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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
221/317

218.家族愛とは


第218話



「やったー!無事に我が家へ帰還成功だね!」



「ふぅ...やっと戻れました...」



『『『玲奈お嬢様、陽菜お嬢様、おかえりなさいませ!!!!!』』



あの後、美織ちゃんとの話を終えて今城家の屋敷を出た私と陽菜はようやく岩倉家の屋敷に到着し、使用人達からの温かい出迎えを受けていた。



「ううっ!ほんとに...ほんとに玲奈お嬢様が無事で良かったです!」



「もう...姫香ったら...」



ねぇ、姫香...私が無事だったのが嬉しいのは分かるけどさぁ...皆の前で抱き締められるのは流石に恥ずかしいんだよ?



「陽菜お嬢様...」



「醒喩さん...」



一方の陽菜の方も醒喩と無事に再会!...なんて思っていたら、



パチン!!



「いたっ...」



「えっ...醒喩...」



何と醒喩がいきなり陽菜にビンタをお見舞いしたではないか...私は突然の事で驚きのあまり、唖然とするしかなかった。



それは姫香や他の使用人達も同様だったようで本来なら公爵令嬢に対してあまりにも無礼といえる行為が目の前でおこなわれたにも関わらず、醒喩に対して怒りをあらわにする者は一人もいなかった。



だって、他の使用人達も内心では似たような気持ちだったのかもしれないからね...



「醒喩さん...」



「私は...私は本当に心配してたんですよ!!私に無断で()()()()()立てて!おまけに拐われてしまったんですから!私の大切なお嬢様に何かあったのではと思うと不安でいっぱいだったんですよ!!」



醒喩の悲痛な叫びを前に陽菜は何も言えなかった。なぜなら、全てが事実なのだから...



ん。ところで醒喩が言っている陽菜の計画とはいったい、何の事だろう?と思ったけど...あいにく、今はとても聞き出せそうな空気には見えないね...



まぁ、後で聞いておけばいいよね...



「醒喩さん...本当にごめんなさい!」



「全くですよ!でも、良かったです!陽菜お嬢様が無事で!ううっ!......あっ!こちらこそ、陽菜お嬢様にビンタしてしまって申し訳ございません!」



「いいんだよ!そのぐらい、醒喩さんに心配をさせちゃったのは事実だもん!」



うん...どうやら、醒喩と陽菜の方も無事に収まったみたいだね。



私が一安心していた時、家の奥の方からドタバタと誰かがこちらに駆け寄ってきているような足音が響き渡った。



もちろん、その音の主の正体は...



「おぉ!玲奈!陽菜!2人とも...よく無事でいてくれた!」



「玲奈ちゃん!陽菜ちゃん!無事だったのね!」



私達の父と母だった。特に母に関しては目元に涙が見えており、よっぽど私と陽菜が無事なのか心配していた事が分かる。



「お父さん!お母さん!心配させちゃってごめんなさい!」



「私からも謝ります。お父様、お母様。心配をかけて本当に申し訳ありません...」



まぁ、今回ばかりは2人に心配をかけちゃったのは事実だし、私からもしっかりと謝っておこう。



...と、そう思った私も一応、両親に頭を下げておく。



「いいんだ!お前達が謝る必要はない!悪いのは高松家の連中なんだ!」



「そうよ!あなた達が無事で本当に良かったわ!だから、そんな風に頭を下げないでちょうだい!」



なるほど、良かった...父も母も怒ってはいなかったようだ。



「お父さん!お母さん!」



「「陽菜...」」



陽菜は嬉しそうに父と母の元に駆け寄ると2人に抱き着いた。そんな陽菜の行動を両親は少しばかり、驚きながらも温かく受け止めた。



(私も小さい頃はあぁやってお父さんやお母さんに抱き締めてもらってたんだよねぇ...体調を崩してからは自分から抱き着きにいく事はできなくなったけど、その時も優しく抱き締めてくれたっけ...)



私が前世での両親との思い出を思い浮かべていた時だった。



「あっ!ほらっ!玲奈お姉ちゃんも!」



「えっ?」



ふと周りを見渡すと両親と使用人達が期待に満ちた視線を私に向けていた。陽菜の発言から考えるにここは私も抱き着いてこいという意味なのかな?



「大丈夫ですよ。別に抱き締められなくとも、お父様やお母様が私の事を大切に思っている事は十分に承知していますから...」



「ふむ。やっぱり、玲奈は大人びてるな...まあ、それも良いところなんだが。」



へぇ~、大人びてるねぇ...そりゃ、前世の記憶がある以上は当たり前だよ。



そう...あの日、前世の記憶を取り戻した時から思っていたんだよね。あくまで今の父と母は岩倉玲奈の両親なのであって、今の私とは赤の他人でしかないのだと...



だからね?私は表面上は上手く演技力や猫被りで取り繕えても、陽菜のように完全に娘として父や母に甘える事はできないんだよね...



(悪く思わないでよ?だって、あなた達だってミラピュアのルートによっては実の娘を見捨ててるからね...正直、前世を思い出したあの日以来...あなた達は私にとって信頼に値する人間じゃなくなったんだよ?)



私は引き続き、父や母に甘える陽菜と陽菜を甘やかしている両親を眺めながら、心の中でそう呟いたのだった。




玲奈が両親の事を内心では信用できてないという伏線は以前からありました。


それは自分から両親に頼み事をする機会が少ないという点です。実際に中山家の刺客の件は父に言われてから知ってますし、陽菜を岩倉家の養女として引き取ったのも嘉孝さんが両親に頼んだからなのです。賢い方は薄々、察していたと思われます...


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