223.タイミング悪っ!
第223話
えぇ、さっきも言った通り...私は今、美織ちゃんと敦鳥ちゃんに何故だか迫られている最中である。
「ねぇ、玲奈様~!やっぱり、あんな先輩はほっといて、私を鍛えてほしいんだけど~!」
「まぁ、失礼な!玲奈お姉様!あんなメスガキは無視していただいて結構です!改めまして私にご指導を願いたいのですが...」
「あの~、二人とも?」
なぜ、こんな事になってしまったのかというと、少しばかり時は遡る...
・・・・・
この日は私のスケジュールには特に遊びや習い事の予定もなかったため、私は自宅の部屋にて昼寝をしたり、勉強の予習をしたり、のんびりとくつろぎながらテレビ番組を見たりと...自由な時間を満喫していた。
その最中だった。
「あの...玲奈お嬢様、メスガキ...いいえ、今城美織様がお見えになっています。」
「えっ?美織ちゃんがですか?」
姫香の口から物騒なワードが飛び出してきたがある意味、本当の事なので咎めはしない。ただ、本人の前では言っちゃダメだよ?
「どうしますか?追い返しますか?私としましては追い返したいのですが...」
「それだと...美織ちゃんがかわいそうです。入れてあげてください。」
「はい...玲奈お嬢様は優しすぎるんですよね...」
私の返事を聞いた姫香は不服そうにしながらも、美織ちゃんを迎えに玄関に向かった。
どうやら、姫香は美織ちゃんみたいなタイプの子が嫌いらしいのだ。美織ちゃんが今までは猫を被っていたからだろうか?
...なんて思っていると、
「ちょっ!今城様!困りま...」
「玲奈様~!今城美織が参りましたよ~!」
止めようとする姫香を遮って美織ちゃんが私の部屋に入ってきた。
「その...美織ちゃん、来てくれたのは嬉しいのですが...もうあなたに教えられる事はありませんよ?」
「またまたそんな事を~!仮に...万が一、そうだとしてもですよ!?私は玲奈様に会って...甘えられるだけでも嬉しいんですから!ほら、こうやって!」
そう言いながら、美織ちゃんは私に抱きついてきた。ちなみに美織ちゃんはあの日以来、私や私と親しい人間の前では猫を被った初対面時の話し方をしなくなった。
まぁ、前の口調はどこか演じていた感じが見られて分かる人から見れば不快と捉えかねられなかったからね...私もこうやって素を出して甘えてくれる美織ちゃんの方が好きだよ?
「玲奈お嬢様、今度は長寿院さんがお見えになっていますが、どういたしますか?」
「敦鳥ちゃんがですか...まぁ、別に構いませんよ。」
「かしこまりました。」
よりにもよってこのタイミングでかよ...!と、私は心の中で思っていた。
なぜなら、
「えぇ~?入れちゃうんですか~?せっかく、私が玲奈様を独占していたのに~!」
「まぁまぁ、敦鳥ちゃんも何かしらの用があって私を訪ねてきたのですから...」
「だって~!あの先輩、頭が固くて鬱陶しいんだもん!」
案の定、美織ちゃんが敦鳥ちゃんが来るのを嫌がるような素振りを見せてきた。
そして、
「はいはい...部屋の外まで聞こえてますよ?わがままで自己中なメスガキの今城様?」
「いやいや!私は事実を言ったまでですよ~!真面目すぎて頭がカチンコチンの長寿院先輩~?」
あ~あ...やっぱり、こうなっちゃったね...




