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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
22/290

20.夢枕のご先祖様⁉

今回は玲奈の夢の中のお話。


第20話



その日の夜の事だった...



「うっ...う~ん...」




玲奈は酷くうなされていた。理由は単純、とある不思議な夢を見ているからだ。ここからは夢の中の玲奈の視点から話を進めてみよう。




夢の中では...


「ん?ここはどこ?」


私はいつのまにか変な場所に迷いこんでしまった。そこには何もなく、ただ謎の空間が広がっている。


「ここは夢幻世界だ。我が末裔よ。」


(...誰⁉)


どこからか謎の声が聞こえたので周囲を見渡しているといつのまにか私の目の前にまるで昔の貴族のような格好をした小人サイズのおじさんが立っていた。


「貴方はいったい⁉」


「そう警戒するな。私の名はふじわ...あっ...いや、気軽に麻呂まろとでも呼んでくれ。」


「そんな事じゃなくて‼貴方は何者なんですか⁉」


「私はお前、岩倉玲奈の母方の先祖だ。」


(ごっ...ご先祖様⁉)



何でとっくに成仏してるであろうご先祖様が私の夢の中に?というか私は本当の岩倉玲奈ではないのだが?


「それで、私に何の用ですか?ご先祖...いや、麻呂さん?」


私が一番気になっていた本題を聞いてみると、


「ふん!私の子孫がピンチというのに黙ってられるか!助力するために一時的に地獄からまい戻ってお前の夢幻世界に侵入したんだ!感謝するがいい!」


普通に聞けばありがたい申し出にも聞こえる。だがよく聞いてみると物騒な言葉が出た気がしたのだが⁉


「地獄⁉麻呂さんって地獄に落ちたんですか⁉」


「うむ、左様じゃ。」


「いったい、どんな悪い事をしでかしたんですか?」


「時は奈良時代。私は公卿として栄華を極めた。敵対する者は一族もろとも容赦なく蹴落とし続けた。そしてついには朝廷の頂点、大政大臣だいじょうだいじんにまで登り詰めたのだ。...がそれが災いのもととなったのだ。欲を増した私は朝廷に対して反乱を起こしたが破れ、最後には朝敵ちょうてきとして首をはねられたのだ...」


(はああぁぁぁぁぁ⁉)



一族もろとも⁉朝敵⁉首をはねられた⁉麻呂さんはとんでもない悪人ではないか‼こんな人の血を受け継いでいるというならゲームの玲奈お嬢様があんな性格であんな末路になったのも頷ける。つまりゲームの玲奈お嬢様は生まれた時点で詰んでたということか?


「そんな悪行重ねて...地獄に落ちて当然です!」


「まぁ、あの時代では他の者も大して変わらなかったんだがな...」


「言い訳無用!全く私が困ってるのは貴方のせいでもあるんですから‼反省してください‼」


「いや...だからなぁ...」


「反省してください‼」


「はい...」


全くとんでもないご先祖様を持ってしまったものだ。もうここまで来ればミラピュアのの玲奈お嬢様が哀れに思えてくる。


「それはそうと、そんな貴方がよく地獄から抜け出せましたね?」


「あぁ...私の死後、11人にいた息子も私の罪に連座して次々と殺されていった。だが唯一、生き残った末の息子が僧となって天寿を全うしたのだ。だから極楽にいたその子に協力して貰って、その子が持つ御仏の力を一時的に貸してもらう事で夢幻世界という不完全な状態ながらも復活できたのだ。つまり天は私を見放さなかったのだ!」


「悪運が良いことですね...」


「うむ、全くもってそうだ!」


麻呂さんよ...威張っていう事じゃないぞ...


「で?力になるって具体的にどんな事をしてくれるんですか⁉」


「ふっふっふっ、それはだな...」


(ゴクリ...)


私を助けるためにわざわざ地獄から舞い戻ったのだ。よっぽどの名案があるのだろう。...と思っていたのだが麻呂さんは口ごもったまま先を言おうとしない。


「麻呂さん、早く教えてください‼」


「え~っとな...」


私が急かしても相変わらずだ。私が更に捲し立てようとしたその時、麻呂さんが口を開いた。


「すっ...すまない、考えてなかった‼許してくれ‼あっ...おっ...おっと‼そろそろ地獄に戻らなければ‼また次の機会に会おう!さらばだ‼」


(嘘だろおぉぉぉぉ⁉)


やっと口を開いたかと思うとこれだ。私が抗議するまもなく次の瞬間には麻呂さんは煙のように姿を消してしまった。


「おい‼こら待て‼クソご先祖おぉぉぉぉ‼」


私の叫びが夢幻世界に虚しく響き渡るのだった。





・・・・・


昨日の夜は散々な夢を見てしまった。あの後、強制的に夢から覚めさせられた私はその後は全く眠れず寝不足状態だ。


「玲奈ちゃん、大丈夫ですか?」


「あっ‼はい‼寝不足なだけですので...」


「玲奈様‼無理しちゃダメですよ‼」


「奏ちゃん、ありがとう。」


私は今、清芽ちゃんと奏ちゃんにめっちゃ心配されている。それぐらい顔色が悪いのだろう。全部、麻呂さんのせいだ。


(せめて今日は何のトラブルのない平穏な日常でありますように...)



私はそんな事を願いながら学園へ登校するのだった。




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