説明しますね。実は俺の妹にクリスマスプレゼントを買ってあげようとしたんですけど...その時に偶然、西木崎に会って...俺が事情を話したらプレゼント選びに協力してくれる事になったんですよ。」



「なるほど...」



「はぁ...あんたは女心分かってないだろうし、趣味悪そうなやつを選びそうだからね...それだと妹さんがかわいそうじゃん?仕方なく付き合ってやる事にしたわけ!ついでにこいつが観たがってた映画にも付き合ってあげてるの!」



あたかも、仕方なく付き合ってやった雰囲気を出している西木崎さんだが、私には別の思惑もあるように見えた。



「ふふっ...普段から気にかけてくれる鎌瀬くんに対するお礼も兼ねていますよね?西木崎さんの優しさがよく分かりましたよ。」



「いやいや!別にそんなんじゃないし!むしろ、余計なお節介だから...」



西木崎さんは全力で否定しているみたいだけど、その反応だと図星なのが丸分かりなんだよね~!




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