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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部3年生編
178/291

175.悲しきネタバラシ

序盤 日咲、中盤 玲奈、終盤 日咲と視点がコロコロ変わるのでご注意を。(お陰でいつもより長くなってしまった...)




第175話



「続いて、大坪蛇茨さん、伊集院日咲さん、菱刈奈留さんのグループの発表です。」



(あぁ...ついにこの時が来たんだ...‼)



そんな思いを胸に刻みながら、日咲は蛇茨や奈留と共にステージへとあがる。


崇拝する憩美様の話を聞かされた時からというものの、岩倉玲奈という女を何度、恨んできたことか...



なぜ、岩倉玲奈は、こんなに優しい憩美様を邪険に扱うのか?


なぜ、こんなに優しい憩美様よりも岩倉陽菜とかいう腹黒女を優遇するのか?



日咲はそれが理解できなかった。



同級生達の大半も同じ気持ちだったようで、1年生で団結して岩倉玲奈を打ち倒そうという空気が出来上がっていた。


手始めに岩倉玲奈の取り巻きで、最も格が劣る3人の事実無根の噂を書いた手紙を全学年に配布する事であの女の派閥の混乱と仲間割れを狙った。その結果、大坪蛇茨をこちらの味方につける事に成功したのだ。


途中になって、憩美様が『私の言葉足らずだった。私は玲奈さんを恨んでるとかじゃない。だから、こういう事はやめて!』という発言をおこなった事で一部の生徒が考えを変え、穏健派なる派閥を作ったそうだが、正直馬鹿げている。


あの発言は岩倉玲奈が憩美様を脅迫して無理やり言わせたに決まってるではないか⁉それを真に受けて考えを変えるなど、どうかしてるとしか思えない。その中に親友だったはずの敦鳥までいたのもまた、日咲を不愉快な気持ちにさせた。


哀れにも憩美様はその後も岩倉玲奈に脅迫される形で1年生達の説得を続けた結果、いまや1年生の大多数が穏健派となり、自分達のように憩美様の真意を悟って岩倉玲奈に屈しないという固い意志を持った者達は激減した。


それでも、日咲の顔に諦めの色は見えなかった。蛇茨先輩に筑波百子...自分にも味方がいるという事が分かっていたからだ。


特に蛇茨先輩とは今では一緒に遊びに行くほどの関係になり、年の差を越えた友達といってもいいのかもしれない。


(敦鳥...岩倉玲奈を断罪した後はちゃんと仲直りして、蛇茨先輩を交えて3人で遊びに行こうね。貴女が親友だという気持ちは今も...今だって変わってないんだよ...‼)



もうすぐだ...もうすぐ全て、終わるんだ‼



「では、私達のグループの発表を始めます。」



日咲は開始を告げる蛇茨先輩の声と始まりの拍手の音に身を任せて、謎の優越感に浸れていた...









・・・・・


「では、私達のグループの発表を始めます。」



いよいよ、蛇茨ちゃん達のグループの発表が始まった。これで、今回の騒動の決着がつく...


「私達のグループのお題は、【学園内における極悪非道行為を許すな!】です。」


「「「「「.........‼」」」」」



そのあまりにも過激なお題に会場中がざわついた。日咲はニヤニヤと私の方を見て、ほくそ笑んでいる。まぁ、彼女から見ればこのお題で私を断罪できると確信しているのだから、笑ってしまうのも無理はないだろう。


今でも思ってしまう。もし、日咲が敦鳥ちゃんと同じく、蛇茨ちゃんと接する事で己の考えを改めていたら...まだ、間に合う...取り返しがつくのかもしれないと...



筑波百子は...あれは日咲を確実に見捨てるだろうね...彼女は自分が助かるためならば日咲程度の人間は平気で切り捨てる。そういう奴だからね...


「この学園で許されざる極悪非道行為がおこなわれました!私は絶対に許せません!その内容は.........」



あ~あ、始まっちゃったか...私も覚悟を決めないとね。












「.........()()()()()()()()()()()()()()()()()1()()()()()()()()3()()()()()()()()()()()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に他なりません‼」









・・・・・


「はっ?」



日咲を状況が理解できなかった。自分と蛇茨先輩はこの場で岩倉玲奈を断罪するつもりだったはずだ。


それなのに、蛇茨先輩は何と言った⁉自分を中心とした1年生達による嫌がらせ行為⁉


「あはっ...どういう事なの...」


えっ⁉冗談だよね⁉蛇茨先輩がこんな事言うわけがない...そうだ!きっと、これは場を賑やかすための蛇茨先輩の冗談に決まってるよ~‼そうに決まってる!...だって、そうじゃなくちゃいけないんだもん...


「伊集院さん、現実逃避しているところを申し訳ありませんが、蛇茨ちゃんが言った事は全て事実ですからね。」


憎き、岩倉玲奈の声が響き渡るけど、それを気にしているどころじゃない。


(嘘だ...‼嘘だ...‼...蛇茨先輩が私を裏切るはずがないっ!これは...夢だ!悪い夢に決まってる!)


「あああぁぁぁっっっ‼」


日咲はこの状況を夢だと思いたかった。だが、いくら喚いても現実である事に変わりはないのだ。


「日咲...」


蛇茨先輩が哀れんだ目でこちらを見つめてくる。



....なぜ⁉...どうして⁉



「...私を...私を裏切ったの⁉蛇茨先輩‼何とか言いなさいよ!」


もしかして、発表会直前に岩倉玲奈に脅された⁉それで、こんな発言をしたのなら説明がつく。...岩倉玲奈の考えそうな事だ。だったら、はっきりとこの場でその事を伝えてほしい...そうすれば誤解は解ける...


「ねぇ⁉脅されたなら、ちゃんと...」


「全く...貴女は何を勘違いしてるのでしょうか?」


だが、その言葉を発する事を岩倉玲奈は許さない。この状況ですら、冷静さを保っているのが本当に不気味であり、日咲の中で微かな恐怖心が生まれようとしていた。



「裏切るもなにも...そもそも、蛇茨ちゃんは()()()()()()()()()などではありませんから。」


「えっ?...えっ?...」



その瞬間、日咲の中に残っていた僅かな希望がガラガラと音をたてて、崩れ落ちた。




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