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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部3年生編
184/315

181.何が起こった⁉


第181話



「ねぇ、日咲...私達が仲良くなったきっかけって覚えてる?」


「何よ...もうどうでもいい...」



かつては親友だったはずの敦鳥ちゃんの呼びかけにも素っ気ない態度で返す日咲。最早、自分の味方が誰一人としていなくなった事もあり、自暴自棄に陥っている様子だ。



「私達って、お互いに憩美様のおかげで自分のクラスに馴染めるようになったよね...」


「それが...それが、今さらどうしたって言うのよ⁉」


自暴自棄に陥った日咲はその言葉を突っぱねる。だが、それでも敦鳥ちゃんはめげずに彼女に訴えかける。


「最初はただ、助けられた者同士程度の認識だったけど、日が経つに連れて...どんどん仲良くなれたよね。」


「やめてよ...」


「ついには親友として、お互いに支え合う関係になるなんて...憩美様に救われる前の私なら絶対に思わなかった。」


「やめて‼」


「だから、分かるの‼日咲きが本当は私と敵対なんてしたくなかったって思ってる事...そして、この件が終わったら私と仲直りをしようとしてたことを...」


「やめなさいって言ってるでしょ!今になって何を言われても私は手遅れなの!あんたはいいわよね‼今のあんたは私と違って、たくさんの友達...頼りになる先輩にまで恵まれて!私とは雲泥の差だもの‼...はははっ‼嬉しい?綺麗事ばかり言ってるけど、本当は嬉しいんでしょ?」



もう、敦鳥ちゃんが何を言おうとも...日咲の言葉は響かない。私がそう確信した時だった。



「...やり直したいんじゃないの?もう一度...私とお友達として。」


「はぁっ⁉どういう意味よ⁉」


「私...分かるんだ...日咲がこんな事をしたのは、日咲は日咲なりに憩美様を守るためであって、本当は玲奈お姉様を心から嫌っていたっていうわけじゃないんだよね?」


「......‼」



その言葉で、始めて日咲の表情が変わった。



「だからさ!私も...もう一度、日咲とお友達...いや、親友としてやり直したいと思っているの!ダメかな?」


「敦鳥...」


日咲もこんな自分を今でも親友と言ってくれる敦鳥ちゃんだったからこそ、全てが終わった後に仲直りする算段を立てていたのかもしれない。



「...敦鳥の言う通りよ、日咲。」


「憩美様⁉」


おっと...ここまで、ずっと黙っていた憩美ちゃんがついに口を開いたね。


「ごめんなさい...あの時の私の伝え方が悪かったばかりに貴女が誤った方向に暴走してしまったんだよね。今回の件は私にも責任があると薄々、思っているよ。...だから、もういいんだよ?」


「そんな‼...憩美様が謝る事ではないですよ...だって、私...あぁ...」


そう言って頭を下げて、謝罪してきた憩美ちゃんに対して、日咲は最早、精一杯の反論をするのがやっとだった。


ようやく、自分がしてきた事のせいで守ろうとした一番大切な人を傷つけてしまった事に気づいたみたいだが、既に遅すぎたようだ。もっと早く気づいて欲しかったものだ...



「玲奈お姉様‼私からも謝ります!なので、日咲を...許してやって下さい!」


「玲奈さん!今回の件は私にも責任があります!ですので、私に免じて日咲を許してやって下さい!」


「玲奈、改めてお願い‼日咲は優しい子なんだよ!今回の件もすれ違いが起きなければ、発生しなかったはず...だから、私を信じてもう一度だけ彼女にチャンスを与えてあげて‼」


「あっ...敦鳥...憩美様...蛇茨先輩...ううっ‼...こんな私を...」



敦鳥ちゃんと憩美ちゃん、そして蛇茨ちゃんが必死に私に懇願している。そんな、3人を見た日咲は申し訳なさでもう、涙を隠せていない。



確かに、私のみならず、陽菜や姫由良ちゃんや優里ちゃんといった私の大切なお友達を侮辱したのは今でも許せない。


だが、彼女もまた、決して悪意があったわけではない...憩美ちゃんを守りたいという己の正義感が暴走したからに過ぎないのだ。


おまけに証拠がないため、今回は断罪できない筑波百子に利用されていたという事実もある以上、情状酌量の余地は残されていると私は思っている。



...よって、私の選択は既に決まっている。








『ふふふっ‼許せるわけないではありませんか。私のお友達にあんな真似をしておきながら...私はそこまで甘くはありませんよ。』



突然、会場に冷たい声が響き渡った。その場にいた全員が酷く動揺した様子で声の発信源...私を見てくる。


「えっ⁉玲奈お姉様?」


「そんな...」


「ちょっ‼玲奈⁉話が違う...」


もちろん、懇願した3人もだ。



だが、その言葉を口に出した私自身もまた、心の中で動揺を隠せないでいる。


なぜなら、私は確かに日咲の事を許すと言うつもりだった。それなのに!口から出てきた言葉が全くの正反対だったからだ。



(なっ⁉口が...勝手に⁉...いったい、私の身体に何が起こってるというの⁉)



まずい...このままでは事態が最悪の方向へ動いてしまう...




地獄の始まり...

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