228.忠犬達へのご褒美は...
第228話
とある休日にて
「さて、そろそろあの二人が到着する時間だね~。」
今日は私のためにいろいろと頑張ってくれた美織ちゃんと敦鳥ちゃんを労るためのご褒美会という事で二人を岩倉家の屋敷に招待している。
(二人が満足してくれると良いんだけど...)
ご褒美の内容に関してはそれが結構迷ったんだけど、最終的にはシンプルなものにさせてもらった。
下手に豪華なご褒美にしても他の子達から嫉妬されて『私も!』みたいな感じになりそうだからね...何か、皆って私の事を異様に好き過ぎ?的な感じがするし...
「...やっと気づき始めましたか...」
「はい?姫香、何か言いましたか?」
「いいえ、何でもありません。」
私の独り言を聞いていたらしい姫香が何か言ってたような気がするけど...まぁ、それは置いといて味見も済んだし、ご褒美会に向けての心の準備をしておかないとね...
ピンポーン!
私がそう思っている矢先に玄関のチャイムが鳴った。
どうやら、時間的に二人が岩倉家の屋敷に到着したようだ。
「玲奈お嬢様、私がお二人を部屋にお連れしますのでお嬢様はご褒美の準備をしておいた方がよろしいかと。」
「そうですね。姫香、よろしくお願いします。」
こうして、姫香は美織ちゃんと敦鳥ちゃんを出迎えるために玄関へ...私はご褒美の準備のためにキッチンへと向かった。
(大丈夫、このクッキーは二人も絶対に美味しいって言ってくれるはずだよ...)
そう...美織ちゃんと敦鳥ちゃんへのご褒美というのは私の手作りのクッキーを振る舞うというものだ。もちろん、どこかの乱暴者と違って私の料理の腕は壊滅的というわけではないので安心してほしい。むしろ、上手い方だと自分の中では思っていたりする。
「ちょっ...そんなに押さないでください!玲奈お嬢様はまだ...あっ!」
すると向こうの方で姫香が誰かに抗議しているような声と同時に...
「玲奈様~!この美織ちゃんがご褒美を受け取りに来ましたよ~!」
「おわっ...」
ご満悦な様子の美織ちゃんが現れたかと思うと、私にギュっと抱きついてきた。
「こらっ!今城様!さっさと私の玲奈お姉様から離れてください!」
「ご冗談を~!いつから玲奈様が長寿院先輩のものになっちゃってるんですかね~?玲奈様は私のものなんですけど~?」
「むむむっ...」
おや?お約束の展開ナンだろうけど、何か二人が言い争いを始めちゃったんだけど...というか、私は誰のものでもないんだけどね?
「ほらほら、喧嘩しない。喧嘩するならご褒美なしで帰って頂きますよ?」
「なっ!それは困ります!ねぇ、長寿院先輩~!私達は結構仲良しですよねぇ~!」
「えっ?あっ...そうですね!私も...その今城様を非常に...尊敬...してます...よ?」
いや、ご褒美のパワー凄すぎじゃない?二人の言い争いをこうも簡単に収まらせてしまうんだよ?
この後、私の手作りクッキーは二人からは見事な大絶賛を頂いた。羨ましそうにその様子を見ていた姫香に気づいた私は姫香にもクッキーを分けてあげると、姫香は大喜びでクッキーを食べていたのだった。
そして、お持ち帰り用のクッキーを二人に渡すとこの日は解散となった。
えっ?餌付け?とんでもない!まぁ、確かにクッキーを報酬にちょっとした頼み事はしちゃったけどさ...




