表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
218/317

215.とある崇拝少女の誕生秘話

美織の独白です!


第215話



1年前...



(はぁ...つまんないの~...)



今城子爵家の娘である今城美織は変わりない日々に退屈さを覚えていた。



来年には明成学園という名門学校に入学できるとはいえ、美織自身が他の皆のような普通の学校生活ができるというわけではない。



なぜなら、美織には大人達からみたら重要な役割があったからだ。それは、中山家が岩倉家を陥れるために送り込む刺客の隠れ蓑というものであり、いつでも簡単に切り捨てられる事が前提の役だった。



大人達の話によると中山家はとある理由から岩倉家を一方的に恨んでおり、隙あらば岩倉家を没落させる事を目論んでいた。要するにその企みに美織は中山家の分家である今城家の娘という理由から意図せぬ形で巻き込まれたという事である。完全なるとばっちりだった。



親からも中山家側の指示に忠実に従うようにとしつこく言い聞かされ、上手く隠れ蓑を演じるための教育を受けさせられる日々...そんな毎日に美織は渋々と従っていた。



(でも逆らったら、今城家に迷惑をかけてしまう...結局、私は中山家の道具でしかないんだよね...)



今城家の人間は中山家の人間の道具として利用される形で生涯を終えるのだと、そんな状況に自分達は我慢するしかないのだと...少なくともあの日まではそう思っていた。













・・・・・



運命の日は突然に訪れた。



この日、美織は明成学園でおこなわれていたグループディスカッション発表会を観にきていた。



グループディスカッション発表会は運動会とは違って本来は非公開の行事であり、明成学園の生徒と教師以外は観る事はできない。



それなのになぜ、美織がいるのかと聞かれたら理由は簡単なものだ。



(ふぅ...絶対にバレないようにしないと...下手すりゃ大目玉を喰らっちゃうもん...)



何とこの少女、家にも学園にも無断で学園の敷地に侵入し、グループディスカッション発表会を観にきていたのだ。しかも、その理由が単なる好奇心というのだから本当におっかない...



(それにしても、今日の警備担当の人が偶然にも今城家の関係者で良かったよ...)



普段から警備が厳重なはずの明成学園に美織がこうも簡単に侵入できた理由も納得だろう。



そう...美織はその警備員の手引きで明成学園の敷地内に侵入する事に成功し、体育館にておこなわれていたグループディスカッション発表会の様子をこっそりと観ていたのだ。



最初の内はグループディスカッション発表会は普通に進んでいた。各グループのお題は日常生活のことについてだとか、恋愛というものについてだとか、今の政治についてだとか、中にはなぞなぞが上手くなる方法などといった変わったお題もあったが発表会自体は普通に進行されていたのだ。



状況が一変したのは伊集院日咲という見るからに気の強そうな女子が率いているグループが発表する番になった時だ。



彼女達のグループのお題は【学園内における極悪非道行為を許すな!】という題名だけでも過激といえるものだったが、問題はその内容だった。



何とグループメンバーの一人と思わしき女子がこのお題を利用して突如として伊集院日咲をはじめとする当時の1年生の一部の非道を告発し始めたのだ。ちなみに後で聞いたところ、彼女らは強硬派とか呼ばれている子達だったらしい...



突然の事に日咲達が動揺している中、上級生と思われる一人の女子が壇上に上がって来た。




その令嬢の名は岩倉玲奈。当時の美織から見て学園の人気者的な存在であり、貴族界でも有名である...そして、何よりも中山家が標的とする女子という認識の人間だった。



その岩倉玲奈が壇上に上がったかと思うと日咲に今回の件の裏の話を次々と暴露し、それを聞かされた日咲はあっという間に心を壊されていった...



その時の玲奈の毅然とした態度とまるで女王様のような振る舞い、全てを見透かしているような鋭い視線は美織の心も震えさせられた。



(凄い...いいなぁ、私もあんな風に...岩倉様みたいになれたら...というか、中山家はあんなのを敵に回すだなんて...)



それを見ていると自分が中山家の駒として生きていくのが本当にバカらしいと思ってしまった。



そして、最後に玲奈に断罪された日咲が体育館から飛び出していくのを見て美織の心は決まった。



(よし、決めた!私も岩倉様のような大物になってみせる!そして、今まで私を見下してきた中山家の奴らも見返してやるんだから!そのためには()()()()()!)



年齢差?家格の違い?そんなものは関係ない。どんな形でも憧れ...いや、崇拝する岩倉玲奈のような少女になれればいいと美織は思っていた。



それからの美織は今までの渋々といった態度が嘘のように一変し、中山家の隠れ蓑としての教育に熱心に取り組むようになった。それを見た両親は大喜びで中山家からも高い評価をもらえるまでになった。



しかし、両親も中山家の人間も誰一人として気づいていなかった。



(岩倉様!待っていてくださいね!明成学園に入学したら、あなたのために尽くします!だって、あなたは私の未来にに希望を与えてくれた恩人ですから!)



それらの行動は美織が真の目的のために演じていたに過ぎないという事実に...




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ