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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部4年生編
212/318

209.冷酷さと慈悲


第209話



「玲奈お姉ちゃん...」



「あっ、陽菜...」



陽菜からの呼びかけに美冬ちゃんと高松家について思考中だった私は陽菜との会話に戻った。



「その...やっぱり、玲奈お姉ちゃんは怒ってるよね、?美冬ちゃんや高松家がこんな酷い事をしてたんだもんね...」



確かにいくらミラピュアでの悪役とはいえども、高松家は貴族である事には変わりないのだ。よって、絶対に越えてはならない一線ぐらいは流石に弁えていると私は思っていたので今回の危機は私にとって予想外だった事には間違いない。



「だけどね!?高松家の人達を許してあけてほしいの!玲奈お姉ちゃん!お願い!!」



陽菜は高松家の計画が完全に失敗になることを見越して私に懇願してきた。



そもそも、岩倉家と高松家とでは格が違いすぎるために短期決戦に持ち込むか、高松家側にイレギュラーな存在でも加担しない限りは私の勝利は揺るがないので陽菜の考えは正しい...のだが、



甘い!!



甘すぎるとしか言いようがない。



私自身や陽菜、ましてや莱們ちゃんの命を狙っておきながら、流石に無罪放免で済ませられる程、私はお人好しではない。



これが転生直後の私だったら違ったかもしれないが、グループディスカッション発表会にて伊集院日咲を破滅に追い込んでしまった時点で私は覚悟を決めていた。



【自分や友達に危害を加える者は誰であろうと容赦はしない】



...と。



とはいえ、あの子が私に反抗的な態度だからなどという理由ですぐに粛清というわけではない。それだとミラピュアの玲奈お嬢様と同じ事を繰り返すだけだ。よって、その人物が有能ならば懐柔、無能でも私か私のグループメンバーに危害を加えない限りは傍観しておくつもりだ。



そう...私にとって粛清するという手段は、あくまで最後の...最終手段なのだ。



「私は高松是政を許すつもりは一切ありません。彼がやった事は到底、許されない罪なのですから...」



「そんな...」



まぁ、是政や美冬ちゃんの...そもそもの今回の動機に関しては多少の同情はできる。三条家の人間に大切な肉親を奪われたあげく、その件を三条家に権力で強引に揉み消されたともなれば誰だって憎しみを抱く事だろう。



しかし、その憎悪を関与していない子供である莱們ちゃんや全くの無関係である私と陽菜に向けている時点でアウトなのだ。それに関しては絶対に許されるものではない事は明白だろう。



その一方で...



「ただ、美冬ちゃんに関しては私もそこまで責めるつもりはありません。あの子もある意味では被害者と言えるのかもしれませんからね...」



「玲奈お姉ちゃん!ありがとう!美冬ちゃんを許してくれるんだね!!」



ミラピュアの耀心くんルートの美冬ちゃんは玲奈お嬢様に負けないくらいに横暴で性格も悪く、おまけに狡猾で序盤は莱們ちゃんに取り入るフリをして裏でヒロインサイドを少しずつ窮地に陥れるとかいう救い用のないキャラクターだったが、少なくとも今の美冬ちゃんは違う。



さっきも言った通りに本来なら、ミラピュアには登場しなかった陽菜というイレギュラーな存在と仲良くなれた事で彼女の性格に多少の変化がもたらされたのだろう。



今回の計画に加わったのも父親に逆らえなかったというだけであり、美冬ちゃん自身に悪意はそこまでない。むしろ、陽菜だけでも逃がしてくれているあたり、良心が芽生えているようにも見える。



(美冬ちゃん...陽菜に感謝するんだよ?)



まさか、陽菜という存在がここまで原作改変を引き起こすとは思わなかったなぁ...




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