232.真里愛ちゃんは寒がり!?
第232話
ついに12月になり、肌寒さが強くなっていった。
「ううっ!寒いよ~!」
「真里愛ちゃん、大丈夫ですか?」
今は昼休み。私は真里愛ちゃんにお願いがあると言われて人目につかない校庭の隅に来ていたのだが...
「まずいです...ひょっとすると大丈夫じゃないかもです...」
「そんな...」
おかしいな?真里愛ちゃんってそんなに寒さに弱かったっけ?少なくとも、去年のこの時期はそんな様子を見せなかったはずなんだけど...
「そうだ!玲奈ちゃん!私を思いっきり抱き締めてください!そうすれば、この寒さも収まります!」
「私が真里愛ちゃんを抱き締める...ですか?」
そりゃ...抱き締められたら少しは温かくなるかもしれないけど、あくまで一時的なものでしかなくて...
「あっ、その...ひょっとして嫌でしたか?」
「えっ...?いいえ!そんな事はありませんよ!?」
目をウルウルさせながら、こちらを見つめる真里愛ちゃんを前に平然と断れるほど...私は非情な女ではない...それに真里愛ちゃんを抱き締めるのがどうしても嫌というわけでもないのだ。
そんなわけで私はそっと優しく真里愛ちゃんを抱き締めてあげた。
「あぁ~~ん!!!すご~い!玲奈ちゃんサイコ~なのっ!」
「えっ?真里愛ちゃん!?大丈夫ですか!?」
私が抱き締めた途端に真里愛ちゃんの様子がおかしくなった。何やら苦しそうに奇声を発したではないか...
(えっ?もしかして力加減を誤っちゃった?うわぁ...ほんとにごめんね!)
その割には表情が幸せそうだったが、これはあまりの痛さに苦痛を通り越して笑顔が出てしまったのだろう。そうに違いない...
「ハァ...ハァ...大丈夫ですよぉ!」
「そうですか...」
ほら、やっぱりだ!真里愛ちゃんは何やら息苦しそうにしている...私の抱き締め方が悪すぎて真里愛ちゃんに苦痛を与えてしまったみたいだね...
今度からは軽い気持ちで他人を抱き締めないようにしないといけないね...と、私は考えていた。
「さて、玲奈ちゃん!体も温まったところで本題に入ってもよろしいでしょうか?」
「あっ!もちろんです...」
わざわざ、私を校庭の隅に呼び出すくらいだ。よっぽど重大な用事に違いないだろう...と私は身構えていた。
「あのっ!週末なんですけど...久しぶりにお泊まり会を開きませんか!?」
「えっ...真里愛ちゃんの家にお泊まりですか?」
前言撤回...やれやれ、私の緊張を返してくれないかな~?
「はいっ!玲奈ちゃんとの親交をより深めたいんです!...............他の皆には抜け駆けして申し訳ない気持ちがありますが。」
「えっと...真里愛ちゃん?」
最後の方で何やらボソボソと呟いていたけど、私には聞き取れなかった。
「あっ!何でもありません!それよりもどうですか?玲奈ちゃんを私の家に招待したいのですが...」
「それなら、是非ともよろしくお願いします。」
「えっ?即決...!?あっ!でも嬉しいです!!玲奈ちゃんとのお泊まり会を楽しみにしてますから~!」
私が真里愛ちゃんのお泊まり会の提案に応じた理由は二つ...
1つは久しぶりに真里愛ちゃんの家でお泊まり会をするのも悪くないと思っていたため...
そして、もう1つは富小路家にてどうしても確かめなければならない事があるためだった...




