184.こんなの誰も救われない...
書き直しました...
第184話
流されているニュース映像の内容に私は驚愕した。...と、同時に体が震えた。
『続いてのニュースです。今日、午前11時頃、○○区の川に3つの人間らしきものが浮かんでいるとの通報がありました。池に浮かんでいたのは、○○区在住の伊集院久重さん(37)、久重さんの妻の伊集院祐子さん(29)、娘の伊集院日咲ちゃん(7)の3人で、いずれも病院に運ばれましたが、久重さんと祐子さんが死亡、日咲ちゃんが意識不明の重体となっています。警察は事件、事故双方の可能性を踏まえて死因の特定を急いでいます。』
「これって⁉...」
「あぁ、お嬢さんは自分でも気づかない内に【玲奈弾劾十悪】の1つを満たしかけているのさ。明日の学校は大騒ぎになるだろうね。」
とんでもない結末だ...もし、あの時に体を乗っ取られる事なく、私が日咲を許すと言えていれば...こんな悲劇を生む事などなかったのだ‼
しかも...もし、日咲が意識を取り戻す事なく、亡くなってしまったら...よりにもよって、【玲奈弾劾十悪】の1つ、『後輩を公開の場で罵倒し、死に追いやった』を満たしてしまうことになる!
「うわああぁっ‼」
いや、それよりもだ!...蛇茨ちゃんが目指していた、敦鳥ちゃんと日咲の和解という願いは、ほぼ絶望的になってしまったのだ...これも全て私のせいだ...
「...どうして?どうしてよ⁉...どうしてこうなっちゃうのよ⁉私は...私は!日咲を許すつもりだったのに‼彼女にやり直すチャンスを与えて、いずれは打ち解けたいと思っていたのに‼...」
「もしかすると、歴史の修正力の仕業かもしれんな...」
「修正力って...あの!?」
私の悲痛な叫びに倉聟さんが答える。
「よく、聞いとくれ...たとえ、ゲームの世界であっても...歴史を...運命をそう簡単に変えることは本来ならば、許されないのだろう。だが、お嬢さんは歴史を変えすぎた。だからこそ、正常な歴史に戻すための修正力、要するに埋め合わせが...このタイミングで最悪の方向へと働いてしまったのかもしれん...」
「ううっ...だからって、こんな終わり方‼...」
言い返そうとした私だったが...冷静になって考えてみると、自分が断罪を回避したいがためとはいえ、好き勝手に歴史を変えようとしているのも紛れもない事実なのだ。
「くっ‼...ううっ‼...」
この怒りと悲しみを何にぶつければいいのか...それが分からなくなった私は、衝動的にその場を走り去ってしまった。
「あっ!ちょっ‼...待ちな!お嬢さんよ!まだ、伝えたいことが残ってだね...」
倉聟さんが後ろの方で何かを言って、私を引き止めようとしているのが聞こえたが...残念ながら、今の私にそれを聞き入れる程の精神的な余裕は残されていなかった...
(私は徐々にゲームの玲奈お嬢様に近づいてきてるというの?...)
そう思うと本当に不安で仕方がない...




