200.ゴールデンウィークの始まりと懸念材料
第200話
遂にこの日が...ゴールデンウィーク初日の朝がやって来た。
「オイ!アサダ!レイナー!オキロー!オキロー!オキルンダー!!」
「ふわぁ...わざわざ言いに来なくても、私はとっくに起きてますよ。フィクサー?」
いつもならフィクサーの声を目覚まし変わりにして起床している事が多い私だったが、この日ばかりは違った。
何せ、今日は待ちに待ったゴールデンウィークの初日なのだから...この貴重な休日の時間を寝坊でロスしてしまうわけにはいかない。
「では、玲奈お嬢様。身支度のお手伝いを致しますね。」
「姫香、ありがとうございます。」
姫香に手伝って貰いながら、私は手早く身支度を済ませる。実際には時間に余裕があるのでそこまで急ぐ必要などないのだが、グループの中心人物でもある私は真っ先に集合場所に到着して皆を待っておく義務がある。だから...
「ところで、玲奈お嬢様。ゴールデンウィークが始まったばかりで申し訳ないんですけど、少し報告がありまして...」
不意に姫香がそう話しかけてきたので私は思わず身構えてしまった。まさか、グループの皆に何かあったとか!?
「それは何ですか?ひょっとして、グループの誰かに何かがあったとか...」
「いいえ、いつものグループの皆さんの事ではありません。私が報告しておきたいのは陽菜様の事です。結局、陽菜様は2日目に同級生のグループの皆様とどこかへ遊びに行く事になりました。」
「あっ...そういうことでしたか...」
思っていたほど、重大な報告ではなかった事に私は胸を撫で下ろした。私に遊びの話を断られた陽菜はどうやら、気を取り直して同級生達とどこかに出かけに行く事にしたらしい。
(ふう...何とか陽菜が前みたいに塞ぎこまなくて良かったよ...)
もしかして、陽菜は思っていたよりかは私と遊びに行けなかったのを残念には思ってなかったんじゃ?などと考えてしまう。
それはそれで、陽菜と同級生達との絆が深まりそうで良かったと思う自分と...陽菜が早くも姉離れを起こしてしまったのが、少しショックな自分がいる。
うん、まさに複雑な気持ちだね...
「ただ...気になる点がありまして...私には行く先を教えてもらえませんでした。醒喩も陽菜様から口止めされてるらしく、陽菜様の行き先を聞き出す事ができず...」
「まぁ...醒喩はもちろんのこと、ボディーガード達もちゃんと付いてるんですよね?なら、そこまで心配する事もないのでは?よっぽどな事が起こらない限りは大丈夫なはずですよ。」
「そうだと良いのですが...」
あえて口には出さないが、陽菜が醒喩に口止めまして自分達の行き先を伝えようとしなかったという点については陽菜が何かを隠しているような気がして、私から見ても少し不可解な事だと思っているんだよね...とはいえ、無理に聞き出すのも悪い気がするし...
「姫香、醒喩に伝えておいてください。陽菜に何かあったら、すぐに私に連絡するようにと。」
「かしこまりました。」
やれやれ、ゴールデンウィーク初日から楽しみと懸念が同時に生まれるなんて予想してなかった...いや、私がミラピュアの玲奈お嬢様として転生してきた時点でこういうのは十分に予想できていた事なのかもしれないね...




