239.狸寝入りのミーシャちゃん
第239話
私が目覚めた時にはすっかり、朝になっていた。時計を見ると午前10時になっている。
「ふわぁ...まだ眠いよぉ...寝不足...」
それでも、私の眠気は完全にはとれていなかった。何せ、夢幻世界からの強制シャットダウン並びに予想以上の夜更かしだもんね...
まぁ、こうなっちゃうのも当たり前か...
ふと、周りを見渡してみると...私よりも先に起きていたらしい真里愛ちゃんは何やら美依沙ちゃんに必死で謝っている様子だ。
ここは声をかけたいところだが、同時に私はもう少しだけ寝ていたいという願望にも支配された。幸いにも真里愛ちゃんと美依沙ちゃんは私が目を覚ました事にはまだ気づいていないようだし...
(ふわぁ...あと15分だけ...15分後に声をかけにいこうかな...)
そんなわけで眠気に負けた私が再び眠りにつこうとした時だった。
「あっ!玲奈お姉様、お目覚めになられたんですね~!おはようございます!」
「その...美依沙ちゃん、おはようございます。」
「あっ!玲奈ちゃん!?」
私が目を覚ましている事が美依沙ちゃんに気づかれてしまった。そして、美依沙ちゃんの声で真里愛ちゃんも気づいたようで視線をこちらに向けてきた。
「起きられたんですね...さっきまで気持ち良さそうに寝ていたので当分は起きないと思っていたのですが...」
「あはは...それはすみません...それよりも、真里愛ちゃん?美依沙ちゃんに謝っているようでしたが...いったい、何があったのですか?」
「実はですね...」
私の問いに何やら困った表情をしながら、真里愛ちゃんは語り始めた。
その話によると、スヤスヤと眠っていたはずの美依沙ちゃんが私達の声で途中から目を覚ましていたらしく、真里愛ちゃんが私にお揃いのブローチをくれた事に対してやきもちを焼いてしまったらしいのだ。
「というわけで真里愛お姉ちゃん!絶対にミーシャの分のブローチも作ってよね!?」
「もちろんだって!だから、この件はもうお互いに水に流そうよ!ね?」
「それと、今度からは抜け駆け禁止!玲奈お姉様が好きなのは真里愛お姉ちゃんだけじゃないんだよ!?」
「は~い...」
真里愛ちゃんが渋々といった態度で美依沙ちゃんの分のブローチを作る事を了承する。お揃いのブローチが増えるのはいい事のはずなのに...何であんな表情をするんだろうね?
「それにしても、美依沙ちゃんが狸寝入りだったとは...完全に騙されてしまいましたよ。」
「ふふっ!二人はミーシャを侮りすぎです!洞察力には自信があるんですから!」
「いや、狸寝入りに洞察力は関係ないのでは...」
今までは単に真里愛ちゃんの妹としてしかみていなかったけど...スピンオフ作品の主人公というのもあって、意外と美依沙ちゃんも油断ならない部分があるみたいだね~!




