170.玲奈は勝利を確信した⁉
第170話
クジ引きの結果はというと、
「玲奈様、私達の出番はだいぶ後になりますね。まぁ、前の人の発表の仕方のお手本が見れるので私としては悪くはありませんが...」
「最後から3番目って、微妙な順番ですね。こういうのって最後の方が緊張しそうです...」
「これは...喜ぶべき?がっかりするべき?」
喜んでいいのか、がっかりしないといけないのか、よく分からない中途半端な順番になっちゃった...美冬ちゃんも眞美ちゃんもそれぞれ、正反対の反応をしてるし...
まぁ、今回の計画の都合上、私のグループの発表が前半になるのだけは避けたいところたので良しという事にしよう。
その後、全グループの代表者がクジを引き終えたのを確認した初等部の教頭先生がリモコンのようなもので、体育館の真ん中にあるステージの真横に設置されたモニターを操作していた。
次の瞬間には、そのモニターに全グループの発表の順番が映し出された。
「私達の知り合いだと滓閔ちゃん達のグループが5番目で発表が一番早いみたいですね。」
「あぁ、あの3人ですね...」
真里愛ちゃんと沙友里ちゃんは昔からの幼なじみ同士だから大丈夫そうだけど、そこに自由奔放で別人格持ち疑惑のある滓閔が混ざったのが正直に言うと心配だ。果たして、3人は上手く連携して発表を成功させられるだろうか?
「13番目に菊亭先輩や陽菜先輩のグループがいますね‼」
「陽菜なら安心...かな?」
陽菜はあぁ見えて、こういう行事ものには積極的に取り組むタイプだということ、万が一、何かミスを犯したとしてもそこは清芽ちゃんがフォローしてくれると確信しているのでそこまで心配はしていない。
気になる事があるとすれば、姫由良ちゃんがここ最近、少しだけ元気がない事くらいだ。
...そして、私にはさらにとある1グループの発表の順番が気になるグループがいた。
(蛇茨ちゃん達のグループはちょうど、私達の1つ前...この結果は上出来だね...)
蛇茨ちゃんが日咲と発表会のグループを組むという事を初めて知った時、私のグループのメンバー達は全員が驚いてたし、特に清芽ちゃんなんかは怒り狂って、直接二人のもとへ押しかけようとしたので私が必死に制止したぐらいだ。
それぐらい、メンバー達にとって、このグループ結成は衝撃的だったに違いない。
「後は莱們ちゃん達のグループと大炊御門様のグループはちょうど、真ん中辺りですね。莱們ちゃん達は第1部終盤の発表で、大炊御門様達のグループは昼休みが明けて最初の発表でしょうか?」
「いいえ、その前に5年生の先輩方が組まれたグループの発表があるから、奏ちゃん達の発表はその次になりますね。」
この発表会は第1部と第2部に分けられている。まず、全グループの半分が発表を終えると一旦、第1部が終了して昼休みとなり、昼食の時間などが与えられる。。そして、昼休みが終了した後に第2部が始まる構成だ。
ちなみに私達のグループメンバーで、第2部からのスタートとなってるのは奏ちゃん達のグループと蛇茨ちゃんのグループだけみたいだ。
それにしても、本当に蛇茨ちゃん達のグループの発表が最後の方になってくれて良かった。私の計画によって、蛇茨ちゃん達より後の3グループはそもそも発表できる時間があるかも分からないからね...
(ふぅ...どうやら、運は私に味方しましたね...)
全てのグループの発表順を確認を終えた私は思わず、胸を撫で下ろした。
「あれっ⁉玲奈先輩、何かホッとしてます?」
「えっ⁉えぇ、よくよく考えれば、第2部からのスタートで良かったのかもしれません‼」
危ない...今回の計画は私と敦鳥ちゃんをはじめとする穏健派のメンバー達...そして、もう一人の協力者しか知らないんだった...眞美ちゃんには申し訳ないけど、日咲達側への情報の漏洩を防ぐためにもごまかさせてもらう。
それと、完全に余談だけど...
(というかさ...何で、兼光と耀心くんと尚喃磨が3人でグループを組んでるわけ?絶対に喃磨の野郎が何か入れ知恵したでしょ⁉)
日咲達以上に厄介...いや、意外な組み合わせのグループの存在に私はただ、困惑するしかなかった...
「では、全グループが自分達の発表する順番を確認したようなので、さっそく発表会を始めていきましょう。最初は6年生の○○さん、4年生の△△さん、同じく4年生の◻◻◻さんのグループです。発表の準備に入って下さい。」
先生がそう呼び掛けると、他の生徒達からの盛大な拍手とともにグループディスカッション発表会の幕があがったのだった...




