185.八つ当たり
第185話
次の日...
「ねぇ、昨日のあのニュース見たか?」
「まさか、伊集院さんの家族がな...」
学園のあちらこちらでこのような会話が聞こえる。
伊集院一家のニュースが報道された事が噂されており、学園内は大騒ぎだった。
「ふん!ざまあみろ‼」
「きっと、報いを受ける羽目になったんだな...」
「自業自得だね!」
ニュース内容を日咲の自業自得であるとして、貶す者達...
「いくら、何でもあんまりだよ...」
「伊集院さんがした事は家族の命で償わないといけない程の事なのかな?...」
家族を失った日咲を憐れむ者達...
皆の意見は真っ二つに割れていたが、私が学園に登校した瞬間、いつも以上に注目を集めたのは同じだった。
「岩倉様‼おはようございます!」
「伊集院さんを断罪できて、良かったですね!」
「玲奈お姉様‼今日もご美しいこと...」
前者の意見の者達は相変わらず、私に挨拶を交わしている...
「「「.........」」」
一方で、後者の意見の者達は私に対して、気まずそうな表情をしていた。私の事を恐れているのは明らかだった。中には私に完全な悪者を見るような視線を向ける子までいる。
(私のせいだ...私のせいで...)
そんなやり取りも今の私の頭の中には入ってこなかった...
・・・・・
「あの...蛇茨ちゃん...」
「ねぇ、私がここに呼んだ理由は...大体は分かるよね?」
グループディスカッション発表会がおこなわれたあの日から数日ぶりに登校したかと思うと、急に私を空き教室へと呼び出した蛇茨ちゃん...彼女の声は恐ろしいほどに低いものだった。
「日咲の件...あれは彼女にも悪い部分は確かにあった。でもさ...だからといって、日咲のご両親が命で償わないといけないものだったのかな?...」
私は何も言わない...厳密には何も言い返せないのだ。
今回の件で...日咲のご両親が命を落とす結末になったのは私にとって完全なる誤算だったからだ。
「もちろん、玲奈が全て悪いわけじゃない...むしろ、被害者側なのは分かっている...分かってるんだよ⁉それなのに...」
「自分の気持ちが理解できないから...つい、私に八つ当たりしちゃったって事ですか?」
「なっ⁉...その言い方‼だけと、そう言う事になるね...」
まずいね...今の蛇茨ちゃんの精神状態は普通はではない。この状態を放置しておくのは良くないな...
「蛇茨ちゃん...今は少し、落ち着きましょう。下手に私にあたっても...何も良いことなんてありませんから...」
「ううっ‼」
早く、元通りの蛇茨ちゃんに戻ってくれるといいんだけどな...




