230.謎のおばあさんたびたび!!
再び修正前のやつを誤って投稿してしまった事をお詫び致します!
第230話
楽しかった11月もあっという間に終わりに近づき、肌寒くなってきたこの頃...学園の生徒達もまた本格的に寒さというものを体感してきたようだ。
(ふぅ、ちょっと寒くなってきたね...そろそろ、部屋でも厚着した方がいいかな?)
無論、この私とて例外ではない。何せ、12月になると本格的に冬の到来がせ......
「キャハハ!ほら~!ダメだぞ~!あなたは私のいた~いオ・シ・オ・キを受けたいのかなぁ?」
おや?学園内...しかも、私のすぐ近くにとんでもないぶりっ子さんがいるみたいだね?
私がちょっとした興味本意で声がした方向に足を進めてみると...
「えっ?沙友里ちゃん!?」
「キャハッ!私は...って!れっ...玲奈ちゃん!?あっ...あのっ!えっと...」
なんと!ぶりっ子さんの正体はまさかの沙友里ちゃんではないか!
私に現場を目撃されてしまったのに気づいてしまった沙友里ちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしがる素振りを見せている。
どうやら、私は見てはいけないものを見てしまったらしい...まさか、沙友里ちゃんにこんな一面があるだなんて...
「ゴホン!その...これは...ですねっ!あっ...さっ...最近のアニメ...◯◯◯に出てきたキャラの声真似を密かに練習してまして!あっ...ほらっ!これは△△△の声真似なんです!どうですか!?」
「ほぅ...なるほど、言われてみれば確かに△△△に似ているかもしれませんね...」
「えっ?あっ...ですよね!」
へぇ~、とんでもないギャップだね...沙友里ちゃんはその大人びた印象の割にアニメが大好きなのか!ほんとに最近にしては言い慣れてる気がするくらいにクオリティの高い声真似だったよ!
「そうだ!沙友里ちゃん!今度、一緒にアニメでも見ますか?うちに招待しますよ?」
「えっ?あっ...ありがとうございます...」
沙友里ちゃんと一緒にアニメを観る約束はできたが、声真似の現場を見られたのがよっぽど恥ずかしかったのか、彼女は終始...複雑そうな表情をしていたのだった。
・・・・・
その後、沙友里ちゃんと別れてあとは迎えの車を待つだけ...と、なったのだが...
「もしもし...えっ!?私の送迎用の車が急に故障...ですか?何と...まさか、そんな事が...」
「はい!さらにあいにく...その他の車も旦那様の仕事の都合や洗車に出しているという事情がありまして...本当に申し訳ございません!」
姫香からの言葉に私は耳を疑った。
どうやら、姫香曰く...送迎用の車の故障によって今日は迎えに来れる状況ではないらしい。
「まぁ...壊れてしまったのであれば仕方ありません。今日は歩いて下校しますのでご心配なく...」
「玲奈お嬢様!本当に申し訳ございません!」
そんなわけで仕方なく...私は久しぶりに徒歩で下校する羽目になった。一応、徒歩で下校するのも嫌いではないのだが...
(はぁ...思えば、送迎用の車が故障して他の車も都合が悪かったために徒歩で下校って前にもあったっけ...)
私は徒歩で下校しながら、昔の事を思い出していた。
あれは1年生の時の話だった。現在と全く同じ原因で徒歩で下校する事になり、幸い何事もなく無事に屋敷に帰宅する事に成...ん?何事もなくだって!?
いや、違う...!何事もなかったわけじゃないんだよ!!
「おやおや...久しぶりだね、お嬢さん。」
「あっ...あなたは倉聟さん...?」
私の視線の先には片手にミラピュア攻略ブックを...もう片方の手には水晶玉を抱えたもう一人の転生者...倉聟三田釵さんの姿があった。
そうだった...私は忘れていたのだ。
私が何かしらの理由で徒歩で下校している時に限ってなぜか、このおばあさんに出会ってしまう事に...
「...偶然ですね。そろそろ、この世界の生活にも慣れましたか?」
「あぁ...収入は占い師の仕事で賄っているよ。前世でもやっていた職だったからか、私の評判は結構良くてね。それなりに稼いでいるのさ。」
岩倉玲奈というミラピュアのキャラクターに憑依する形で転生した憑依型の私と違い、前世の肉体ごと飛ばされる形で転生した即身型の倉聟さんは歳の事もあって安定した暮らしは難しいのではないか?と私は考えており、少し心配していた。
(一応、倉聟さんは数少ない私の同胞?的な存在だからね?)
しかし...どうやら、私のその心配は杞憂に終わったようだ。
「そうだったんですか...」
「まぁな...ちなみにこの倉聟三田釵という名前も占い師としての仮の名前に過ぎん...普段は本名を名乗って静かに暮らしておるから面倒事にも巻き込まれることはなかろう。」
ふ~ん、なるほどね~!つまり、倉聟さんにも本当の名前があって...
(本当の名前ねぇ...あれっ?そういえば、私の本名って何だったっけ...?)
変だな...何でだろう?どうしても私の前世の名前が思い出せないなぁ...絶対に思い出さないといけないとかじゃないけど妙だね...
「それはそうと...お嬢さん。風の噂で聞いたのだけど、原作通りに高松家を崩壊させてしまったそうだね?」
「ん...?えっ!?ちょっと待ってください!?原作通りに高松家を崩壊って...どういう事ですか!?」
いやいや!それはおかしい!ミラピュアでのヒロインとライガオウボスの美冬ちゃんの対決時には玲奈お嬢様はドッキーネスボスという事もあって既に物語からは退場していたはずだよ...?
つまり、ミラピュアにて玲奈お嬢様が美冬ちゃんや高松家と争うなんて事は絶対にあり得ないのだ...それなら、どうして?
「まだ、分からないのかい?まぁ...お嬢さんは攻略ブックを持ってないと言っていたから、仕方ないかもしれんがな...ほら、このページを読みなさい。そうすれば、お嬢さんも全てを理解するはずだよ。」
そう言って倉聟さんが私に見せてきたのはミラピュア攻略ブックの115ページ...
ミラピュアの【各ルートにおける裏設定1】と記されていた部分であった...




