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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部1年生編
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17.助けた相手はまさかの...


第17話



「いっ...岩倉様!?もっ...申し訳ございませんでした‼ほっ...ほらっ!!あんた達も早く謝りなさい‼」


『『申し訳ございませんでしたああぁぁ‼』』


美留世達は私達の正体を知ると、手のひらを返したかのように平謝りしていた。


「とにかく、この方達に危害を加える事は許しませんよ!貴女達はさっさと消えて下さい!」


「でっ...ですが...」


「聞こえなかったのかしら⁉」


「はっ...はい‼本当に申し訳ございませんでしたああぁぁぁぁ‼」


私の言葉を聞くと美留世と取り巻き達は蜘蛛の子を散らすかのように逃げ出した。


(はぁ...何とか上手く止める事ができたね...)


私が安心していると、


「あの‼助けてくれてありがとうございました!」


助けた女の子の一人がお礼を言ってきた。


「いえ、気にしないでください。当たり前の事をしただけですから。」


「はっ...はい‼」


そう言うと私に話しかけた女の子は嬉しそうにしている。


だが、もう片方の女の子は...


「ふん!あんた達も貴族でしょ?私はあんた達なんか信用しないんだから‼」


『『なっ......』』


どうやら心の底から貴族を嫌ってるみたいだ。何か嫌な思い出でもあるのかな?


「ちょっと‼蛇茨じゃばらちゃん!助けてもらってそんな態度は...」


「あのさ、姫由良ひゆら‼貴女は何でこんな簡単にこの人達を信じられるのよ‼」


(ん?蛇茨に姫由良⁉という事はこの二人はまさか‼)


私は二人の下の名前に心当たりがありすぎた。まぁ、でも人違いかもしれない。いや、そうであってほしい。なので一応聞いてみる事にした。


「失礼ですが名前を聞いてもよろしいですか?」


「えっと、兼藤姫由良かねふじひゆらです!」


「...大坪蛇茨おおつぼじゃばらよ。」


(やっぱりー‼)


これでこの二人の正体は確定だ。兼藤姫由良と大坪蛇茨、この二人はミラピュアではヒロインの親友なのだ。家族設定などはヒロインが選んだルートによって多少変わってくるが、初等部から長年貴族に虐げれたという経緯は一緒だ。後にこの二人は一般家庭出身の者達を反貴族でまとめる事に成功し、ヒロインと攻略対象の後方支援を行う。


あるルートではそれが最後の最後で大逆転勝利に繋がったのだからとても侮れないコンビだ。私はこの二人の事をすっかり忘れていた。一応、二人は初等部から入学したという設定はあったのだがゲームでは初等部の出来事が回想シーンぐらいでしか登場しなかったからだ。


(となると、今のうちに仲良くなる必要があるね。)



「姫由良ちゃん、蛇茨ちゃん、もし良ければこの岩倉玲奈とお友達になってくれませんか?」


『『えっ⁉』』


まぁ、いきなりそんな事言われたら固まるよね。しかも憎んでる貴族からなら尚更だ。


「私で良ければぜひ‼」


「ちょっ...姫由良‼正気?」


「断言できるよ‼この人達は他の貴族の方とは違う!じゃなきゃ私達を助けたりしないもん‼」


姫由良ちゃんが必死に蛇茨ちゃんに訴えかけてる姿が可愛らしくて仕方ない。実は姫由良ちゃんは前世の私の推しキャラの一人なのだ。


「貴女、分かってるじゃないの‼もし良かったら私とも友達になりましょう‼」


「それでしたらぜひ私もお願いします。玲奈ちゃんの次に可愛らしいので。」


「いいんですか?よろしくお願いします!」


清芽ちゃんと奏ちゃんもさっそく姫由良ちゃんと仲良くなっている。思い返せばゲームでも姫由良ちゃんは優しくていい子だったな~。


「私はお断りよ!貴族なんかだいっきらいだから‼」


蛇茨ちゃんは相変わらずだ。だけど個人的に私はここで仲良くなっておきたいのだ。


「蛇茨ちゃん、貴族としての私は嫌いでも結構ですが人間としての私は嫌いにならないでほしいです。すぐにとは言いません。交流を深めて私達が他の貴族と違うと蛇茨ちゃん自身の目で見極めていただきたいのです。ダメでしょうか...」


「はっ...いや!ちょっ...その顔は...なによ...」


おや?蛇茨ちゃんがボソボソ何か呟きながら顔を真っ赤にしてそっぽを向いている。何か怒らせてしまったのだろうか?


「あの?蛇茨ちゃ...」


「......わよ。」


「はい?」


「何回も言わせないでくれる!?分かったわよって言ってるの!ただし、お試し期間!完全に信用したわけじゃないんだから勘違いしないでよね‼」


「あっ...ありがとうございます‼」


何とか友達になれたのかな?


「いや...だからその笑顔は...」


「蛇茨ちゃん?」


「わっ...私、もう帰るわね。それじゃっ‼」


「あっ...」


蛇茨ちゃんはそう言うとさっさと帰ってしまった。姫由良ちゃんのために無理してるだけであって、やっぱり蛇茨ちゃんは私なんかと友達になりたくないのかな?


「蛇茨ちゃん私の事がやはり嫌いなのでしょうか?」


「いや、あれは逆ですね。」


「玲奈様にあそこまで言われたら誰でもああなりますよ。」


清芽ちゃんと奏ちゃんはそういって励ましてくれた。


「ごめんなさい‼蛇茨ちゃんはツンデレなんです。だけど優しい子なので仲良くしてあげて下さい!」


「姫由良ちゃん...」


「えっ⁉岩倉様⁉」


気づいたらいつのまにか姫由良ちゃんを抱き締めていた。姫由良ちゃんて抱き着き心地良いんだな~...じゃなくて私は慌てて姫由良ちゃんに謝った。


「あっ...ごめんなさい‼可愛らしくてつい...」


「全然大丈夫ですよ!...むしろもっと長く...」


最後の方は聞き取れなかったがどうやら許してくれたようだ。これで一安心...とはいかなかった。


『『玲奈ちゃん‼その子ばっかりズルい!私も‼』』


「はい?」


何故か怒っていた清芽ちゃんと奏ちゃんを数分かけて宥めた後、私達は帰路についた。












「......ふぅ、見つからずに済んだようだね...」



とある人物に一部始終を見られていたとも知らずに...




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